表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/63

05 なんか思ってたのと違う

  試合の終わりが告げられたので、木刀をアドルフに手渡す。アランの方を見ると、起き上がって俺の方へ近づいてくる。


  「いやぁ、強いんだね。えーと」


  アランもまさか新人の、しかも少女に(不本意だが)負けるとは思っていなかっただろう。

  確かに勝ちはしたが、最後に一瞬消えたのはなんだったんだろう?


  「あ、自己紹介がまだでしたね。俺はステラです」


  「「俺?」」


  なんだ二人してハモリやがって。文句があるなら聞こうじゃないか?

  まぁ、普通女子で俺なんて言う人いないからなぁ。直したほうがいいのか? いやでも、直したら俺の中の何かを失うような気が……


  「あぁ、あんまり気にしないでくれ」


  今の所はこのままでいいだろう。いくら女の子になってもプライドは捨てたくないのだ。


  「でも、そんなんだと彼氏ができねぇーぞ。せっかく可愛いのになぁ」


  彼氏なんていらねぇーよ。俺が欲しいのは彼女だ! この姿だと色々アウトかもしれないが。

  てか、なんでちょっと残念そうなんだよ! 男の時はイケメンでもなく冴えない男子だったのに、なんで、なんで美少女なんだ……


  「そんな事はどうでもいいだろ。それより、さっきアランが消えたように見えたんだが……?」


  「あれはな、縮地だ。距離を縮めるスキルだ」


  てっきり、スキルがあるのは魔法とか身体強化だけかと思ったがそんなのもあるのか。

  他のスキルを手に入れてみるのもいいかもな。


  「そりゃ便利だな」


  「でも、僕のはレベルが低いので身体強化のレベルがある人なら簡単に防がれますけどね」


  笑いながら説明をしてくれる。

  あれで、レベルが低いってことはレベルが上がればもっと早くなるのか、それとも縮める距離が長くなるのか。


 

  「そろそろさっきの場所に戻るぞ、最後の説明をしたら終わりだ」


  声をかけられたので歩いてギルド内へ戻ろうとする。


  「ステラさん、今度勝負する機会があれば、今度こそ僕が勝ちますからね」


  アランが俺に決意のこもった言葉を言ってくる。

  男心に火をつけてしまったのだろうか?


  「あ、あぁ、機会があればな」


  そのまま、アドルフと一緒にギルドへ入って行った。



 ◇

 


  「えーと、次は一応ギルドのルールを簡単に説明しておく。

  1.ギルド内での、争い、決闘は禁止だ。

  2.ギルドにはランクというものがあって、条件を満たすとランクが上がっていく。

  3.依頼を受けられるのはランクの一つ上の以来までだ。依頼を失敗した場合は、罰金があるから気をつけろ。

  まぁ、おおまかにこんな感じだな。」


  「質問、ランクはどのくらいまであるんだ?」


  「FランクからSSSランクまで9段階ある。」


  ほぉ、九段階もあるのか。とりあえずCランクくらいを目指すか。


  「ちなみに、現在はSSランクが最高ランクだ。SSSランクになれたのは、はるか昔に召喚された初代勇者様だけだ」


  今は、いないのか。確か天使が、勇者になってもいいって言ってたが、まさか俺たちの中から……


  「SSランクってどれくらいの強さなんだ?」


  「そうだな、例えば戦争でだったらSSランク一人で2〜3万人の兵力として扱われるほどだ」


  バケモンじゃねぇか。ssランクが数人いただけで戦争勝てるんじゃ……

  その前に、世界征服もできるんじゃない?


  「それ、世界中に何人いるの?何人もいたらやばいでしょ」


  「今は、4人だな。全員どこの国の下にも着いていないフリーだ。

  まぁ、普通はB.Cランクくらいで一人前だからそんなに上を見なくても大丈夫だぞ?」


  もしかしたらSSランクなら、天使を倒せるかもしれないな。一回試しに、接触してみるのもいいかもしれない。


  「他に質問はあるか?」


  「最後に一つ、魔物を狩ってこれば依頼じゃなくてもここで買い取ってくれたりする?」


  「もちろんだ」


  「他に聞きたい事は特にないよ。今日はこれで」


  最後アドルフに冒険者カードをもらい、オススメの宿と武器屋を聞いた。今日はもう遅いし、武器屋は明日の朝かな。

  時計を見るともう6時になろうとしている。この街に来た時は朝の9時ぐらいだったのに……きっとあんなに服を着せ替えられたからだな。

  俺はアドルフに礼を言ってギルドを出る。



  宿へ向かって歩いていると、すれ違う人々にネコミミやうさ耳、たぬき耳などいろんな亜人が通っていた。

  普通の亜人もいるが、それよりも多く目に入るのは首輪をした亜人。言われるがまま仕事をしている。ファンタジーならよくある光景。奴隷だ。確かに、亜人だけでなく人間の奴隷もいるようだが圧倒的に亜人の方が多い。


  見ていれば、叩かれたり、殴られたりしている光景がチラホラ見えるがこれがこの世界のルールなのだろう。

  俺は、極力奴隷が殴られている光景から目を逸らしながら宿へと向かった。



  「月屋、ここで間違いないな」


  看板を確認して、中に入る。知らない字を読むのはなんとも不思議な感覚だ。慣れるのは少し時間がかかりそうだ。


  「いらっしゃい、食事?それとも宿泊かい?」


  「泊まりで頼む」


  「泊まりだけなら銀貨3枚、食事付きで銀貨5枚だよ、どっちにする?」


  「食事付きで」


  そう言って銀貨5枚を手渡す


  「部屋は、二階の一番奥だ。夕食はもう食べられるけどどうする?」


  「それなら、今ここで食べていきます」


  「分かった。今から作るから少し待ってな」


  この世界の生活水準は中世ぐらいだ。多分、味のしないスープと歯が折れそうなくらい硬いパンとかだろう。中世は香辛料高いしなぁ。

 

  周りを見ると、冒険者なのか剣や槍、刀いろんな武器を持った人が酒を飲んで騒いでいる。賑やかだ。日本にいてこんな賑やかな場所で食事をする事はなかった。

  それにしても、明らかに未成年であろう者が酒を飲んでいるがこの世界に酒の年齢制限はないらだろうか?俺でも飲めるのかなぁ?


  「できたよ、これが今日のメニューだ」


  食事が目の前に置かれた瞬間思った。


  「なんか、思ってたのと違う」


  肉のゴロゴロ入ったシチューに、唐揚げ、黒パンサラダ。

 

  「シチューの肉はレッドボア、唐揚げはただのバードだ。ついでに可愛いから、果実酒だ」


  普通に美味しそうだな。果実酒のサービスは有難いがこれ以上俺の心を傷つけないでくれ。


  スープはコクがあって美味いし、パンも日本のと変わらない。唐揚げもサクサクしてて美味しい。果実酒は初めて飲んだけど、以外といける。


  あれ?俺の思ってたより全然美味しくね?

  この世界で食事の心配はなさそうだな。これって初代勇者のおかげかな?


  俺は食事をしたあと、部屋に戻りベッドに寝る……前にパジャマに着替えた。これも服屋で買わされだが、なんか薄くない?このまま出ていったら痴女と間違えられそうだが、寝るときだけだしいっか。

  バサッとベットに倒れ込みそのまますぐに熟睡する。明日からは、たのしくなりそうだなぁ。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ