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初めに戻って繰り返す  作者: 山都光
2章-真・迷宮ガルダ編
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≪VSブラッドオーガ…閃光突≫…【マナ/ヴァニラside】

【マナside―】


目の前の敵≪ブラッドオーガ≫に集中する。

一見してあの赤いオーガは普通の魔物とは違うのが分かった。


2mはある体に、血に飢えたような粗暴な顔。

強靭な体付きに太い腕と、その手の鋭い爪。

全身から強烈な威圧感を感じる。


間違いなくこの魔物は強い。

そう肌で感じる。


――けど、勝てない相手じゃない。


今まで出会った魔物の中では間違いなく強者に該当する。

けど負ける気はしない。

少なくとも、目の先の魔物は、≪恐怖の暴竜(ダイノボッド)≫や、ガルダ迷宮で出会い今では惶真の従魔となっている灰色の魔狼≪フェンリル≫に比べたら実力は下の相手だ。


それに迷宮に挑み沢山の魔物と戦い、戦闘の経験を積んだ。

幼く弱い存在だった以前の自分とは違う。

惶真の隣に立ち一緒に戦う事も出来るはず。


それに――今回は守る人がいる。

自分の後ろに、出会ったばかりだけど、今では友達となった少女がいる。


だから負ける気がしない。


一歩。

また一歩と足を進める。


相手のブラッドオーガも、ドシン…ドシン…と進める。

その鋭い牙の口の端からはだらりと唾液が流れる。

早く殺したい。

その眼には殺意がはっきり感じる。


相手は巨体で腕のリーチは長い。

武器の類は所持していない。

自身の力とその牙と爪が武器なのだろう。


それに比べて此方の武器は剣だ。

それに相手に比べて此方が小柄なのは間違いない。


普通なら武器のあるほうがリーチがあり有利と思う。

しかし体格差でそれは覆る。


(とにかくまずは情報を集めて見極めよう)


先手は譲る。

こちらからはまずは打って出ない。

まずは相手がどの様な方法で攻撃したり動くのかを把握する。


惶真も『相手が未知数なら、相手の情報を手早く収集し、見極めると違うぞ』と言っていた。


そして――ブラッドオーガの間合いに入った。


『グがアアーー!!』


オーガは雄叫びと共にドンと跳躍し迫る。

その分厚い右腕を振り上げている。

勢いのままこちらに振り下ろし叩き潰す魂胆だと見る。


強烈な圧を感じる。

間違いなくあの攻撃を受けたら潰れ死ぬ。


「マナっ!?」


迫るオーガの攻撃にヴァニラの悲鳴の声が届く。


けど――大丈夫。


こんな力任せな雑な攻撃、当たらないから。


「せいっ!!」


マナはオーガの攻撃を躱しつつクロスレイピアを振るう。

回避と同時に攻撃するカウンターである。

オーガの攻撃は衝撃で地面が少し陥没する。

少しだったのはマナの振るった剣がオーガの腕を切り裂いたから。

裂傷により威力が落ちたのだ。


『ググウゥがアア!!』


オーガは怒りの叫びをあげる。

それは切り裂かれた痛みからくるものではない。

相手の血を感じれなかったからだ。


ブラッドオーガにあるのは殺戮本能のみだ。

相手を殺し血を浴びる。

それ以外の本能を持っていないのだ。

故に痛みや、恐怖などの感情も持っていない。

あるのは殺意のみだ。


しかし、その殺意が有効になる。

マナは双子姉妹であるカナより魔法の扱いが上手くない。

会得している技能も、魔法より武器を用いた武技のほうが得意だ。

だからおのずとマナは武器での接近戦がメインとなる。


近接戦において相手の行動を予測する事は相手の先を取ることができるので重要なのだ。

特に相手の殺気からのどこを標的にしているのか、とか。

ブラッドオーガが殺意の塊と言える魔物。

だからこそ読み易い相手なのだ。


そして――


(思った通り。あのオーガの攻撃は強力だけど、攻撃の動作は遅い!このままいける!)


オーガが歯軋りさせると「ガアァ!」と斬られた痛みなど感じさせない様子で今度は左腕を上段に振りかぶる。

オーガは左手の爪を突き出すように振り下ろす。

だがマナはそれを予測していた。

バックステップで後ろに回避する。


自分からは打ち込みに行かず、オーガの攻撃を捌き、逆にカウンターで確実に傷を与えていく。


自分が強く成長しているのを実感する。

相手の行動パターンを読みきれば、攻撃を受けることはないし、攻撃の順序も解る。

ただ読めても体がそれに就いて来ないと意味がないだろう。

しかしマナは迷宮に挑み、多くの戦闘経験を積んでいる。


ブラッドオーガ程度ではもはや役不足だった。


(うん。次で――決める!)


マナは今までカウンター主体の戦術をしていたが、次の一撃で倒すと決めた。


【・・・】


相手を殺し血を見たいと言うオーガの殺戮本能。

その本能が苛立ちを抱かせていた。

相手はただの人間―【恩恵持ちの魔人族】―だ。

日の花に触れるモノを殺す。

その”役割”と言う制約はあるが、獲物を狩り食らう事が出来る。

それも稀ではある。

だがないわけではない。

今回の様に、そして数日前の様に。


”役割”と言う制約のおかげで、このブラッドオーガは何度でも蘇る事が出来る。

倒されてもである。記憶はリセットされるが、元々殺戮本能しかないブラッドオーガには記憶があっても関係ない。

あるのは殺戮のみだからだ。



【マナside―】


次の一手で相手を仕留める。

そう決めた。


相手のブラッドオーガは体のあちこちに裂傷があり、かなり苛立っている様だった。

強い殺意が溢れている。


そんなオーガを気にせずマナは最後の一手の準備に入る。


(”魔力開放!”)


マナは剣を構える。その構えは弓を引く様だ。

そして開放した魔力を剣に収束させる。

すると剣はマナの魔力で朱色の光で包まれる。

その光景は朱色の光の剣の様だ。


マナの得意の魔法戦技。

魔力を込めた剣で相手を切り裂く技。

この技は遠距離にも使え、マナにとって現状唯一の遠距離攻撃手段のある技なのだ。


今回は遠距離用の技としては使わない。

使うは近距離用。


『グガアァァ!!!』

「行くよ…」


そう声にする。

雄叫びと共に迫るオーガに告げた。



「―レディアル・スラスト!!」


一瞬の間だった。


マナの繰り出した閃光の刺突の一撃が奔った。

その一撃はブラッドオーガの胸部に命中した。

オーガの胸部をその纏った魔力の威力のまま吹き飛ばし、ブラッドオーガの胸の部分は大きく穴が開いていた。


「ガ…」


その零れと共にオーガは衝撃で背に向かって倒れる。

倒れたブラッドオーガはそのまま消滅していった。


ブラッドオーガの消滅を見送った後、マナは「ふう」と一息を突いた。

そしてマナの一連の戦いを見ていたヴァニラはただ「凄い」と呟き思うのだった。



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