9話:ダメだ……。そいつらは……
「こちらスタンバイ完了」
「こっちもOKだ」
「行くわよッ!!」
ANGELが五体、地下で横一列に並んだ。 目の前には150mもある長いトンネルが続いている。
「フットセット」
五体のANGELは、同時に体を横向きにして浮きあがった。そして、かかとを後ろの壁にくっつける。機械の動く音と共にかかとが壁に固定された。
「ANGEL発進ッ!!」
かかとを固定した壁が飛び出して、ものすごいジェット噴射を始める。時速120kmで、ANGELはトンネルを通り抜けた。眩しい光が差し込んでくる。この10秒足らずで、五体のANGELは地下50mから地上に出た。はるか下には、豆粒のような学校が見える。
「ワープホール、入るわよッ!!」
目の前に黒い渦ができる。五体のANGELは一体ずつ入っていく。
「また行くんだな……」
高瀬羅 刹も渦に飛び込んだ。
「敵はロボット50体の大部隊。敵操縦席透化します」
雪乃は冷静に調査を始めた。
「距離、1500m。操縦席にいるのは……、未確認生命物体です……」
雪乃の声が震えて、みんなも敵の姿に見いった。
「これって……」
高瀬羅 刹は息を飲んだ。
「白い体で、まるで幽霊みたいだ。大きさは親指くらいで、……って刹、知ってるのか?」
「怖いわ。……こんなの……見たことないもん……」
悠と美紗が声をあげる。もちろん、今の高瀬羅 刹に答えるだけの気力はなかった。
「これは面白いものを見ましたねぇー。研究の材料にしたいので、是非生け捕りにしましょう」
賢司は冷静に意味のわからないことを言う。
「スタンバイ……いい?」
雪乃が声をあげた。
「……我々は我々の力で敵に先制攻撃させ、正当防衛の一環として地球を占領する……」
高瀬羅 刹の頭に、夢の中のセリフがよみがえってきた。
「行くわよッ!! 全員、攻撃開始ッ!!」
雪乃が命令を下した。
「ダメだッ!! 攻撃しちゃダメだぁーッ!!」
高瀬羅 刹は大声で止めようとする、がもう間に合わなかった。四体のANGELの放った弾丸は、青い閃光を放ちながら敵の方へ飛んでいく。
「ダメだ……。そいつらは……俺らが絶対に勝てないように……、細工してあるんだ……」
高瀬羅 刹の小さな声は、誰にも届かなかった。




