収穫祭がはじまる
「やーそれにしても色々あったよなあ」
パジャマに着替えた私たちは、父が『物質創造』で創り出したトランプでババ抜きをしていた。
通された客室はだだっ広くてどうも落ち着かない。
何か気を紛らわせる必要が私たちにはあったのである。
母のカードを見つめながらウーンと唸る私。
プレイヤーは父、母、私、そしてゴーちゃんである。
「ゴーちゃん、トランプも出来るのね〜」
「ゴー!」
両手でトランプを持ってゴーちゃんはニコニコしていた。
ゴーレムなのにトランプまで出来るなんて。
かわいいなあ。ゴーちゃんかわいい。
リコは父の胸に抱き抱えられ、だあ、とか何とかたまに声を発していた。
「これだっ!」
しゅぴっ、と母のカードを引く私。
その瞬間、母の目がギラリ、と光った...気がした。
「うぐっ」
ジョーカーだ。ジョーカーを引いてしまった。
「なんだ、カエデ、ババ引いたのか」
「うえっ!?ち、、ちがうよ!?」
「分かりやすすぎるぞ〜」
父は若干私を小馬鹿にしながら、私のカードを一枚引いた。
「うぐっ!?」
父が持っていったのは、ジョーカーだった。
「あらあら、パパもジョーカー引いたのー?」
母がニコニコと話しかける。
「ち、違う!!!断じて違うぞ!?!?」
「わかりやすいわね〜」
母はニコニコと笑って言った。
こうして私たちは落ち着かない夜をカードで遊ぶ事で過ごしていったのだった。
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次の日。
今日からフルーチカ王国の収穫祭が始まる。
早朝から叩き起こされた私たちは再びメイドさんたちに囲まれていた。
「うぐっ」
「く、くるぢい...」
メイドさんは力いっぱい私と母のコルセットを絞めていた。
「や、めて......」
「やめるわけには......!まいりません.......!!!」
ふんっ、とコルセットを絞めるメイドさん。その力で私は再びうぐっと声を上げた。
「ところでこれから何があるんだ?」
のんきに父は問いかける。男性用の衣装にはコルセットがないから、私や母のように着衣に苦しみを伴わないのだ。
「収穫祭のセレモニーですよ。色んな国から沢山の人々が訪れて、収穫を祝うんです。招待されるご来賓には、もちろん坂上様のお名前もありますので、こうして準備をしている訳です!」
「なるほど?」
どうやら各国のお偉いさん達を集めて、盛大な式が開かれるらしい。
フルーチカ王国の中央に聳え立つ巨大な果樹。
この収穫祭はその果実を収穫するためのお祭りで、城下町では様々な屋台が立ち並び、国民総出でお祝いするらしい。
「ゴー!」
ゴーちゃんもいつの間にかシルクハットに蝶ネクタイを付けてお洒落な感じになっていた。
こうして私たちは再びドレスアップして、若干まだ目も覚めていないうちにセレモニーへと連れ出されるのであった。
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