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Novel~☆~World  作者: K.T
7/13

7話:もう一人じゃないんだな……

「私には、何か分からない記憶がある。いつだったかは覚えてないが、私は見たことないような平和な世界にいた。荷物のたくさん積まれた車に乗って、幼稚園を卒業した私は窓から外を見ていた。恐らく引っ越しする時だったのだろう。たくさんの人が送りに来ている中、同じ幼稚園だった男の子の友達も来ていた。男の子が何かをしゃべった。でも、車のエンジンの音で男の子の声は掻き消され、何と言ったかは今でも分からない……」

白い壁に囲まれた病室で、雪乃は昔書いた作文を読み返した。

「刹……。何か聞いたことある……」

静けさの中で窓から吹いてくる風が音をたてる。

「やっぱりバカでしょ、あんた。人に頼らないで自分でなんでもやって……。あんたが思ってるほど、私たちは役立たずじゃないんだから……」

ベットの上には、高瀬羅 刹が眠っている。昨日の訓練が終わってから、雪乃はずっと付き添っていた。

「雪乃……?」

高瀬羅 刹がやっと目を覚ました。

「ここは? 俺はどうなったんだ……?」

「ここは病院よ。あんた、20時間も寝てたのよ。もっと早く起きなさいよ、待ちくたびれたわ」

「雪乃が待っててくれてたのか?」

「中隊長だからよ、仕方ないでしょ」

雪乃は静かに立ち上がった。

「先生呼んでくるわ」

病室から出た雪乃はガッツポーズを作った。

「刹が生き返ったぁーッ!!」

スキップで雪乃は廊下を走っていく。それが見えていない高瀬羅 刹は、また天井を眺めた。

「いつもと違う天井……」

「この世界は、我々が占領する。我々の星では、敵からの攻撃に対する正当防衛のみ許される。よって秘術の書を手にした今、我々は我々の力で敵に先制攻撃させ、正当防衛の一環として地球を占領する」

夢の中で聞こえてきた誰かの声が、頭から離れない。

「この世界で、俺は何をすれば……」


「機体K200395の調査、完了しました」

「製作者不明のロボットのため、入手した情報は少数です」

「それぞれのANGELには、リンク度100%を上回る人間が世界中で一人だけ登録されています」

「リンク度100%を越えた機体は、血液採取後脳波共有化を行います」

「操作を頭で考えただけで全て実行に移せるようになります」

「性能上昇率は、250%です。二倍以上性能が上昇します」

「身体にかかる負担は、現在不明です」

「今後、この機体をMarkSと呼称する」

本部では、初めての出来事に騒ぎが起こりそうだった。


「ご心配お掛けしました。無事帰還しました」

食堂では、雪乃班が集まっていた。

「自己紹介まだだったな。俺の名前は、高見(たかみ) (ゆう)。よろしくッ!!」

「私は……、星夏(せな)……美紗 (みさ)。……よろしく……お願いします」

「私、光林(みつばやし) 賢司(けんじ)と申します。お見知りおきを」

「最後に私、由衣崎(ゆいざき) 雪乃(ゆきの)。この隊には、体格しっかりで頼れる悠、超恥ずかしがりやの美紗、メガネは外さないのっぽの未来の天才博士賢司。おかしい奴ばっかだけど、仲良くしてやって」

高瀬羅 刹はみんなの顔を見た。すると、後ろから何者かが走ってくるのが見える。それはどんどん近づいてくる。

「俺を忘れるなーい」

身長の低い奴が、悠の肩に手をかけた。

「俺、山瀬(やませ) 遼似(りょうじ)。よろしくなッ!!」

「こいつは、バカでアホで天然なチビだ。ちなみに、雪乃班じゃないぞ。ANGELの操作はくそ下手だからな」

笑いが巻き上がる。みんな、仲がいい人ばかりで、高瀬羅 刹は自分がここにいていいのか分からなくなるくらいだった。

「俺は、もう一人じゃないんだな……」

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