11話:こんなページ……、なかったのに
とある宇宙の一角で、たくさんのロボットが、いくつもの閃光の筋を作りながら戦っている。どちらが優勢かなんて分からないほど、すごいスピードで飛び回っている。
「我々のシナリオには書いていなかった事態……、なぜこんなことが起きているのだ」
「もしかしたら、あいつは小説の中で自分の決定権をもって生きている?」
敵の本部では騒ぎが起きている。
「お前らの勝手な考えで、人の願いを踏みにじってんじゃねぇーよッ!!」
高瀬羅 刹は、自分の怒りに任せて動いていた。
「敵の全撃破を確認。MarkS、無事ですッ!!」
本部でそう報告がなされたとき、高瀬羅 刹はノートを見つけた。宙に浮く一冊のノートに、高瀬羅 刹は見覚えがあった。というよりも、探していた物だった。
「やっと見つけた……」
高瀬羅 刹はページをめくった。
「~Novel~☆~World~ このNovelーWorldには、同名の人間が一人だけ現実世界から移動してくる。記憶はそれぞれの世界でストックされるため、現実世界にいるとき、このNovelーWorldでの記憶は残っていない。しかし、この本の元祖作者の血縁者は記憶を失わない。それに、ストーリーを無視した行動ができる。作者が二度目にストーリーを読み返したとき、人間の移動が始まり、ストーリーが終わるまでは、現実世界に戻れない。NovelーWorldには、ストーリーに載っていない詳細部分を、最高スペックになるよう自動作成する機能がある。よって、このNovelーWorldのキャラクターは、自己判断によって、設定の範囲内で自由に生活できるようになっている」
秘術書と呼ばれていたノートの最初に、ページが追加されていた。というよりは、ホッチキスでつけられていた。
「こんなページ……、なかったのに」
高瀬羅 刹は、一枚一枚ページをめくってみた。自分の書いたストーリーの前にまた、ホッチキスでつけられたページがあった。そこには、誰かが別のストーリーを書いていた。
「この世界には、二つの生き物がいる。一つは人間、多大な知能の持ち主。もう一つは妖精SETSU、人間の脳波に直接会話が可能。二つの生き物は、互いにロボットを作り戦っている。それぞれでルールを作り、それに乗っ取った理想の世界が広がっている。ある日、一人の少女が試験用として連れてこられることになった。新しい有人戦闘ロボットの操縦データとして、脳波をコピーして遠隔操作によって実用実験するのだ」
二ページしか埋まっていなかったノートは、もう半分以上が字に塗られていた。しかし、妖精の書いたストーリーは、なぜか途中から実行されていなかった。
「元祖作者の血縁者は、ストーリーを無視できる……」
高瀬羅 刹は少しずつ分かってきた。今どうなっているのかが。高瀬羅 刹は、新しいページを開いた。すると、文字が勝手に浮かび上がってきた。




