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201話 まだまだ、こんなものじゃないわ
「練習の補給用か。ありがとう、サユ」
「……っ」
「それと、今みたいに踏み込めれば、お前はライトから試合を制御できる。本当ならタッチアップで帰されたはずのランナーを、ホームで刺す。あるいは、肩を警戒させて、そもそも走らせない。地味に見えて、その貢献度は大きいものになる」
サユの指先が、ぴくりと動いた。
照れと嬉しさと、認められた実感。
その全部が胸の内側でぶつかって、声になるまで一瞬だけつかえる。
「……まだまだ、こんなものじゃないわ」
小さな声だった。
けれど、芯は強い。
「練習すれば、もっと守備範囲も広げられるし……打順だって、8番から上がってみせる」
ツンとした外側の奥で、闘志がまっすぐ燃えていた。
その瞬間、周囲が一斉にざわめく。
マキは両手を胸の前で組み、「尊いですぅ」と泣いたふりをした。
ノゾミはなぜか拳を振り上げ、セツナは胸を張ってうなずく。
「今宵は祝杯でござるな」
「バレたら停学ものだぞ」
龍之介が即座に突っ込む。
ユイはくすりと笑いながら肩をすくめ、アイリは静かに目を細めた。
そしてミオだけは、妙な演出もなく、真顔のままぽつりと言う。
「……良かった。全ては龍様のために」




