えらいって大変
「坂上様、こちらヌーンデルバルグ大公でございます」
セレモニーの後。談笑タイム的なものが始まった。
私たちの横にはメイドさんがいて、目の前にいるお髭を生やした男性の紹介をする。
「お目にかかれて大変光栄です」
そういって私たちに向かって丁寧に深くお辞儀をした。
どうやら私たちがスタンピードを倒した件はもうすでに国中に広まっているらしく、こうしてご挨拶を受けているのだ。
「お、おう...」
「ど、どうも....」
すると、一人の女性が近付いてきた。
「こちら、カトリーヌ公爵夫人でございます」
「ごきげんよう、お目にかかれて光栄ですわ」
「ご、ごきげんうるわしゅう....?」
「ど、どうも...」
いかんせん場慣れしていない私たちはぎこちない対応しかできない。
私は見様見真似でドレスの裾を持ち上げながら挨拶した。
その後も.....
「こちら、エカテリーナ伯爵夫人です」
「ど、どうも...」
「こちらは公爵の御子息様の.....」
「あ、はあ...」
「こちらは男爵の義理の母である....」
「どうも....」
次から次へと色んな人を連れてこられて私たちはてんてこまいだった。
「も、もう誰が誰だか.....」
「私たち、何のために頑張っているんだろう.....」
「も、もうふらふらしてきたわ〜」
こうして一通りご挨拶が終わる頃には、私たちは疲れ果ててしまったのである。
えらい人はこんな事を普段からしているんだろうか。
えらいって大変だな。
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部屋に戻った私たち。
なんだかもう疲れてしまったので、勝手に服を脱いで部屋着に着替えた。
この後まだ何かあるのかなあ。まあ何も言われてないし、別に行かなくても良いよね?
広いベッドにごろんちょして、リュックから食べ物を取り出しむしゃむしゃ食べる父と私。
母も流石に疲れたのかベッドで横になっていた。
すると、ドアがこんこん、とノックされる音がして、メイドさんが中に入ってきた。
「お休みのところ失礼致します!.......って、」
ドアの前で固まるメイドさん。
彼女の目にはベッドの上でぐうたらしながら食べ物を頬張る私と父の姿が写っているようだった。
「なんでもう着替えてるんですか!?!?!!?」
「えーー、だって疲れちゃったんだもん」
「俺たちは生粋の自堕落人間なのでな」
「まだ今日はこれから出ていただく式がたくさんあるんですうううううう」
メイドさん、半泣きである。
「それってさあ、いつまで続くの?」
「だいたい一週間ほどですかね、細かいのも含めるともう少し...」
「うげっ、聞いてないよそんなの!」
「嫌だ、そんなのやりたくない!」
ベッドの上でじたばたする私と父。
「そ、そんな事を言われましても、ど、どうしましょう...」
そう言ってメイドさんは困った顔をした。
いやだいやだー!とじたばたする少女と中年の対処法は誰にだってわからないのだ。
「私は式を強制した覚えはありませんよ、サクラ」
じたばたしていたのをやめて、顔を上げると、そこには王女様が立っていた。
王女様!?なぜここに!?
私はさっきまで駄々をこねていた自分が急に恥ずかしくなってきた。
部屋着姿で食べ物を片手に持ち、いやだいやだとじたばたする私。
その目の前に立つのは、王冠を被ってドレスを着た気品高き王女様。
でも、なんでここに王女様が?
私はベッドの上でしばらく、呆然と王女様の姿を見つめていたのであった。
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