59話 王都のダンジョン その6
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ダンジョンを出る少し前に俺達は、丸太風呂に入っていたので、そんなに匂わないと思う。1階層の出口付近にいる冒険者の近くを通り過ぎた時、あまりの臭さに卒倒しそうになった。ゲロの様な匂いがする人もいた。まさにゴブリンと同じだ。まさか、人に化けたゴブリンか?そんなわけないか。
「いったい何日風呂に入っていないんだ?」と思う事もあった。むさい顔をしたおっさんならともかく、割ときれいめな人も例外なく臭かった。そういえば、アリスはどうだろうな!最近会ってないが……。何となく、可愛いいから気になるな。
ダンジョンを出てから、いつもの様に冒険者ギルドに向かいサリーさんに素材の買取をお願いした。その間は、ギルドに併設する食堂で休んだ。最近は、酒も少し飲めるようになり、食事と食べれば吐くこともなくなった。「次のダンジョン攻略を今年の最後にしないか?終わったら、今年は終了にして、また来年どうするか考えよう。」と俺が伝えた。
エリスが、「来年からの話だが、21階層からは5人では厳しくなって来るので、クランに入れてもらうか、自分達で仲間を集めるかになると思う。」と言った。「信頼出来る仲間ならいいが、適当に組んで最悪敵にでもなったら本末転倒だな。」とサイスが言っていた。
マリーが「実績のあるクランに入れてもらえれば安心だけど、相手も足手まといになるなら加入を認めないんじゃないの?」と言っていた。加入条件とか何かあるのかな?
「ギースさんやアリスさんに相談してみようよ!」とシエルがナイスアイデアを言っていたので、来年聞いてみる事でこの話は終わりにした。あの2人は何となく性格が嫌いだけど、仕方ないか。
サリーさんから買取代金、金貨850枚をもらった。これで、パーティー資金が金貨2000枚を超えた。宿に戻り、2ヶ月ほど更新して金貨480枚を払った。7日ほど休みにして、武器や防具のメンテナンス、食料は十分あるが大量に購入して、宿とアイテムボックスに保存した。以前、頂戴したよさげな剣や鎧なども一部置いておいた。
各々、衣服などもしっかりと買いそろえた。5人で残りのお金を金貨300枚ずつ分けて持つようにした。宿にもお金を少し置いておき、何かあった場合対応出来る様にした。パーティー資金は、残り200枚で個々に350枚ほど持っている状態だ。休みの間は、疲れていたので、だらだらとゆっくりと休むことにした。
休みの間女性3人は、王都の流行の服やランチなどを堪能していたようだ。俺とサイスも服がほしくなり、3人に聞いて服を買いに行った。買い物は凄く疲れたが……。王都は人が多く、美人も多いので、見ている分には楽しい。
王都のスラムにも5人で日中顔を出して、非常食を配った。偽善者だが少しは足しになるだろう。休みの間、1人で冒険者ギルドに行き、ギースやアリスの動向をサリーさんに聞いてみた。話によると、3パーティー合同のクランでダンジョンの30階層付近にいるのでは?とのことだった。A級冒険者のボイルという人がリーダーのクランらしく、そこに4人が加わっているらしい。
タイミングが合わなければ王都でもなかなか会えないだろう。そういえばサリーさんが、ダンジョンの低階層での犯罪が減少したと言っていたので、安心した。何でもダンジョンで悪いことをすると死神に連れて行かれるという噂が、低ランクの冒険者の間で広まっているようだ。
少し心当たりがあるが、何も言わずいいことだと思うことにした。迷信の様なものでも、しばらく役に立つから。休みをしっかりと取った後、今年最後のダンジョンアタックに向けて5人で出発した。
ダンジョンの入口から入り、1階層からスタートだ。毎回1階層からなのが、玉に瑕だ。今回の予定は約50日間で20階層まで攻略することだ。
15階層までを15日で魔物をある程度回避しながら進み、20日程度で16階層から20階層を攻略する。予定では、15階層から15日かけてダンジョンから脱出だ。行きの方が体力があるので、余裕をつくる位の気持ちで進む。
最近は、リスク管理を重視していて、俺が非常食やお金をすべて持つと、何かあったときに全滅のリスクもあり得る。その為、お金は個人で持ち、サイスには非常食を背負わせた。テントなどは俺が持っていて、休憩の食事はすべて俺のアイテムボックスから出した。
あくまでサイスが持つ物は、非常用だ。15階層までは、予定通り適度に魔物を倒しながら、15日で到着して、階層端の階段付近で休む事になった。当然、丸太風呂に入って体を綺麗にして、結界のテントで交代でゆっくりと休んだ。ここまでは、前回までの復習であり順調だ。
16階層に入ると、今までと様子がまた大きく変わった。天井も低くなり、通路は洞窟の迷宮の様になっていた。事前にエリスから聞いていたが、予想以上で驚いた。以前は、四方が広い空間だったが、今は壁の圧迫感を感じる。道も複雑なので、戻れるか不安になった。
「基本は、左側を進めば時間はかかるが、端の階段の所にたどり着ける。帰りはその逆をすれば戻れる。」とエリスが言っていた。慣れている人なら、時間短縮の為に真ん中の道を進んでもいいが、迷う可能性もあるとのこと。無理せず遠回りして、確実な方法をとる事にした。
道が狭いので、1列で先頭を俺が歩き、その後をシエル、サイス、マリー、最後尾をエリスに任せた。エリスの実力ならこの程度の階層なら苦にしないので、頼りになる。通路はなぜか明かりがついているので、よく見える。しばらくすると、スキル気配察知に魔物の反応があった。手で合図して、魔物の接近をみんなに伝えた。
目の前に現れたのは、首のない戦士?の様な魔物だった。初めて見た。エリスが「デュラハンだ。強いぞ!」と言ったので全員戦闘態勢に入った。様子を見るために、スキル投擲を使って、ナイフを投げた。
すると相手は手で綺麗に掴み投げ返してきた。とっさにエルフのナイフで弾いたが、魔物に投げ返されたのは初めてだ。「これは5対1だが、狭い空間での厳しい戦いになりそうだ。」と思った。
マリーがスキルストーンバレットを放ったが、持っている剣で真っ二つにしていた。俺が、マリーに後ろに下がる様に伝えた。シエルのスキル超集中を使った連射は相手も嫌がっているように見えた。その隙にサイスがスキル3段突きを使って、デュラハンを吹き飛ばした。
これまで軽ダメージだが、エリスがスキルスラッシュを放ちまともにくらっていた。相手は、ふらつきながら耐えている。俺がエルフのナイフを背後から突き刺してとどめを刺した。
正直、今までの魔物と比べて強さのレベルが段違いだった。耐久力がある。デュラハンは、経験値なしだが、デュラハンの剣を落としたので、エリスに装備してもらった。
エルフの剣より品質が上らしいので、エルフの剣を予備に回した。もし、デュラハンを相手に俺とエリス以外のメンバーが単独で戦闘になれば恐らく死んでいただろう。それだけの強さを感じた。
ちなみに経験値なしなので、出来れば避けて通り最低限の戦闘で済ませる事にした。あの後は、スキル気配察知を使って魔物が近い場合は、道を5人で覚えて別の道に行き、通り過ぎるのを待ったり、迂回して避けたりして、デュラハンとは2回の戦闘で16階層の端の階段の所まで来た。
そういえば、前回ギースやアリスと出会った時に、15階層付近を探索していたと言っていた事を思いだした。もっとよく聞いておけばよかったかも。もう1本のデュラハンの剣をエリスに渡して、エルフの剣を俺がアイテムボックスにしまっておいた。後で売ろうかな。
とても疲れたが人や魔物の気配もなかったので、丸太風呂を出して全員でゆっくりとくつろいだ。その後、交代で睡眠をとった。寝れなくても無理に寝ないと、後が持たなくなるので、無理やり目をつぶった。
そろそろ俺達もダンジョン攻略の落とし所を見つけて、卒業しないとこのままでは死人が出る可能性もあると思った。特にマリーやサイスは、実力が俺やシエルより少し劣るので危険だ。
元々、俺とシエルが誘ってパーティーを組んだので、本来なら王都のダンジョンまで付き合う必要もなかったはずだ。16階層で朝起きてから、時間をとり4人にその話を伝えた。
「突然だけど、マリーとサイスは、実力的にもこの先の21階層以降のダンジョン攻略は無理だと思う。俺から見て死ぬのが見えているので、今回の探索を最後に俺達はパーティーを解散する。2人は、領都リアンプールに戻れ!俺の勝手な判断だけどな。」と言った。
この判断をさせたのが、デュラハンとの戦闘だったのかもしれない。あんな化け物以上がこの先出てくれば、ほぼ確実に命を落とすだろう。欲をかいて、引き際を間違えてはいけない。クランでも、自分の身を守れない奴をおいておくとは思えない。
2人は急に言われたので驚いていたが、俺やシエルの足を引っ張っている部分も認めていたので、「わかった。これが最後だから頑張るよ。」と2人が言ってくれた。俺とシエルにも当てはまるので、ダンジョン攻略は考え直さないといけない。エリス以外は、正直厳しいだろう。
2人は、若く伸びしろもまだあるので、恐らく悔しさもあっただろう。シエルも驚いていたが、「2人とも今までありがとう。」と言っていた。「今回のダンジョン攻略を終えたら、エリスを奴隷の身分から解放して、その後の事は後で考える。エルフの里に戻って暮らす選択肢も考えておいてくれ。」とエリスに伝えた。
無理する必要なんてない。人間は、歩けるだけで幸せなのだから。原点を忘れてはいけない。「みんな勝手に俺の判断ですべて決めて悪いな!」と声をかけておいた。「奴隷の身分から解放するのはみんな賛成だよ。」とマリーが言ってくれた。俺は良い仲間に恵まれて、本当に運がよかった。才能より運が良いという事の方が大事かもしれない。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
仕事の後の開放感がいい。




