22.エロエルフ、買い物をする!
今日の授業内容は攻撃魔法となった。
まだ早いと全員に言われたのだが、泣き落としでなんとか教えてもらえることになったのだ。
ウィンドカッターと言って、前回習ったブリージングの応用編みたいな感じだ。
「精霊はあまり攻撃を好まない。多用すると嫌われてしまうからな? あくまで、身を守るための手段のひとつと考えぃ」
ドワーフが使うと幾筋もの風の刃が前方に勢い良く巻き起こって、練習用の木の棒をズタズタに切り裂いた。
俺の場合はブリージングですら扇風機の弱より頼りないのだから、刃というより針先でつつくくらいだ。
と言うか、ブリージングとウィンドカッターの違いがまったく現れていない。
「ええから、今日は魔力が尽きるまでそれを練習しておけ」
言い置いて皆はダンジョンに出かけてしまった。
ちなみに今日の授業料の銀貨3枚も当然のように皆に取り上げられて、ドワーフの手元には残らなかった。
しばらく1人で練習場に残って、そよそよと風を撒き散らしていたが、早速だが飽きてきた。
せっかくファンタジーの街にやって来たんだから、今日は市街地見学をしよっかな。
そうと決まれば今日の練習はおしまい!
俺は意気揚々と街に繰り出した。
ふんふ~ん♪と鼻歌混じりに朝の市場を歩く。
道の両脇に露店が立ち並び、色々な食料や道具なんかを売っている。
フリーマーケットみたいな感じだな。
あんまりにも店が張り出してて、人が2~3人、並んで通るのもやっとくらいの狭さだ。
果物や野菜も見たことのない形状のものがたくさん並んでて、眺めてるだけで楽しい。
「おばちゃん、これひとつちょーだい」
その中のひとつ、リンゴみたいな、多分だけど果物を朝のデザート代わりに買ってみる。
「銅貨3枚だよ」
「はい」
言われるままにお金を渡すと、なぜかおばちゃんは慌て始めた。
「なっ、なんだい、この子は……し、仕方ないねっ、今回だけは1枚でいいよ」
急に2枚の銅貨を突き返される。
???
なんでなんだ?
クェスチョンマークで頭の中をいっぱいにしながらも、まけてくれるって言うんなら別にいいんだろう。
「ありがとー、おばちゃん」
ニコッと笑ってリンゴ(仮)を受け取ると、おばちゃんは女なのにちょっと頰を赤くした。
それからも何か買おうとするたびに、最初に言われた金額より安くされてしまう。
俺が美人だからって理由じゃなさそうだ。
よくよく他の人の買い物を観察してみると、なんだか値段交渉みたいなことをしている。
つまり最初は高い値段を吹っかけて、それから徐々に値切って最後は適正価格に落ち着くってわけだな。
俺が言われるままに金を渡すから、皆、呆れて返金してくれてたみたいだ。
でもめんどくさいから、ぼったくられてもいいや。
金なんか余るほどあるわけだしな。
リンゴをシャクシャク食べながら道を歩く。
着替えの服もなかったので、シャツとか下着とか、他に日用品なんかを買っておいた。
女性ものの下着を買うのはちょっと恥ずかしかったが、まぁ、こっちの世界の下着はただの薄茶色をした布切れだ。
現代日本みたいに色とか豊富だったり、刺繍やレースがついてるわけじゃない。
あまりにも色っぽさがない。
スポーツブラみたいな感じ、と言えば分かってもらえるだろうか?
おパンツも言わずもがな、だ。
荷物を腕に抱えてると、親切なお店の人が紙袋をくれた。
ゲームと違って、インベントリがないから全部、自分で持たなきゃいけないのが面倒だな。
この身体は非力だから、服とかだけで精一杯だ。
露店を端まで歩くと、周囲にあんまりお店がない、住宅街みたいになってきた。
元来た道を戻るのもつまらないから、ひとつ違う通りを帰ろうかな。
そこで俺は角を曲がって、裏路地に入り込んだ。
*+.(・∀・).+*.。oO(こっちの道には何が!?)




