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双子の少女達  作者: 納豆
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第1章

春の風が吹いていた。


白い石造りの大きな門。

空へ伸びる尖塔。

広すぎる中庭。


そして、その奥にそびえる校舎。


「ここが……」


セレナは門の前で立ち止まった。


「アストリア魔法学院……!」


胸が高鳴る。


ルクシア王国で最も優秀な光魔法使い達が集まる場所。

そして、いつか王国を守る魔法使いになるための場所。


セレナは両手をぎゅっと握った。


「よし」


小さく息を吸う。


「いっぱい勉強して、いっぱい強くなって……」


青い瞳がまっすぐ前を向く。


「立派な魔法使いになるんだから!」


そう言って、セレナは校門をくぐった。



入学式は長かった。

とても長かった。


学院長の話。

来賓の話。

ルクシアの未来についての話。


最初こそ真剣に聞いていたセレナだったが、三人目の挨拶が始まる頃には、もう半分くらい意識が飛んでいた。


「……まだ終わらないのかな」


小さく呟く。


ようやく学院長が話を締めた時、セレナはぱっと顔を上げた。


終わった。

そう思った。


「では、新入生はこれより入学試験を行います」


「……え?」


講堂がざわついた。


セレナも固まる。


「にゅ、入学試験?」


聞いていない。


少なくとも、今ここでやるとは思っていなかった。


教師が淡々と説明する。


「アストリアでは、入学時の成績によってクラスを決定します。筆記、魔力量測定、実技。この三つの総合評価で配属クラスが決まります」


セレナの顔から少し血の気が引いた。


「えぇ……」


強くなるつもりでは来た。


勉強するつもりでも来た。


しかし、そういう風にクラスが決まるとは思わなかった。


「ひえぇぇぇええ。」



試験は夕方まで続いた。


筆記。

魔力量測定。

光魔法の実技。


終わる頃には、セレナは完全に疲れ切っていた。


「学院って……もっと楽しい場所だと思ってた……」


ふらふらになりながら講堂へ戻る。


そこへ教師が声を張った。


「結果集計まで少々時間があります。その間、生徒会長より新入生へ挨拶があります」


新入生達の視線が壇上へ向く。


一人の男子生徒が上がった。


白金色の髪。

落ち着いた立ち姿。

静かな瞳。


セレナはぼんやりと見上げる。


生徒会長。


まだ、それ以上のことは知らなかった。


彼は新入生達を見渡し、穏やかに口を開いた。


「皆さん、試験お疲れ様でした」


その一言だけで、講堂の空気が少し柔らかくなった。


「今は結果が気になると思います。ですが、今日の結果はあくまで今の実力です」


静かな声なのに、よく通る。


「上位だった者は油断せず。思う結果が出なかった者は諦めず」


セレナは自然と背筋を伸ばしていた。


「アストリアは、今日の順位ではなく、これからの努力を見る学院です」


一拍置いて。


生徒会長は少しだけ微笑んだ。


「一年後の皆さんを、楽しみにしています」


派手な言葉ではなかった。


でも。


なぜか胸に残った。


「……なんか」


セレナは小さく呟く。


「格好良い人だなぁ」


近くの女子生徒が驚いたように振り返った。


「知らないの?」


「え?」


「ルシアン先輩だよ。生徒会長の」


「ルシアン……」


その名前を、セレナは初めて聞いた。



しばらくして、教師達が大きな掲示板を運んできた。


「クラス分けを発表します」


新入生達が一斉にざわつく。


「A組が一番上位だよな?」


「うわ、緊張する……」


「頼む頼む頼む……!」


セレナも慌てて人混みへ向かう。


「私の名前……どこ……?」


背伸びをする。


人の肩越しに掲示板を見る。


名前が並んでいる。


A組。

B組。

C組。


「セレナ……セレナ……」


そして。


見つけた。


「……あった」


セレナの目が大きく開く。


そこに書かれていたクラスは――。

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