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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
14/68

敗走


 6月4日。今日こそは第2階層の攻略を開始だ。


 まずは準備運動でサクッと第1階層をクリアする。

 慣れたものだ。1階層ぐらいなら、もう30分も掛からない。


 そして辿り着いた第2階層。第2階層の通路に行く前に大きく深呼吸をする。やはり初めての階層。緊張する。

 その場で深呼吸を何回かして、ジャンプしたり手足をブラブラ振って緊張をほぐす。


 「よし。よぉし、行くぞ!」


 自分に気合いを入れて、俺は1歩を踏み出した。




 第2階層も第1階層と同様に今のところ一本道だ。1階層の洞窟と違い完全に直径3メートルほどの円状の道だ、迷う筈がない。


 歩いている内に最初の部屋に辿り着く。


 「アレは……もぐらか?」


 中型犬ぐらいの大きさのもぐらのようなやつが居た。数は2匹。最初から2匹な辺り、階層が1つ上がったんだなと感じさせる。


 もぐらのようなヤツは、ハッキリ言って可愛い。つぶらな瞳をしていて可愛く顔をクシクシと撫でている。正直攻撃することが憚れる。


 しかし、攻撃するにもしないにも近付かない事には始まらない。

 俺はそぉっと近付いて行くことにする。


 近付けば近付くほど愛らしい見た目に毒気を抜かれる。

 そんな、可愛さに毒気を抜かれている時である。突如もぐら達が2匹とも俺の方を向いた。


 「……よぉ」


 片手を挙げて挨拶してみる。

 するともぐら達は一斉に地面へと潜り姿を隠した。


 目の前からもぐら達が居なくなって、残っていた毒気も一気に抜ける。


 この時の俺は、何故かもぐら達は逃げたのだと思っていた。そんなことある筈ないのに。彼等は立派なこのダンジョンのモンスターなのだ。


 緊張の糸がほどけて、完全に臨戦態勢を解いた俺は、次の部屋に進もうとした。


 その時だった。


 突然目が回り立ち上がることが出来なくなった。

 俺は地面へと倒れる。唐突に目が回ったこともそうだし、唐突に立ち上がることが出来なくなってパニック状態だ。目を白黒させてるのがわかる。

 そんな状況でも関係なく体に衝撃が走る。それは毎度、地面に面してる部分からだった。


 「まさ、か…」


 起き上がれない。とはいえ寝返りはなんとか打てる程度には回復した俺は、なんとかゴロゴロと転がりその場から離れようとした。

 その時に見ることになる。もぐらが2匹、地面から勢い良く出て来たのだ。つまり先程から俺を攻撃していたのは2匹のもぐらだったということになる。この部屋にもぐらといえば、地面に潜ったもぐら達しかいない。


 顎が痛い。立てないのは恐らく、たまたま運悪く顎に突進が当たり、軽い脳震盪を起こしたのだろう。


 このままでは恐らく死ぬ。


 俺は転がり、急いで元来た道を戻った。

 真面目に、本気と書いてガチで命の危険を感じたからだ。



 この日、俺は、ダンジョン攻略で初めて敗走した。



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