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幼馴染が神なもので。  作者:
――最近? うーん、特に変わった事はないかなぁ。――
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揺るがない理由

 ふかふかのベットで就寝したはずなのに、何故か冷たい檻の中で目が覚めた私は、体の感覚を確かめつつ軽く周りを見渡しました。

 無機質な作りの広い部屋に金属製の檻がずらりと並べられていて、檻の中には人やら獣やらが入れられています。

 自分や他の人達が、ほとんど下着みたいな格好でいることや、首・手首・足首に金属の輪が嵌められているところから推測すると、奴隷として売買されようとしている感じでしょうか。

 それとも何か良からぬ研究のモルモットにされるか、怪しげな儀式の生贄にされるというパターンでしょうか。

 欠伸を手で隠しつつ現状について考査していると、隣りの檻に入れられている緑がかった鱗肌の男性と目が合いました。


「ずいぶんと落ちついているんだな」

「まあ。慣れているので」

「……嫌な慣れだな」

「ですよね」


 嫌そうに顔を顰めた男性からのツッコミに、思わず深く深く頷いてしまいました。

 確かに、嫌な慣れですよね、本当。

 でも、こうも落ちついていられるのは、やっぱり慣れが大きいですし……まあ、それだけじゃないですけどね。


「大丈夫です。大人しく待ってれば、そのうち助かりますよ」

「下手な気休めだな」

「違いますよ。確定した未来の話です」

「……どこから来るんだその自信は」

「んー、まあ、何といいますか……」


 男性の縦に割れた瞳孔からそっと目を逸らし、私は部屋の天井を見上げました。

 直後、ぴしりと天井の真ん中に罅が入ったかと思うと、轟音と共に天井が弾け飛び……


「ミコー!」


 ちょっと焦った様子でモハが飛び込んできました。

 派手な登場に溜息が零れます。もう少し落ちついた突入方法はなかったのでしょうか。

 目を丸くして固まっている隣りの男性には、驚かせてしまって申し訳ないという気持ちで頭を下げておきました。

 幼馴染みが本当すみません。

 まあ、男性の目は空中を駆け下りてくるモハの姿に釘付けで、私の事など気にする世余裕はないようですが。


 そこでふと気が向いたので、私はさっと男性の耳元へ唇を近づけました。

 檻はいつの間にか消えていたので、私たちの間に遮るものは何もありません。

 そして、モハが突入してきたせいで言いかけのまま途切れてしまった言葉の続きを、そっと囁きました。



「幼馴染みが神なもので」



 言ってから、少しだけ照れ笑いが漏れてしまった事は、モハには秘密にしておいてくださいね?

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