60話 王都のダンジョン その7
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17階層に下りても狭い迷宮は続いた。エリスが「トラップが足下や壁にあるかもしれないので、気をつける様に。」と言っていた。即死級のトラップもあるらしいので、発動したらA級冒険者でも助からないだろうとのこと。どう気をつければいい?
真っ逆さまに転落あるいはドラゴンの群れの中に落ちるなど色々と噂があるらしいが、生き残りがいないので、眉唾である。エリスが怖い話をするので、5人の足取りが、いつもより慎重になってしまった。
しばらく進むとスキル気配察知に魔物の反応と人間の反応の両方があった。「どうする?」と俺がみんなに聞くと、魔物を横取りされたと言われてはかなわないとのことで、相談して1時間ほど休憩後にその場所に向かう事にした。
休憩後にその場に向かうと、魔物の気配はなく、人の気配もなかった。あるのは7人ほどの冒険者の死体だった。ぺしゃんこに潰れていて、見るも無惨だった。何があったのか?
ダンジョンで拾った物はすべて拾った人の物なので、装備品や、お金、非常食などを回収した。まだ若そうなD~C級冒険者だろう。女性も2人いた。かろうじて服装や髪の長さでわかる程度の潰れた肉塊だ。
人間も潰れたら、ただの肉の塊になることがよくわかった。美人もブスも変わらない。お金は金貨1000枚持っていたので、1人200枚で分けた。サイスの非常食を新しいものと交換して、量を増やしておいた。ダンジョンが勝手に吸収するので、7人の死体はそのままにしておいた。
「一体どんな魔物とやりあったんだ?」とサイスが言っていた。硬い物で殴られた様な感じで、即死している様に見える。頭が潰れていたり、壁に叩きつけられて、へばりついていた。
今まで以上に、5人とも警戒しながら道を進むことにした。少しすると、スキル気配察知に魔物の反応があった。仲間に伝えてからゆっくりと近づいた。魔物は、石像の形をした羽のある怪物だった。こちらに気づくと、ゆっくりと襲いかかってきた。
「ガーゴイルだ。気をつけて!」とエリスが言った。硬い石で出来ているように見えたので、「マリーは後ろに下がれ。サイスはマリーを守れ!」と俺が言い、手始めに俺が前に出た。石の手で殴りつけてきたので、躱してからエルフのナイフで斬りつけた。「キーン」っと音がして弾かれた。後ろに回り込み、痺れた手を確認した。
シエルがスキル超集中を使い鋼の矢を強く引いて放った。連射は、複数打てるが威力が落ちるので今回は1本だ。「ドス」っと音が聞こえて、矢が刺さった。
ガーゴイルは、矢が刺さった状態でも動き回っていた。エリスが何度か斬りつけて、多少効いているようにも見えた。3対1の拮抗状態から抜け出そうとしたのか、ガーゴイルがサイスとマリーを狙ってきた。
サイスがスキル3段突きを放って多少足止めしたが、恐らくダメージはないに等しいだろう。ガーゴイルが振りかぶった拳でサイスを殴ろうとした。その際、エリスがスキルシールドバッシュを使い、ガーゴイルをタックルして壁に吹き飛ばした。
シエルが矢を放ち背中部分に刺さった。俺もミスリルナイフを取り出して背中側を一閃した。流石の切れ味で深く削る事が出来た。その後、エリスがスキルスラッシュで追撃したところ真っ二つになり、動かなくなった。
間違いなく、先ほどの冒険者は、こいつにやられたのだろう。死体の様子からもわかる。非常に防御力が高く、ミスリルナイフかエリスのスラッシュ以外では倒すのは厳しいだろう。
シエルやサイス、マリーが単独なら逃げるしかない。ガーゴイルは経験値とガーゴイルの石と呼ばれる物を落とした。エリスの話だと一部の地域で需要があるらしく、冒険者ギルドが金貨30枚位で買取してくれるそうだ。あいつらもこんな石の為に命を落とすとは無念だろう。
17階層の端まで行くのに合計3体ほどガーゴイルを倒した。倒した数は少ないが、強いので全員疲弊した。主に3人で対応して、サイスとマリーは防御に徹した。
丸太風呂を出して、全員でゆっくりと1日ダンジョンの中で休憩した。また、レベルも上がっていた。
〈ステータス〉
ロイ レベル19
シエル レベル18
マリー レベル17
サイス レベル17
※エリスは変わらず レベル28
しっかりと休憩をとった後、18階層に降りた。内心では「20階層まで行かなくてもいいかな。」と思い始めた。予想以上の魔物の強さに驚き、何となく嫌な感じがしている。エリスが前パーティーで20層で止めていた理由もわかった気がする。ギースやアリス達が本当に30層付近で活動しているのかもあやしくなってきたな。
18階層に下りる前に、まず初めにポーションを1人1個持つようにした。最近、何か嫌な予感がビンビンしているので、念の為である。思い込みであればいいんだけど。早くダンジョンから外に出たい思いが強くなってきた。
パーティーが分断されるような事態が起これば、仲間に死人が出る可能性もある。俺は、あいつらの死を見たくない。経験不足からか、自ずと足が竦みはじめた。情けない気持ちだ。エリスがいなければ、話にならなかっただろう。
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