表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/47

第12話 オリオーネ区画 ボス

大変おまたせしました。申し訳ありません。

ブクマとかも外さず待っててくれてありがとうございます。


更新再開します。

 さて、今俺は最初の分岐路にあった扉の前にいる。

 おそらく鍵となるだろう2つの宝石もゲット済み。1つは右の道の奥の小部屋で発見した。


 宝石を見つけた小部屋には糸が張り巡らされていて、その糸を伝って天井付近にある宝石を取るというものだった。

 宝石を取りに行ったのはキツネさん。糸の反動を利用して起用にぴょんぴょんと跳んでいってあっという間にゲットしてしまった。

 キツネさんが取りに行ってる間、小部屋に敵が迫ってきてそれを他のメンバーで撃退するというギミックだったらしいけど、涌き出る間も無く――数匹わいたくらい――終わってしまった。


 左の道も見た目はおんなじようなギミックが仕掛けてあった。それでもって今度は俺が挑戦したんだけど……、一歩目から大失敗。足をかけたとたんブチリと糸が切れてしまった。しかもそのとたんうじゃうじゃと蜘蛛が湧き出てくる始末。

 それもそのはず、右の部屋と違って左の部屋は、糸にさわらないようにして壁を――ボルダリングの要領で――登って宝石を取らなきゃならないギミックだった。

 無論みんなも初見だからわからない訳で笑って許してはくれたが、カネティスからは一言「兄さんは調子に乗ると大抵何か失敗するんですから、もっと慎重になってください」と注意された。

 確かにその通り、反省しよう。あ、ちなみに(フォルティス)にはひとしきり笑われた。


 気を取り直して目の前の扉に二つの宝石をセットする。すると扉は横にスライドし、壁の中へと吸い込まれていった。


「ざ~んねん。宝石の回収はさせてくれないかー」


 キツネさんが肩をすくめながら言うが、完全に同意だ。俺も扉開けた後取り外せるかと思ってたんだよね。


「そうは問屋が卸さないって事だよ、姉さん」

「わかってるわよー」


 キツネさんがフジノキにたしなめられてる。


「さ、行きましょう兄さん」


 そして俺はカネティスに促されるままに、奥へと足を進めた。





 四人がしばらく進むと細かった道が唐突にひらけ、大きな部屋に出た。

 部屋の真ん中に鎮座するのは3メートルはあるだろう大きなサソリ。反り返った尾の先は尖り緑に濡れ、毒液がしたたり落ちている。

 そしてサソリの周りには、子供なのだろうか、胞子状のマユがたくさん配置されていた。


「さて、とりあえず私がメインタンクでいいかな?」


 キツネはガチリと両の拳を合わせながら、後ろの三人に向かって言った。


「了解、キツネさん」

「……はい、お願いします」

「わかったよ、姉さん」


 三人三様に頷く。


「あ、ちなみに指示出しはフジノキがやるように」

「はいはい、わかったよ。……とは言え初見だし、ここのボスに関してはそこまで情報が出回ってないから、あんまり期待しないでよ?」


 ついでのように付け加えたキツネの言葉に、フジノキは半ば諦観をこめて答えた。

 他の二人もこれに関しては文句はない。元々カネティスは3人でパーティを組んでいた時からフジノキの指示になれている。

 一方コダマの方はと言うと、実は他ゲー――VRではない――を一緒に遊んだこともあり慣れていた。


「よっ、軍師どの!」


 なんて言葉をかけるくらいには。


「ちょっと、それやめてくれよ。僕の若気の過ちを思い出させないでくれ」


 コダマの言葉を、フジノキは慌てて遮った。

 コダマとしては、フジノキの過去の大規模PvPでの采配っぷりを褒めて言ったのだ。実際そのゲーム内での評判も良かった。

 だがフジノキとしては、自らが中二、もとい高二病を患っていた頃を暴露されたのと同じなことで、たまったものではない。

 しかも姉がいる場所で、だ。


「なになに~? 我が弟ってばリアルではおとなしい方だと思ってたのに、もしかしてネットではイキッてたの?」


 案の定キツネが茶化しはじめる。


「そんなことはないですよ? むしろ最初は口出ししてなかったですから。劣勢になってからフジノキが指示を出し始めて、そこからの巻き返し……。結構評判も良かったんじゃないかなぁ」

「そ、そう……」


 コダマの天然入った受け答えに、キツネは毒気を抜かれた。

 だが一方でフジノキの方は、顔を真っ赤にし頭を抱えている。


「と、とにかく!」フジノキはごまかすように声を上げる「気をつけなきゃならないのはあのサソリ――タラント・スコ―ピオン――のしっぽを使った回転攻撃。あと周りのマユから子供が生まれるから、できれば事前にマユの処理をしてしまいたい。それと初手は回転攻撃らしいから、特に気をつけてよ、姉さん」


「はいはい、わかったわかった軍師どの」


 パタパタと手を振って答えるキツネに対し、フジノキは苦虫をかみつぶしたような顔になりながらも、バフを掛ける。

 キツネはバフが行き渡ったのを確認すると、


「それじゃ、みんな準備できたみたいだし、いっくよー!」


 タラント・スコーピオンに向かって駆け出した。


 ――〈オーバーアクション〉


「からの~」


 ――〈痛打〉


「なんちゃって鉄山靠!」


 肩からタラント・スコーピオンにつっこんだキツネが、どがり(・・・)と大きな音を立てた。

 その攻撃に反応したのか、タラント・スコーピオンはぐっと身を縮める。

 キツネはそのハサミに手を掛け、大きく逆立ちをするかのようにその身を跳ね上げた。

 ――その瞬間、


 ――〈大回転〉


 タラント・スコーピオンは大きくしっぽを振り回しながら横に回転した。

 キツネはふわりと翻した身でその攻撃を避ける! だが一方で動くことができず、その攻撃に当たる者達がいた。

 ……周りに配置されていたマユである。


 そして、その白い殻がはじけ飛んだマユから、もぞり、とクモが這い出してきていた。

 

「ちょっとー、こんなの聞いてないんだけど」


 タラント・スコーピオンの攻撃を捌きながら、キツネがぼやく。


「知らなかったからしょうがないでしょ、姉さん。……そもそも知ってたところで防ぎようないと思うし」

「そこを何とかするのが軍師どのでしょうがー。だいたいアタシ、コグモのタゲ取りまで面倒まで見切れないよ?」

「そこはっ――、いやそっちは大丈夫だよ、姉さん」


 チラリと前を見るフジノキの視線の先には、すでに駆け出していたコダマの姿があった。


「コダマ、コグモはまかせたよ」

「ああ、まかされた」


 ――〈ランジ〉


 コダマは、手前のコグモに対して鋭く細剣(レントゥス)を突き出し、奥のコグモに対しては(フォルティス)の引き金を引く。


 ――パンッ


 抜き打ちざまに放たれたその弾は、だがしっかりとコグモには命中し、ヘイトを稼ぐことに成功した。

 コダマに群がってきたコグモ、その数は4体。

 とはいえ、MOBの部類なためか攻撃力はさほどでもない。

 コダマは粘糸、そして毒の牙だけは〈ガンパリィ〉を織り交ぜながら慎重に避け、そしてその隙を縫って大胆に攻撃を仕掛けていく。


 ――〈ランジ〉


 大きくのぞけるコグモ、だがそのHPバーははまだ、二割程度しか減っていない。


「スキルを使っても一発で1割って所か……。MOBとは言えボス戦、さすがにHPが多い」


 独りごちるコダマに対し、レントゥスは言う。


『HPが多いと言うよりは攻撃力が足りないのではないかな? 君はもう少しうまく我々を使うべきだ』

『そうだぞてめー、せっかくAP入ったのに何のレベルも上げてねーじゃねーか』


 フォルティスまで合わせて言いつのってきた。


 ……確かにそうだった。事前にレベルを上げるなりスキルを習得するなりしていれば、もっと十全に二人を扱うことができたのかもしれない。そうコダマも思いもした。

 だが時すでに遅く、さすがに今この状況でスキル習得をする暇は無い。だから――


「すまん、これ終わったら相談するな」


 コダマは二人にそう告げて、コグモとの戦いに集中することにした。




 一方その頃、後衛の二人――フジノキとカネティス――はというと……。


 ……カネティスは、周囲に残っている幾つものマユの処理を行っていた。

 彼女の放つ矢が外れることはなく、また放った矢が地面に残す影も相手に対し追加のダメージを与えていた。彼女の使用したスペル、〈シャドウ・アロウ〉の効果である。

 その追加ダメージもあってか、処理スピードはそれなりに速い。


 ではもう一人の後衛、フジノキの方はと言うと……。

 ……わりと暇をしていた。


 彼はヒーラー兼バッファーだ。そもそも前線が安定している状態のヒーラーは、えてして暇なことも多い。加えてバフの方も、まだまだスペル数が少ないため、維持管理が楽ときてる。


「とは言え本来、回避タンクってなかなか安定しない物なんだけどなぁ。その点、姉さんは絶対に回避しなきゃならない攻撃と、許容できる攻撃との見極めがうまいから、見てて安心できるんだよな」


 二割ほどHPの減ったキツネにヒールを飛ばしながら、フジノキは言った。


「姉さんだけじゃない、コダマもそうだ。スケルトン戦の時みたいな強引な攻めの方が得意かとも思ってたけど……。なんだ、こういった戦い方も得意なのか。ヘイトスキルもないのにモブを四体も抱え込んで、こっちのヒールヘイトを上回るなんて……。とてもVRが初めてとは思えないよ。そもそもあのコグモも、粘糸はともかくとして、通常攻撃と毒牙攻撃の差がわかんないんだけど、どうやって判別してるんだよっていう……」


 そんなコダマも、コグモの通常攻撃で地味にHPが減ってきたので、姉と同様にヒールを飛ばす。一応タゲがこちらに飛んだときのための足止めの魔法はあるが、このままでは使う必要もなさそうだ。


「姉さんで慣れてたつもりなのに、このゲーム始めてもう何人目だ? こうも立て続けに才能って言うのを見せつけられると、割とへこむ物があるなぁ」


 かぶりを振るフジノキの目の端で、マユは数をどんどん減らしていく。

 それを確認すると、フジノキはコダマに声を掛けた。


「そろそろマユの処理が終わるから、コグモのHPを一匹ずつ、二割程度まで削ってくれ。それぐらいならカネティスちゃんが確殺できるから」


 フジノキの二割発言にカネティスも肯く。


「わかった」


 コダマもそう答えると――


 ――〈ランジ〉


 スキルを放ち、それまで意図的にばらけさせていた攻撃を、一匹に集中させていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=765421492&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ