23.エロエルフ、魔道具屋に入る!
裏路地は薄暗くて、あまり人が歩いていなかった。
とは言え、いかがわしいと言う感じではない。通りはまぁまぁ清潔だ。
なんのお店か分からないが、そこかしこのドアの横にイラストのついた丸看板が掲げられている。
箒に乗ってる魔女とか、飛竜の看板なんて、何を売ってるのかめっちゃ気になるな。
その中で目を引いたのは、小道具屋って言うんだろうか。ごちゃごちゃと整理してない小汚い品物が、床から棚の上まで所狭しと置かれている店だった。
これって、魔道具とかだよね?
入っちゃおっかな。入っていいんだよね? お店だもんね?
興味津々でドアを開ける。
木製のドアにつけられたベルが、リンリンっと鳴った。
「いらっしゃいませ」
品物に囲まれて見えづらいけど、奥のカウンターにはショタっ子みたいな少年が一人、座っていた。
サラサラの金髪で、子供なのにちょっとイケメンってとこが気にくわない。
「僕、お留守番? ここってなんのお店なのかな?」
話しかけると少年はムッと口を曲げた。
「僕はハーフリング。小人一族で、こう見ても成人してるんです」
小人かー。言われて見ると確かに耳の端が尖っている。
初めて見たけどチマっとしていて可愛いなぁ。こういう種族でも良かったかもなぁ。
俺はグリグリと小人の頭を撫でた。
「そうか、そうか。店番できて偉いなー」
「ちょ……人の話、ぜんぜん聞いてないじゃないか、このバカエルフが。アンタ、あれでしょ。昨日、ギルドに突然現れた、レベル1のデカパイエルフ!」
少年が俺の胸元に向かってビシィと指をつきつけてくる。
もしかしたら顔を指さしたかったのかも知れないが、身長差のせいでデカメロンに阻まれてしまったようだ。
そうか。もう街の人にも俺の噂が出回っているのか。
「レベル1ってのはあってるけど、デカパイって言うのは品がなくない?」
「僕を子供扱いするからだよ」
少年は俺をバカにするように、ハッと肩元に腕を上げた。
だが、俺が言いたかったのはそう言うことじゃない。腰に手を当てると、胸を張って宣言する。
「エロエルフ、略してエロフって呼んでくれ!」
「胸が大きいだけじゃなくて、おつむも弱いとか……」
こらっ、その呟き、聞こえていますよ!
少し話を聞くとここは、この少年……じゃなかった小人のお店で、やはり魔道具を売っているらしい。
「魔晶石とかあります?」
「そりゃ、魔晶石くらい取り扱ってるけどさ。分かってんの? 魔晶石は数が少なくて貴重なんだよ。MP30のものでも最低、金貨1枚はする。駆け出しの冒険者に買えるようなもんじゃないよ」
小人はやる気なさそうにヒラヒラ~ッと手を振った。俺を店から追い出したいみたいだ。
あんまりにも取りつく島のない態度に、だんだん俺もむかついてきた。
魔晶石は新規登録キャンペーンの配布アイテムで最初から5つ持っているけど、これから冒険に出るなら増やして悪いことはない。
「金貨って、これでいーの?」
例の高価な金貨をウェストポーチから1枚だけ出して見せると、いきなり奴の顔色が変わった。
「聖オルセアン金貨……もっ、もちろんでございます、お姉様! 当店で取り扱っている最高級の魔晶石はMP100ですが、それでも十分、ご購入いただけます!」
カウンターの後ろから飛び出してきて、揉み手で俺に向かってヘコヘコと頭を下げてくる。声色まで変わっているじゃないか。
豹変っぷりが怖い。
現金な奴だな~。
こんな金貨、たくさん持ってたら怖いから、こいつのとこで使っちゃおうかな?
「じゃあねー、魔晶石5コと~、あとなんか魔法の威力を上げるような道具はない?」
「ごっ……申し訳ございません。最高級の魔晶石でしたら3つしかご用意が……」
「いいよ、いいよ。じゃあ3つでいいよ」
小人があんまりにも頭を下げまくってくるのがおかしくて、つい笑ってしまう。
顔を見合わせたら、やっと小人も表情をほころばせた。
根は悪い奴じゃなさそうだ。
(*´-`) (´∀`*)




