神与那原龍一の映像記録
全員逃げきれた
今は伊月の道場に身を隠している
千紗都「アレが神与那原終二…」
若葉「人体操作の能力者」
伊月「怪異との接触あり」
冷「終二のみが接触してるとは考えにくいわよね…」
千紗都「だろうな…少なくとも神与那原一家は関ってると考えていいだろう」
若葉「その怪異はどこから出たか分からない」
千紗都「あそこは裏路地だ、隠れる場所は山ほどある」
冷「少なくとも体内に潜んでるタイプじゃなかった」
若葉「狐の面をつけてたね」
千紗都「あの時出会った怪異と関わりがあるだろうな」
朔真「得られた情報はこんなもんか…」
若葉「知的なこと言うと熱出るぞ」
朔真「バカは風邪引かない」
冷「千紗都、雁夜に情報を」
千紗都「分かった」
雁夜に電話を掛ける
ピロロロロロン♪ピロロロロロン♪ピロロロロロン♪
雁夜「千紗都!無事だったか?」
千紗都「うん問題ない」
雁夜「誰に襲われた?」
千紗都「神与那原終二」
雁夜「…どうだった?」
千紗都「恐らく殴った部位を操作出来る能力者、怪異の接触あり」
雁夜「最悪の状況か…」
千紗都「怪異は骸と名乗ってた」
雁夜「ここに来て名前持ちか」
千紗都「ラフな格好をし狐の面を付けていた、国道299号線の怪異と関わりがあるだろう」
雁夜「国道299号線の怪異…この前電話で言ってたツムジって怪異か」
千紗都「そ」
雁夜「…分かった、コッチも神与那原龍一の情報を手に入れた」
千紗都「ま?」
雁夜「昨日の防犯カメラの映像だけどな」
冷「有ると無いとじゃ大違い」
雁夜「千紗都のスマホに送るわ」
ピロン♪
千紗都「届いた」
雁夜「こっちも何かあったら連絡するから、その映像見とけ」
千紗都「分かった」
雁夜「じゃあ私は業務に戻るな」
千紗都「あぁ忙しい中ありがとな社長」
雁夜「はいよ」
ピ!
電話が終わる
千紗都「映像か」
朔真「観たい観たい」
冷「この状況で見ないなんてありえないわよね?」
千紗都「分かってるよ」
千紗都が映像を流す
映し出されたのはパチンコ屋の監視カメラ映像だ
千紗都「どれが奴だ?」
朔真「コレじゃない?」
他の奴の持ち球を脅して奪ってる奴がいる
千紗都「コイツか?」
奪った持ち球を景品に変えて景品交換所で現金に変える
千紗都「ピックアップされてるしコイツか」
若葉「やってることはチンピラだな」
街に出る
千紗都「警察だ」
警察が龍一に気付いたが直ぐに目を逸らし進行方向を変えた
若葉「気付いたよね?」
千紗都「気付いたからこそ逃げたのか」
伊月「警察って意外と無能ですね」
朔真「今更だろ、今回も前回も逃げきってるのが良い証拠」
朔真の言葉は妙な説得力のあった
千紗都「一回も捕まったこと無いのか?」
朔真「流石にある」
千紗都「あるのかよ」
朔真「留置場と鑑別に行った」
千紗都「あぁ懐かしい」
朔真「そっか!正当防衛のお前も行くのか!鑑別の飯のパン硬いし不味くね?」
千紗都「分かる!」
犯罪者予備軍共が意気投合する
若葉「そんな話で盛り上がってないで見ようぜ、ほら動きがあるよ」
パシリと思われる三人組から頭を下げられてる
千紗都「凄いな」
チラチラ見ているが周りの人間はそれが当たり前であるかのように過ごしている
伊月「警察がこんなんだから神与那原一家とは関わりたくないのでしょう」
朔真「こんなチンピラみたいな奴なら俺一人で勝てそうだが」
冷「なんかそんな気がしてきた」
若葉「立ち止まった!」
龍一の目線の先にはイチャイチャしながら車に乗ろうとしているカップルがいる
龍一はそのカップルに近づく
伊月「嫌な予感がしますね」
予感は的中した
龍一は彼氏をぶん殴り車のカギを奪った
音声は無いが彼女は恐らく悲鳴を上げて立ち尽くしている
千紗都「ヤバ…」
彼氏は強烈なパンチを喰らい痙攣している
朔真「…だっせぇな」
龍一は彼女を後部座席に押込み、運転席に乗りどこかへ出発した
動画はここで終わった
千紗都「終わりだ」
若葉「ただのクソ野郎では?」
若葉の言葉を最後に喋らなくなった
みんな反論が無かったのだ
朔真「てかよ…何で怪異はこんな奴に協力してるんだ?」
冷「怪異が力を付けるには人間を殺すか人間が忌み嫌い呪い合うような負の感情で力がつく」
若葉「忌み嫌われるってところなら神与那原一家は都合がいいのか」
朔真「でも、そんな回りくどいことをせずに怪異が人を殺しまくればいいじゃん」
冷「うーん…パターンがあって、パターンA怪異がなりふり構わずそこら辺の人間全員ぶっ殺した場合は私達縁妖會総動員でぶっ殺せる、パターンB人間の中に隠れて悪さする場合は千紗都達が人間たちの相手をし私が怪異を祓う、パターンC千紗都達の寿命を待つ場合は先に仕掛ける」
朔真「最初から先に仕掛けちゃダメなの?」
冷「無理ね、人間に手を出せない理由と同じ」
朔真「そういえば妖怪は人間に手出し出来ない法律があるんだっけ?」
冷「そうね」
朔真「他にはどんな法律があるの?」
冷「…貴方は日本の法律を覚えてるの?」
朔真「ごめ~んなさ~い」
若葉「でもある程度は覚えているだろ?」
冷「あ~確か…『妖怪は人間に危害を加えてはならない』『妖怪はむやみやたらに他の種族を傷つけてはならない』『妖界境に住む生きとし生ける者は結界を壊してはならない』『人間界に何らかの形で危機が訪れた場合は妖怪は代表者を設け手を貸すべし』『以上を破った者は罰則として霊力、妖力、呪力のどれかを強制的に徴収される』ってのは覚えてる」
若葉「…妖怪はってのが強調されてるな」
伊月「『妖界境に住む生きとし生ける者は結界を壊してはならない』みたいに生きとし生ける者って表記すればいいのに…」
千紗都「法律は弱者と権力者を守る…」
朔真「ってことは法律を作った奴は怪異!?」
答え合わせを求めるように冷を指差す
冷「いや、妖界境を作ったのは妖怪よ」
伊月「自分が不利になる法律を作った?」
千紗都「アホか策士だな…裏があるかも」
若葉「何かただのアホな気がしてくるな」
結局この後の話し合いは何の成果もなかった




