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210話 ラグビー勝負-3

「ぐっ……!」


「おらぁっ!」


 チハルの足は止まらない。

 ぶつかった瞬間に減速するどころか、さらに前へ踏み込んでくる。

 龍之介の身体を障害物ではなく、踏み越えるべき地面の起伏程度にしか見ていない。


 押される。

 踏ん張っても、靴底が土を削る。

 体格差だけではない。

 踏み込みの力が強い。

 ラグビーで鍛えられた突進力は本物だった。


 ――なるほど。

 これはサード向きだ。

 龍之介は歯を食いしばり、チハルの腰へ腕を回した。


「っ!」


 チハルが一瞬だけ息を呑む。

 勢いの芯に触れられたからか、それとも単純にまた腰に腕を回されたからか。

 たぶん両方だった。


「また痴漢かよ!」


「止めるにはここしかない」


「言い訳すんな!」


 チハルは吠え、さらに前へ出ようとする。

 龍之介は横へ体をずらし、力を正面から受け切らない。

 チハルの勢いを流しながら、片足を軸にして回り込む。


 だが、チハルも強引だった。

 龍之介の腕を振りほどくように体をひねり、肩で押し返してくる。

 芯はぶれていない。

 どれだけ押さえ込まれても、彼女の身体はラインの方へ向かおうとしていた。


「甘ぇんだよ!」


 衝撃。

 龍之介の足が浮きかける。

 それでも離さなかった。

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