24.エロエルフ、散財す!
小人の名前はフィオリーノだが、フィオでいいと言われた。
こう見えて、もう結構なお年らしい。
いつまでも若いって羨ましい。
「ティアだってエルフなんだから、寿命は長いでしょ? 下手したら僕より年上だったりする?」
「32歳です」
とりあえず実年齢を答えておく。エルフの設定年齢なんて知らん。
宿で鏡を見た感じだと、外見年齢は16歳くらいに見えたな。
「えっ、僕より年下? それでレベル1なのかー……まぁ、あり得なくもないか?」
エルフの30代はどうも子供とみなされる年齢っぽかった。
てゆうかサラッと流したけど、フィオの奴、年上なのか~。多分、4、50歳くらいとみた。
おっさんじゃん。
店にあるもので俺にも使えそうな道具を見繕ってもらう。
「ティアはエルフだから精霊魔法が使えるんだよね? それなら、精霊石のアクセサリーはどうかな?」
精霊石は精霊との親和性が高く、より少ないMPで、更なる効果が期待できる。
その分、お値段が張るのだが。
「じじゃ~ん。ウチで一番高いやつだと、金貨10枚でーす! 風の精霊石で、ティアとの相性もバッチリ!」
よりにもよって一番高価なものから見せつけてきやがった……フィオが両手に垂らしているのは、額につける形のサークレットだった。
真ん中に雫型の緑色の宝石がついていて、形といい色といい、たしかに俺のために誂えたみたいな品物だ。
またサークレットって言うのが、形から入りたがる厨二な俺の心をくすぐる。
だってエルフっぽいじゃ~ん。
しかし俺はしょんぼりと肩を落とした。
街に入る時にひとつ換金しちゃったし、金貨はあと9枚しかない。
サークレットを買うにはお金が足りない……。
「あと金貨9枚しかないんだよね」
「いやいや、あれは白金貨でしょ……えっ、もしかして白金貨9枚持ってるって意味!?」
フィオが目の色を変えて食いついてくる。
失言した。なんかおかしいと思ってたけど、この聖オルセアン金貨って普通の金貨とは違うみたいだ。
「聖オルセアン金貨は国でお祝い事があった時にだけ作られる特別な硬貨だよ。別名、白金貨。ほら、普通の金貨に比べて純度が高いから、白く輝いて見えるでしょ」
俺の白金貨と、フィオが持ってた金貨を出して並べて見せてくれる。
確かに白金貨の方が一回り大きくて、発色も綺麗だった。
表に刻まれてるおっさんの肖像画もくっきりしている。このおっさんはオルセア王国の王様らしい。
「金貨10枚で白金貨1枚計算だね。もちろんティアはこのサークレットを問題なく買える」
こっわ。フィオは目だけ真顔で、顔は営業スマイルで微笑んでいらっしゃる。
さては俺に色々、売りつける気だな。
俺は財布の口を堅く引き締める……ことはできなかった。
「所有者のHPが0になった時に代わりにダメージを引き受けてくれる、身代わりのブレスレットってのがあるんだけど?」
「防御力が心配なら護符を使おうよ。戦闘ごとに使い捨てなのが不便だけど、その分、高くないよ! 1セット10枚入りで銀貨1枚で~す! 10セット纏めて買ったら値引きするよ!」
「ブーツを履きたくない? ダメダメ。冒険者は足元から狙われることもあるからね。しっかり防御しないと。ところで所有者のサイズに自動的に調整してくれる魔法のブーツもあるけど? 毎度、ありがとうございま~す!」
どんどんとカウンターに積み重なっていく商品に、さすがの俺も慌て始める。
「ちょっとちょっと、フィオ! 確かにどれも冒険には必須のような気がするけど、こんなにたくさん持って帰れないよ!」
「そんな非力なあなたに、うってつけの商品があります」
カウンターの向こうから、小人は悪魔の微笑みを見せた。
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