6話:刹のANGEL……
「今日の訓練は、模擬戦闘。敵の映像を映すからそれぞれ空弾で撃破せよ」
「はッ!!」
この世界の学校は、戦闘モビルスーツでの戦闘訓練学校になっていた。技術も前にいた日常の世界より一段と優れていて、考えられないような世界が広がっている。
「敵なんか本当に来んのかよ」
どんな敵を自分達は倒そうとしてるのか、何のために戦っているのか、高瀬羅 刹には全く分からなかった。
「模擬戦闘開始します」
ANGELが一斉に動き出した。スティックのボタンをゆっくりと順に押しながら、高瀬羅 刹は自分の能力を知ってしまった。
「考えただけなのに……自分が押すのより早くボタンが勝手に押される……」
「機体リンク度、180%。これより専用機処理登録を行います」
「専用機処理登録?」
そう言うのと同時に、背中にちくりと痛みが走った。
「針!?」
服の背中には血がにじんだ。
「血液採取完了。DNAセット完了。内部再起動。リンク……開始します」
高瀬羅 刹のANGELが黄色く輝きだした。機体に入った赤や黄緑のラインは、全て黄色に変わった。
「雪乃班より大量のエネルギーを確認。映像、リンクさせます」
地球にある本部も騒がしくなった。同じように、雪乃班の隊員たちも異常を感知した。
「どうしたの? 何か言いなさいよッ!!」
雪乃の横に映った高瀬羅 刹は、目を閉じて気絶している。
「あぁぁぁーッ!!」
高瀬羅 刹は、痛みで叫び声をあげた。
「大丈夫なの? 何があったの?」
雪乃の声は、今の高瀬羅 刹には聞こえていなかった。
「リンク完了。正常機に戻ります」
「はぁ、はぁ……」
ANGELの色が元に戻った。宇宙は、何もなかったかのように静まり返る。
「雪乃中隊長……。俺……先に帰還します……」
「私たちもすぐ帰るわ」
高瀬羅 刹のANGELは消えていった。四体のANGELは、高瀬羅 刹のANGELより1分遅れてワープホールに入った。
「雪乃中隊長。機体K200395が、本部より200メートル先に不時着しました」
「それって……、刹のANGEL……」
ワープホールの中で、雪乃に通信が入った。本部からの緊急伝令だ。




