復習と腕輪と
お待たせしました。
思ったより早くモチベーションが回復してくれたので一気に書き上げました。
引き続き浪人生をお楽しみください。
ダンジョンに潜った俺は、まず第5階層へは行かずに第4階層に潜った。
一月前、あの大蜘蛛にアレだけ苦戦したんだ。すぐに第5階層に行けば死ぬことになるのは目に見えていた。だから第4階層のボス部屋を瑠璃の言葉で言えば周回しようと思ってた。実際第4階層の罠は俺にとっちゃ新鮮な物だし、傾向がわかれば今後の対策にもなるからな。
そう思って改めてトライした第4階層。まぁ、結果は初アタックの時と同じ『漢解除』で落ち着いた。
いやな?俺も最初はどういう罠か仕組みから理解しようと、罠が有ると思う所をとことん調べて、どんな罠か知ろうとはしたんだ。だけどダンジョン故なのかわからないけど、普通の床や壁や自然と変わらなかったんだよ。少なくとも俺にはそう見えた。
そんなのが延々と続いて、尚且つ意図しないタイミングで罠が発動されちゃあもうどうしようもないよ。
だけど、流石にどういう所に罠が有るのか、どういう時に作動するのか、どういうタイプの罠が有るかはわかった。
おかげで咄嗟の反応での対処が楽になった。まぁ、辛いのは変わりないけど。
結論。即死罠以外は漢解除でOK!
…………よし、頭の中の整理終わり!
そうやって長時間……体感的に3時間ぐらいかな?罠の解除を独学で身に付けようとしつつ、結局俺には無理だとわかったお昼。軽く腹ごなしを終えてあの大蜘蛛が居た門の所まで行くと、しかしそこには何も無かった。
いや、在るには在る。あの門と同じ門だ。だけど……なんというか、迫力が全く無い。いや有るには有る。有るんだけど、この第4階層の他の蜘蛛達より少し強そうかな?ぐらいの迫力しか感じない。
「どうなってんだ…?」
俺はアレがこれからのレベルだと思ってた。なのに蓋を開けてみたらこれだ。拍子抜けというか、なんというか……。
取り敢えず入ってみることにした。
中に入ると目の前は1ヶ月前と同じ光景が広がっていた。
いや、1つだけ違う事が有った。ボスだと思われる蜘蛛だ。前に見たあの大蜘蛛は、まさに大蜘蛛と呼ぶに相応しい大きさだった。だけど目の前の蜘蛛は一般男性の2倍ほどの大きさだ。つまり大蜘蛛だ。
大蜘蛛は大蜘蛛だけど、この感じだと前の大蜘蛛は『巨大蜘蛛』と呼んだ方が良いのかもしれない。そう思えるぐらいには大きさが違った。
更に周りの木の本数は変わらないけど、木の上を歩く俺ぐらいの大きさの蜘蛛の姿も見える。……子供かな?
総じて言える事は、うん。こんな事を言っちゃ駄目なんだろうけど「相手にならない」って思った。
だから、
「悪いな大蜘蛛達。お前等を倒さないと帰れないんだ」
蹂躙することになってしまった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
戦闘は……何も言うことは無い。こう言ってはなんだけど、最早作業だ。
別に俺はバトルジャンキー?ってやつじゃないから、強い奴が現れてくれなくて良かったと言えば良かった、んだけど……物足りなさを感じてしまった。まぁ、今は良いか。
問題は左腕に填めている腕輪だ。蜘蛛達と戦っている途中、理由はわからないけど突然左腕からあの巨大蜘蛛の糸のような、蜘蛛の糸にしては硬過ぎるものが飛び出て地面に突き刺さった事が有った。それが左腕の腕輪から出てるのは、手首に引っ掛かるような負荷で気付いたけど、そのせいで戦闘中なのにその場に縫い止められてしまった。
戦闘中に身動きが取れないのは致命的だったけど、そのおかげで良い緊張感を持って戦えた。
じゃなくて!要するに、この腕輪のおかげで一時的にピンチに陥った。あの巨大蜘蛛の怨念か何かかと最初は思ったな。
ただ、何をやっても切れなかったから、諦めて、左手から力を抜いたら手元からパキッみたいな音が聴こえて、その直後にまた自由に動けるようになったなんて事が有った。瑠璃の言う『縛りプレイ』って制限が無くなった瞬間だった訳だけど、縛りプレイの話は良いんだよ俺。
問題は、この腕輪から出た物だ。なんで出たんだ?今の俺の力でも全然切れなかったし振り解けなかったんだ、もしかしたら武器になるのかもしれない。だからこそこれの使い方を知りたいんだけど、これ、どう使うんだ?
「……まぁ、色々試すか」
幸いここは今安全だ。それに良い的になる木が6本も有る。色々試そう。
そう思い、倒した蜘蛛達の戦利品をリュックサックに仕舞いつつ、新しいおもちゃを手に入れた時のようなワクワク感を必死に抑えた。
色々試してわかった事が有る。
まずこの腕輪から出る糸は、腕輪と繋がっているときは絶対に切れないし壊れない。何をやっても、腕輪と繋がってたらどうしようもなかった。ただ、腕輪から糸が離れたら柔軟性の有るとても丈夫な普通の糸になった。
次に糸の出し方。これは腕輪を付けてる方の手を強く握る事で出る事がわかった。腕輪からの離し方は、強く握った手の力を弱めれば良いだけだった。切羽詰まってたり力んでると力を籠めがちって証明をされた気分だった。
で、この腕輪から出た糸、腕輪から出したら何処かに当たって刺さるなりするまで何処までも伸びた。まさに蜘蛛の糸って感じだ。ただ1つ問題が有った。それは、明らかに精神的疲労とスタミナが減った事だった。
使えば使うほど、糸の距離が伸びれば伸びるほど、精神的疲労が増してスタミナが減っていくのがわかった。スタミナが減るってなんだって感じだけど、プールで泳げば泳ぐほど疲れていくあの感じに似てた。だからスタミナが減る。
でもまぁ、この現象がなんなのかは俺にもわかった。俺だって子供の頃はゲームをしてたんだ。その中にはRPGも有ったからわかる。要するにこの腕輪はMPってヤツとスタミナを消費して糸を出してるって訳だ。使えば使うほど減るって辺りが、まさに蜘蛛っぽい。
「………………」
良いことを思い付いた。この階層で試すのも良いけど、それよりここの3階層のゴブリンってやつで試すのが良いかもしれない。
第5階層の待合場所に移動した俺は、そこで1度休憩したあと第3階層に移動した。
2021/01/27追記。
今更ですが、この腕輪から発射される蜘蛛の糸の形状は、腕輪に繋がっている時は鉄パイプぐらい太さの直棒で、腕輪から離れたら拡がらないアメコミの蜘蛛の糸のようになっていると考えてください。




