7
「――総ては貴女の思惑通りの結果に」
魔界の深淵。
そこは闇だった。地の感触すら無く、上下左右の感覚もない。対面した二人はハタから見ればまるで何も無い宙に浮かんでいるかのようだ。
鷹人は片足をついたまま一度も顔を上げる事なく、闇の玉座に座る己が主に告げる。
「……識っている。遠い過去から総てを見てきた」
闇の中に在るにも関わらず、互いの姿ははっきりと目にする事が出来る。
細く低いアルトを発した人物は、紫の法衣に身を包んでいた。
常にフードを深く被っている為、鷹人は未だ己が主の顔を見たことがなかった。
それでも紫の生地の隙間から垣間見れる肌理細やかな白肌や、ほっそりとした顎のラインは今し方言葉を交わした鮮やかな青の髪の少女に酷似しているように思う。
「――確かに。現実は僅かではあるがズレをみせている。
しかし……あの方の波動も、ついに現実に。
先刻、感知する事が出来た…………」
小さく漏らした彼女の言葉に、どこか恍惚とした印象を受けた。鷹人は初めて耳にする主の感情の変化に目を丸くし、少しだけ顔を上げた。
が、見上げた彼女はやはり冷徹な印象のまま、鷹人の視線に気づく事なく、鋭利な赤の瞳で中空を睨んでいた。
「……これは、もはや定められた未来。
ダヴィ。おまえが何を企てどれ程足掻こうとももうすぐ――我が願いは成就する」




