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21 ウサギ狩り

  「狩らなきゃダメ?」


  ルシアが上目遣いで聞いてくる。こんなに可愛い動物狩りたくない! と目で訴えかけてくる。

  もうその姿が美少女で可愛すぎて神秘的に見えてくるがダメだ。可愛いなんて理由で動物を狩れないようではダメなのだ。


  「狩らなきゃダメ。これがウサギだからいいけど可愛いなんて理由で躊躇ってたら可愛い魔物が出た時危険でしょ?」


  可愛い魔物、そんなのいるのかな?ファンタジーで見る魔物で可愛いのといえば……だめだ、特に思い浮かばない。

  あ! サキュバスとかどうだろう。可愛いというより、エロいというべきだろうか。異世界に来ているのだから会ってみたいな。

  いや、今は男じゃないから襲われたりしないのか……出来れば襲われてみたい! それもとても可愛いサキュバスに!


  「お姉ちゃん、どうしたの……?」


  おっと、いけないいけない。ルシアが何を感じ取ったのかジト目で見つめてくる。

  やめてっ!そんな目で見ないでっ!

  もう少しで深い妄想の世界に入ってしまうところだった。


  「いや、何でもないよ。じゃあ、早速狩ってみようか?

  ウサギだから、攻撃してくる様なことは無いだろうけど気をつけてね」


  そう言ってルシアを送り出す。

  見ただけでも数匹は見えるし、狙いをつけて刀を振れば当たるだろう。

  身体強化を使えば、当たるだけでも致命傷か絶命させることができるだろうし心配いらないな。


  「えいっ! えいっ!」


  ルシアが刀を振り下ろすと、刃が身体に届く前に余裕を持ってウサギは飛び跳ね移動する。

  その後も、何度やっても刀がウサギの身体を切り裂くよりも早く避けるので全く攻撃が当たらない。

  そして、当たらないのに何故か身体強化を使わないのだ。


  「ルシア、身体強化使った方が楽に狩れるんじゃない?」


  「ん〜〜でも身体強化に頼ってると魔力が枯れた時に何もできなくなるかなぁ って思って」


  確かに、身体強化に頼って戦っていたら魔力が切れた時怖いけど、魔力ってそんなに簡単に無くなるものなのか?

  魔術師とかだったら、戦闘中にバンバン魔法を打ち出したり、仲間をサポートしたりするからいずれ無くなるのかもしれないけど前衛の人が使う身体強化なんてそんなに魔力使わないんじゃないか。


  実際に、俺も身体強化とか魔法を使う際に魔力が無くなったとか、減ったとか感じなかったし大丈夫なんじゃないか?


  「でも、前衛で戦ってる人なんてずっと身体強化を発動させてるんだから大丈夫だと思うぞ」


  「そーなの?」


  知らんが多分そうだ。

  ルシアは服に寄付された魔法陣に魔力を流す。すると、身体強化の魔法が発動しルシアの身体を強化する。

  その状態での攻撃は、先程までの非力な少女の振りではなくウサギが避けることが出来ない程には早い速さで刀を振る。次の瞬間には、銀の一閃が描かれてウサギを両断する。

 

  腹あたりで二つに別れたウサギからは、血がブシャァー、内臓がブシャァーしている。

 

  「うぅ、気持ち悪い……」


  ルシアはそれを見て、思わず目を背ける。可愛い動物が真っ二つになって色々なものがブシャァーしているのなんて見たくないだろう。

  俺だって見たくない。これが日本で起こっているならきっと事件になるだろう。


  俺はウサギの身体に触れてアイテムボックスに収納する。あとでギルドで解体してもらおう。あれを触るのはすごく気分がよろしくないし、そんな技術もないし仕方ない。


  「よーし、後一匹だな」


  「まだ、狩るの……?」


  「依頼は二匹のウサギだからな。依頼はしっかりやらないといけないし……んーん、いや後は俺がやろうかな」


  ルシアの顔が、すごく沈んでいる。ウサギを狩ることはすごく精神にくるらしい。これがゴブリンとかなら何も問題ないのだろうが、ウサギは身近な動物だし抵抗があるのかもしれない。


  「ルシア、ウサギじゃなくてゴブリンとかだったら大丈夫かな?」


  「ゴブリンは可愛くないから大丈夫!」


  おぉ、ウサギを狩らないと分かったら途端に元気になりましたね。

  大丈夫というなら、ゴブリンとこの後は戦ってみるか。あの程度の魔物なら危険も少ないだろうし。


  「さて、今度は内臓をぶちまけない様に、首を綺麗に落とした方がいいよなぁ」


  俺はアイテムボックスから謎の金属の剣を取り出す。もちろん、普通では持てないので身体強化発動中である。

  それにしても、刀とかこの剣とか長い剣より、短剣とかの方がやりやすかったかもしれない。以外に狙いを合わせるのがめんどくさい。

  小さいし、剣の先で首を落とそうとすると狙いをつけるのが大変だなぁ。


  「え?どうしたの?」


  思わず問いかけてしまった。

  俺がウサギの首に狙いをつけていると、急にウサギが俺に飛びついてきた。

  その後も一匹、また一匹とウサギが飛びついてくる。


  一匹一匹が懐いているかの様に、身体を擦り付けてきたりしている。

  うん、可愛い。

  一体どうしたというんだろう。今さっきまで獲物にしか見えなかったウサギが今見るとものすごく可愛く見える。


  俺の身体にまとわりつくウサギの量は、だんだんと増えてたった一、二分でウサギパラダイスになってしまった。

  いや、本当にどうしたのこいつら?

 

  そう思ってされるがままウサギにまとわりつかれていると、一匹だけ少し遠くでこちらを見ているウサギがいた。

  普通のウサギとは何か違う、そんな気がする。確証はないがそんな気がするのだ。


  そして次の瞬間、そのウサギの目が赤く光った。それと同時に一匹のウサギが俺に飛びついてくる。


  【テイマーウサギ】

  【ランク】E−

  なかなか見られない希少なウサギであり通常のウサギに命令を下すことが可能。

  人間を攻撃するときは、通常のウサギをまとわりつかせ、最後には窒息、全身を噛まれて死ぬなど可愛さに惑わされると稀に死ぬことがあるので注意。


  不思議に思って鑑定して見ると、魔物だったことが判明した。

  あぁ、何でだろう?さっきまであんなに可愛く見えていたウサギたちが今はまるでゴミのように見える。きっとこの説明のせいだろう。


  俺はこのまままとわりつかれて死ぬのはゴメンなので、一匹一番手の近くのウサギの耳を掴むと、身体強化を全力で使いハンドボール投げの要領で投げ飛ばした。

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