51.エロエルフとダークエルフのガチンコ対決!その3
リュドミラは頭を沸騰させていきり立っている。
俺はと言えばそんな彼女には構わず観客からの声援に応えてルンッ♪とか、キャハッ!とかステージのど真ん中でポーズをつけていた。
最前列に座っているタローは何が行われているのか分からない様子だが、キャッキャッと手を打ち鳴らして喜んでいた。退屈してないみたいで良かった。
2人の温度差に司会の男、アーマンドは困惑気味だ。
「……と言うわけなんですが、判定に入ってもよろしいんでしょうか、ティアさん」
「あ、いーよー。やっちゃって!」
あっさりと片手を上げて答える。
どうせこんなの、勝とうが負けようが茶番だ。楽しければなんでも良かろうなのだッ!
男たちがぞろぞろとステージに上がってくる。パシりくんが彼らになにやら1人につき、ふたつの札を渡した。
お前……ほんとに不憫な奴。あとでおじさんがジュース奢ってやるからな。
その札を判定に使うようだ。良くテレビのクイズ番組で見るような丸いプレートに棒をつけたようなやつだ。〇Xや点数じゃなくて、単純に白と黒に塗られている。
6人の男たちは全員が右手に黒、左手に白のプレートを下げてステージ上に並んだ。
「皆さん、お分りかと思いますが、リュドミラ様の方が優れていると思われた方は黒を、ティアさんだと思う方は白の札をお上げください!」
観客への説明もあるのだろう。アーマンドが声を張り上げる。
「それでは一斉に上げていただきますッ! さん、にぃ、いち、はいッ!」
かけ声に合わせて男たちが自分の信念に従って、腕を振り上げる。
黒い札が3つ、白い札が2つ……最後に遅れてパシりくんが迷いながらもオドオドと左手の白い札を掲げた。
同点だ!
と言うことは……。
俺たちは観客席にいるタローへ視線を向けた。
誰もタローに札を渡すのを忘れてたようだ。
「タローちゃんはどっちの方が好きだったー?」
大声で聞くと、よく分かってない様子で小首を傾げている。
「マ……マ!」
ですよねーw
わぁっと観客が大歓声を上げる。
信じられない、と言う顔でリュドミラがその場にへなへなと崩れ落ちた。
「ど、どう言うことですの、これは……まさかアーマンド、貴方が裏切るなんて……」
床にうずくまっているリュドミラが、キッと白い札を上げている男を見上げる。
アーマンドは少し気まずそうだ。
「やはり殿方なんて、胸が大きければ誰でもいいのね!」
「そうじゃない、リュドミラ。こいつは自分の信念に従っただけ。リュドミラが嫌いになったとか、そう言うことじゃないんだ」
静かに告げる俺に、リュドミラは怪訝そうに眉を寄せた。
「今回は大きさや形、張りだけじゃなくて、総合的に魅せ方も競う内容だ。乳をただ見せつけるんじゃなく、隠していてもアピールする方法があるって言う俺の発想が評価されたに過ぎない」
もったいぶって語る俺の言葉に、白札を上げて罪悪感があったのだろう。男たちがコクコクと頷く。
「本来、乳に優劣なんてないんだ。大丈夫、乳が大きかろうが、小さかろうが、こいつらはリュドミラのことが大好きだよ」
なっ、と男たちに笑いかける。
「ほ、本当ですの……?」
最初の強気な態度はどこへやら、リュドミラは胸元を腕で押さえながらオドオドと皆を見上げた。
「もちろんですっ!」
「いつまでもおともいたします、リュドミラ様っ!」
男たちが口々に思いを述べる。俺はその様子をやれやれと横目で眺めた。
仲がこじれないようにもっともらしいことを言って取りなしてやったが、ぜーったい奴らの言葉は嘘だな!
巨乳じゃなかったらリュドミラの親衛隊なんてやってないだろ。
でもま、いっか。
奴らに励まされてだんだんと笑顔を取り戻していくリュドミラを見て、俺は目を眇めた。
きっかけがなんであれ、今、ともに過ごす時間に偽りなんてない。
楽しければなんでもいいんだって!
俺だって、今はこいつらのこと嫌いじゃないよ。
顔に笑みを広げてリュドミラへと手を差し出す。
「だからさ、そんなところで座ってないで、早く立とーよ!」
差し出された掌を複雑そうに見上げ、それでもリュドミラは俺の手を取った。
「フンッ。そこまで言うなら手くらい借りてあげますわ」
いまだに憎まれ口が治っていない。リュドミラらしいな。
俺はクスクス笑って、リュドミラの手を引っ張って立ち上がらせた。
そのままリュドミラが俺の手をキュッと握り込む。
えっ?と隣の顔を見やった。
「悔しいですが、今回の勝者はティアさん、貴女ですわ!」
リュドミラは宣言して、繋いだ俺との手を高らかに上げた。
ウワーッと観客たちが喝采を上げる。
リュドミラさん、あのね、その服で腕なんか上げたら横乳、丸見えですから。
何度もあざーっす!!




