第0章
この世界には二つの大国が存在する。
光の国――ルクシア。
闇の国――ノクス。
互いに異なる魔法を持ち、長きに渡り争い続けながらも決定的な戦争には至らず均衡を保っていた。
ルクシアの民は光を操る。
ノクスの民は闇を操る。
生まれた時に授かる属性は絶対で覆ることはない。
それが世界の理だった。
だからこそ一つの禁忌が存在した。
ーーー双子ーーー
もしルクシアで双子が生まれれば本来生まれるはずのない闇属性が生まれる。
もしノクスで双子が生まれれば本来生まれるはずのない光属性が生まれる。
それは世界の理から外れた存在。
災厄を呼ぶもの。
そう語り継がれていた。
しかしその禁忌は現実となる。
ルクシア王家に双子が生まれたのだ。
片方は光。
誰もが祝福する皇女。
そしてもう片方は
――闇
生まれた瞬間だった。
赤子の産声と共に城全体を震わせる闇の魔力が噴き出した。
窓ガラスが砕け散る。
燭台が倒れる。
部屋中に悲鳴が響く。
生まれたばかりの赤子とは思えない圧倒的な力。王は即座に処分を命じた。
「そいつを殺せ。」
禁忌だ。
災厄だ。
生かしておいてはならない。
だが誰もその赤子を殺せなかった。
近付けば魔力が暴れる。
触れようとすれば吹き飛ばされる。
討とうとすれば闇が襲う。
赤子は泣いているだけだった。
ただその身に宿る力だけが異常だった。
やがて王は決断する。
殺せないなら封じる。
そうして闇の子は城外れの塔へ幽閉された。
強力な封印。
魔力を抑える鎖。
外へ出られないよう張り巡らされた結界。
名も与えられず。
存在も隠され。
誰にも知られることなく。
そして10年の月日が流れるーーーー




