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第二話 白石晴乃は、犯人を見たかもしれない

読んでくださってありがとうございます!


第一話から来てくださった方、本当にありがとうございます。

ここから事件が本格的に動き始めます。


第二話、よろしくお願いします。

『実はね……私、犯人が誰か見たかもしれない』


その一文を見た瞬間、神代翔の眠気は完全に吹き飛んだ。


「……は?」


思わず声が漏れる。


午前3時を過ぎた静かな部屋の中で、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。


【重要情報を確認】


【事件進行率:12%】


「お前、急に元気になるな……」


翔は慌ててスマホを握り直し、すぐに返信した。


『本当に? 誰だったの?』


送信から二秒。


既読。


三秒後、返信。


『でも、はっきり見えたわけじゃないの』


『廊下から教室を見た時、一瞬だけ誰かが私の席の近くにいたの』


翔は画面を見つめた。


『誰か』。


そこが重要なのに、そこが曖昧だった。


『男子? 女子?』


『たぶん男子』


『背が高かった気がする』


背が高い男子。


翔の頭にすぐ浮かんだ人物がいた。


桐生蓮司。


クラスでも目立つ高身長。サッカー部のエース。女子人気も高い。


だが、同時に違和感もあった。


「……あいつが財布なんか盗むか?」


【先入観は捨ててください】


【人気者でも盗む時は盗みます】


「言い方」


翔は再びメッセージを打つ。


『顔は見えなかった?』


『うん……夕日で逆光だった』


『でも、教室から出ていく時にスマホ落としてた』


「スマホ?」


翔の目が見開かれる。


『スマホを?』


『うん。でもすぐ拾ってた』


『黒いケースだったと思う』


黒いスマホケース。


それだけなら情報としては弱い。


だがクラスの男子で黒いケースを使っている人間は、意外と限られている。


翔自身も黒だ。


「……最悪だろ」


【宿主も候補です】


「知ってるよ!」


白石からさらにメッセージが来た。


『ごめんね、もっとちゃんと見ておけばよかった』


『明日先生にも言うつもり』


翔は少し考えてから返信した。


『いや、十分助かる。ありがとう』


送信してから、自分で驚いた。


こんな自然に女子へ返事をしたことが、これまであっただろうか。


【会話能力 上昇予兆】


【陰キャ脱却率:1%】


「たった1%かよ」


だが、不思議と少しだけ気分は軽かった。


白石は、自分を疑って連絡してきたわけではない。


情報を伝えるために、わざわざ連絡してくれた。


それだけで、救われる気がした。


その時、新たな通知が鳴った。


クラスLINEだった。


『明日、朝ホームルーム前に財布の件で話あるらしい』


『先生ブチギレてるって』


『犯人いたら今のうちに名乗れよw』


『てか神代来る?』


『逃げるんじゃね?』


翔は無言で画面を閉じた。


「……クソ」


胃のあたりが重くなる。


いつもの悪ふざけ。


だが、明日は確実に自分へ視線が集まる。


【提案】


【先手を打って犯人を暴いてください】


「簡単に言うな」


【方法はあります】


青白い画面が浮かぶ。


---


捜査モード 初級解放


・記憶整理

・人物観察補正

・矛盾検出(低精度)


---


「……ちょっと待て」


翔は身を乗り出した。


「矛盾検出?」


【相手の発言に不自然な点があれば表示します】


「それ、強すぎないか?」


【ただし宿主の地頭が低いため低精度です】


「最後に必ず殴るな」


翔はノートを開いた。


明日の朝までに整理する。


今日の放課後、教室にいた人物。


・神代翔

・桐生蓮司

・早坂美優

・相沢先生


財布がなくなったのは、白石が帰った後。


犯人は、財布の位置を知っていた可能性が高い。


「白石の席、普段から見える位置にいるのは……」


桐生は斜め後ろ。


早坂は隣列。


相沢先生は教壇側。


誰でも可能性はある。


だが問題は動機だ。


桐生は金に困っていない。

早坂は白石と仲が良い。

先生ならリスクが高すぎる。


「……わからん」


【正常です】


【宿主は推理初心者です】


「フォローに見せかけて馬鹿にしてるだろ」


時計を見る。


3時42分。


明日も学校だ。


だが眠れる気はしない。


ベッドに横になった瞬間、またスマホが鳴った。


今度は個人メッセージ。


送り主――桐生蓮司。


「は?」


翔は目を疑った。


クラスの人気者が、自分に連絡してくることなど一度もなかった。


恐る恐る開く。


『神代、起きてるか?』


『明日ちょっと話したいことある』


翔の背中に冷たい汗が流れた。


【新イベント発生】


【主要容疑者 接触】


「タイミング良すぎるだろ……」


返信するか迷っていると、追加でメッセージが来た。


『財布の件で、お前にだけ伝えたいことがある』


「……なんだよそれ」


白石は犯人を見たかもしれないと言う。


桐生は財布の件で話があると言う。


そして自分は、なぜか中心にいる。


翔はゆっくりと息を吐いた。


昨日までの自分なら、見なかったことにして逃げていただろう。


でも今は違う。


少なくとも、勝手に犯人扱いされるつもりはない。


翔は画面を見つめ、返信を打った。


『わかった。明日話そう』


送信。


既読。


すぐに返事が来た。


『朝、屋上来てくれ』


屋上。


人気のない場所。


翔の喉が鳴った。


「……これ、口封じとかじゃないよな?」


【その場合、宿主の勝率は9%です】


「低すぎるだろ!」


だが、行くしかない。


事件の真相へ近づくために。


そして、自分の冤罪を晴らすために。


午前4時。


眠れない夜の中で、神代翔は初めて強く思った。


――明日、俺の人生を変えてやる。


その決意と同時に、システム画面が静かに光る。


【第二任務予告】


【朝の屋上で、嘘つきを見抜け】


【報酬:洞察力+3】


【失敗:さらに陰キャ扱い】


「最後のそれ、もう固定だろ……」


翔の小さなツッコミは、誰もいない部屋に消えていった。

第二話を読んでくださってありがとうございます!


白石、桐生、そして屋上。

少しずつ全員が動き始めました。


第三話では、朝の屋上で人気者・桐生蓮司との対面です。

ぜひブックマーク・評価よろしくお願いします!

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