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第八話  renewal

誤字報告ありがとうございます。修正しました。

初期設定の名前がそのまま残っているなんて不覚でした。

指摘を受けたところ以外にもあったので修正しました。

前話のマントも袖付きマントのままになっていたので修正。色もオリーブ色から変わってます。

オリーブ色だとフジノキとかぶるから変えたんですが、修正してませんでした。

話の筋に影響はありませんので、そのまま読んでいただいても大丈夫です。

 明けて次の日、俺は朝食を済ませファニートラップに向かっていた。傍らにはユエちゃん。手をつないで歩いている。

 どうやら今日はファニートラップでお手伝いをするらしい。


「んふふー。お兄ちゃんと一緒にお仕事行くのー」


 ユエちゃんはつないだ手をぶんぶんと振り回している。

 そんなご機嫌なユエちゃんと俺に話しかけてくる人物がいた。


「よう、今をときめく幼女マスターじゃねぇか」


 振り向くとトライゾンが、軽く手を上げニヤニヤ笑っていた

 ……幼女マスターだと? もしや!?


「お? 気づいたか。そうそう、今の掲示板でのコダマの異名の1つだぜ」


 なん……だと……? まさかそんなあだ名で呼ばれていたなんて……。そういや前は気をつけていたのに、今は普通に手をつないで歩いている……。


「どうしたのお兄ちゃん」


 がくりと膝をつく俺の頭を、ユエちゃんがなでてくる。

 ……うん。その優しさが今はつらい……。


「はは、その格好、幼女マスターの面目躍如だな」


 指を差して笑うトライゾン。それをユエちゃんが腰に手を当ててたしなめる。


「んもー、お兄ちゃんをいじめちゃダメなのー」


「お、おう」


 トライゾンはたじろいた。そんなトライゾンをたしなめる声がもう一つ。


「そうですぞ。いくらご友人に会えて嬉しいからと言って、そのような物言いをされては……。それに幼女とは……、こちらのレディに対しても失礼ではないですか」


 いつの間にか獣魔のペルーが来ていた。相変わらずのこじゃれた格好の猫である。


「あーー、ネコさんだー」


 さっきまで怒っていたユエちゃんの顔が、とたんに笑顔に変わりペルーに抱きついた。


「な、なんですかな? そ、そこは弱いのですぞ。にゃにゃっそこは…………にゃふぅん」


 ペルーはユエちゃんに身体をまさぐられている。あ……完全に堕ちた。


「…………」


「…………」


 俺とトライゾンの間を天使が通っていく。


「……あれだな。こいつが来るとダメだわ」


 トライゾンがペルーに向け顎をしゃくった。


「はは」


 俺は苦笑いしか返せない。ユエちゃんが絶賛ペルーをかわいがり中だからなぁ……。


「それで、今日はどうしたんよ。二人で手をつないで、同伴出勤か?」


 トライゾンが話を変えるように言った。

 ……何言ってんだこいつは。


「ちげーよ。ユエちゃんをファニートラップに送ってるだけだ。ついでに頼んでる装備を受け取って、今日は遺跡に潜るつもりだよ」


「なるほどねぇ。ようやくまともに冒険し始めたってわけだ」


「おかげさまでな、トライゾンこそ、最近見なかったけどどうしてたんだ」


 俺の疑問に対しトライゾンは顎に手を当てる。


「ふむ、……ちょいと泊まりがけで冒険行っててな。今日は久々に町をぶらぶらしてるトコ」


「そっか、今日遺跡に潜るパーティに空きがあるし、なんならみんなと相談して一緒にとも思ったけど、休養日ならやめておくか」


 俺の言葉、手を振りながら答えるトライゾン。


「いやいや、たとえ暇でもごめん被るぜ。どうせあれだろ? どん兵衛姉弟も一緒なんだろ?」


「どん兵衛姉弟?」


 思わず聞き返す。


「ほれ、赤いキツネと緑のタヌキだよ」


 ……ああ、なるほど。キツネさんとフジノキのことか。

 赤毛のキツネさんに緑のローブを着たフジノキ。得心が行った。


「そんなに悪い人たちじゃないぞ」


「んなこたわかってるっつーの。……ただまぁ、相性が悪いんだよ。それにまあ、今日は図書館に行く予定だしな。知的な俺様らしいだろ?」


 トライゾンはニヤリと笑い、言葉を続ける。


「そんなわけでっと。おら、そんなとこで完堕ちしてねーで、そろそろいくぞ」


 ユエちゃんになされるがままだったペルーの首根っこをつかみ、引きずっていく。


「それじゃあまたな」


「ああ、また」


 片手を上げるトライゾンに、手を振り返す。


「ネコさんまたねー」


 ご機嫌のユエちゃんもペルーに向かって両手を振っている。


「ユエちゃん、楽しかった?」


「うん、楽しかったー」


「それじゃあそろそろ行こうか」


「うん、ちこくしないよーにしないといけないもんね」


 改めてユエちゃんと手をつなぎ、ファニートラップに向けて歩き始めた。




 ◆



「お邪魔します」


 たどり着いたファニートラップ。まだ開店前と言うこともあって、そっと扉を開け中をうかがう。


「コダマちゃんとユエちゃんでしょう。入って入ってー」


 中からトラヴァーさんの声がする。

 その声に促され中に入ると、そこにはトラヴァーさんと、初めて見るハーフリンクの少年がいた。


「お互い初めてだったわよね。この子はベガちゃん、装備の修繕とコートを仕立てた子よ」トラヴァーさんはハーフリンクの少年を指していた手をこちらに向ける。「この二人はコダマちゃんとユエちゃん。ユエちゃんは今日から時々お手伝いをお願いすることになるわ」


 ユエちゃんも含めお互いに挨拶をする。


「いや、それにしてもあなたがコダマさんかー。予想と見た目はちょっと違うかも。でもありがとうね。おかげで現状最高級の素材を扱うことができたし、おまけに僕の作ったマントも買ってくれて儲かるし、経験値もゲットでウハウハだよ」


 ベガは一気にまくし立て手を差し出した。

 その勢いに気圧されながらも手を取り握手をする。


「で、さっそく着付けるよね。こっちこっち」


 そう言って握手した手を引っ張ろうとしたベガを、トラヴァーさんが止める。


「こーら、ベガちゃん。コダマちゃんが驚いてるでしょ。そんなことだからお客さんに逃げられちゃうのよ」


「はーい師匠。コダマさんもごめんね」


 素直に頭を下げるベガに、別にいいよと告げる。


「でもまあ確かに、ベガちゃんの言うとおりここで装備していった方がいいわね。ユエちゃんもコダマちゃんのかっこいいところみたいものね」


「え!? お兄ちゃんもっとカッコよくなるの? みたーーい」


 両手を挙げて喜ぶユエちゃん。

 それならば、お言葉に甘えてフィッティングルームに案内してもらった。


「それじゃあこれとこれと、あとこれも」


 ベガが着替えを一式手渡してくる。その上にはホルスターと剣帯も一緒にのっている。


「儲けさせてもらったからおまけだよ。剣と銃の両方を同時に使うって聞いてたから、クロスドロー用のホルスターにしてある。着替えたらマント羽織る前に呼んでね。付け方教えて上げる」


「ありがとう」


 そう言ってフィッティングルームの中に入る。ちゃんとした剣帯とかホルスターの付け方なんて知らないからありがたい。

 ちなみに今までは適当につるしていた。割となんちゃってだ。遺跡内では抜き身でうろついてたから問題にならなかったしな。

 正直な話、クロスドローと言われてもよくわかってなかったりする。


 少し時間を要したが。ベガの助けもあり何とか着付けをすることができた。

 左の腰、少し低めの位置にレントゥスを吊るし、右側のホルスターにグリップを上向きにしてフォルティスをさげる。このホルスター、オリゴナイフも納められるようになっているところが、また憎い。


『なかなかいいじゃぁないか』


『ふむ、もっとも今までの扱いがひどかったとも言えるがね』


 フォルティスはご満悦の様子。レントゥスもその台詞とは裏腹に満足しているようだ。


「よし、それじゃあお披露目だ」


 最後にマントを羽織ったところで、ベガが俺をフィッティングルームの外に押し出す。


「わー、かっこいいよお兄ちゃん」


「うん、なかなか様になってるねぇ」


 ユエちゃんは俺の姿を見て喜んでくれてるし、トラヴァーさんも腕を組み頷いている。

 俺も鏡で確認する。“黒緋(くろあけ)のマント”を羽織り、そのしたから黒地に白のラインの入った“エクリッシ装備一式”がのぞく。左の腰には、吊るされたレントゥスも垣間見える。

 武器もマントも含めて一式の装備であるかのようにしっくりとする。しかも、ちゃんとした剣帯で吊るしてあるせいか動きやすい。

 さすがに武器を抜くことはできないが、それもしやすそうだ。今日の遺跡探索が楽しみになる。


「気に入ってもらえたみたいだねー。一度使ってみて気になるところがあったら持ってきて、手直しするから。……あ、でも新しいホルスターを仕立てるんだったら別途お金をいただくからね」


 新しいホルスター? ……ああそうか、そういやさっき着付けの途中で、レッグホルスターやショルダーホルスター等、色々あるからまた注文してって言ってたな。

 でもまあとりあえずはこのままでいいんじゃないかなぁ、このホルスターも使いやすそうだし。


「ありがとう、でも今のところ大丈夫。動きやすいしね」


 ベガに満足してると答えた。


「さて、喜んでるところ申し訳ないけど、そろそろ開店の時間なの。準備しなくっちゃ」


 トラヴァーさんがパチンと手をたたく。

 しまったな、もうそんな時間になってたか。


「すみません、すぐお暇します」


「いいのよコダマちゃん。むしろいっつもお世話になってるのに、ゆっくりできなくてごめんなさいね」


「いえ、こちらこそお世話になりっぱなしです」


 そう言いながら急いで支度を済ませる。


「ベガ、トラヴァーさんありがとうございました。ユエちゃんも今日はお手伝い頑張ってね」


「お兄ちゃんも頑張ってねー。いっぱいいっぱい活躍するのー」


 大きく手を振るユエちゃんに手を振り返し、足早にファニートラップをあとにした。

エル:装備についてなんだけど、防具を買えるときは基本的に着替えなきゃダメだよ。


エル:瞬時に変えたりするにはそれ用のアーツを覚える必要がある。


エル:プレート系の装備なんかしてる人にとっては必須だよねー。


エル:ただこのアーツ、非戦闘時にしか使えないから注意が必要。


エル:防具を脱いでるときに突然戦闘になったときとかは使えないんだよね。


エル:戦闘中に装備変更するアーツもあるけど、そっちは当然コストが重いから、なかなかに難しい選択だよね。

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