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12話:もう一度、もう一度だけ……
「時満ちし今、あなたに、二つの選択肢が残されている。一つ、あなた以外の人間がここでの記憶を失うが、その代償に全員が現実世界に戻る。一つ、全員の記憶が残ったまま、この世界で一生を過ごす。当てはまる選択肢に丸をつけよ」
この世界に残るか、残らないか。白い一枚の紙に、濃い字で文字が並んだ。そして、鉛筆がノートの上に現れた。
「孤独で、俺を認めない現実世界。みんながいて、幸せなNovelーWorld。普通に考えたら、幸せの方がいい。でも、そこには死が隣り合わせ。これ以上悲しませたくない、悲しみたくない。でも、現実世界に行けば、ここでの幸せの記憶はなくなり、初めからやり直さなければならない。どっちにも、メリットがある。でも同じように、デメリットもある」
高瀬羅 刹の頭のなかに、二つの世界の記憶が順に流れていく。
「目の前で苦しんでる奴がいたら、救い出したい。自分の手にその鍵が握られているんだったら、使いたい。使わなくちゃいけない。」
「もう一度、もう一度だけ……、俺に新しい幸せを作らせてくれッ!!」
高瀬羅 刹は、鉛筆を握って手に力を入れる。そして、丸をつけた。




