46話 伯爵令嬢救出 その1
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伯爵令嬢救出の依頼は、受注出来なかったが、多少意識していれば情報も入ってくるだろう。事は一刻を争うのか、依頼を受注した3パーティーが、説明を聞く為にリガンのギルドマスターに呼ばれて会議室にぞろぞろと入って行くのが見えた。
珍しくギルド内が、緊張感に溢れていた。リリーさんの話だと3パーティーは、C級パーティーが2つ、D級パーティーが1つだった。俺達より格上であり、3パーティーとも場数を踏んでいる様に見えた。
リリーさんから「今回の犯行は計画的であり、大きな盗賊団が絡んでいる可能性もあるので、関係ない依頼でも十分に気をつけてほしい。」と言われた。軍と協力して、潜伏先の候補をしらみつぶしに探すのだろう。手がかりがないので、俺達は何も出来ない。さぁ、帰ろう。
宿に戻り、4人でかるく話し合い、とりあえずコブリン討伐で疲れていたので、休暇を取ることにした。何かあれば、その時考えよう。特にサイスとマリーは、今回の討伐で、トラウマを乗り越えたと思う。
夕方まで休んでから、シエルとリガンの町を散策した。リアンプールのスラムの連中にお土産のお菓子を買って帰る事にした。また、武器屋や防具屋に行き、メンテナンスもお願いした。
数日は、伯爵領リガンを観光して英気を養った。出店で甘い物を買って食べたり、冒険者ギルドに顔を出して、リリーさんに誘拐事件の話を聞いたりもした。
別の日には、伯爵領リガンのスラム街を4人で歩いてみた。例の誘拐事件で、伯爵領リガンの外を軍と冒険者は、探しているらしい。もう誘拐されてから何日も経っている。
「広すぎて本当に大丈夫なのか?」とサイスが言った。当初は、リガンの中に潜伏していると思い、スラム街など探したが見つからず、外を探し出した様だ。スラム街を歩きながら、誘拐された人をどうにかしてやりたいと思うようになった。
スラムの子供を見つけたら、非常食を渡してあげた。「他にも子供がいたら、連れてきていいよ。」とシエルが優しく声をかけてくれた。「しばらく炊き出しでもするか?」とサイスが言っていたので同意した。
2日程ボア肉を焼いたり、フリーサイズの服をあげたり、非常食を渡した。大人たちも集まり出して、雑談の中で気になる話を聞けた。
スラムの人間は、住んでいる人間をだいたい把握しているらしく、夜中に見慣れない人間が出入りしているとわかるらしい。気になるので詳しく話を聞く事にした。ちなみに軍や冒険者達には聞かれてないので、教えていないそうだ。一度調べてみるか?
その日の夜に俺1人でスラムの大人から聞いた所にコートを着て、隠れて待機した。スキル、忍び足と気配察知があるので、適任だからだ。他のメンバーは宿にて待機している。待機という名の休憩である。
数時間後、2人組の気配があった。こんな夜中に気になるので、後をつける事にした。さて、どうなることやら。周りを警戒しながら、2人組の後をつけて、スラム街の奥まで来た。「どこまで行くつもりなのか?」と思っていると、汚れた民家の中に入って行った。
少しの間、様子を外から見たが、出て来る気配がなかったので、建物内を覗くことにした。中の様子を見たが、誰もいなかった。確かに中に入って行ったのを確認している。
「どこに行ったのか?」と思い、建物内に入り、中を探すと不自然な程、本の詰まっている本棚があった。他は空だったり、ボロボロなのに。あやしいので、色々と触ってみることにした。
暗い中で棚をいじっていると、レバーを見つけた。周りを警戒しつつ、下に下げてみた。何かあれば、すぐに逃げよう。結論からいうと、本棚が横にスライドするようになった。本棚を動かすと下につながる階段が出てきた。人の気配は近くにはないので、ゆっくりと下りてみた。
階段を下りると、声が聞こえて人の反応が10人程度あった。明かりの方にゆっくりと近づくと声が聞こえてきた。「兄貴、いつまで待つんで?もう1週間になりますぜ。」
「もう少しだ。金を出さなければバラして送りつけてやる。」と声が聞こえてきた。おいおい、まさかこんな所に潜伏していたのか!これは、かなりやばい案件なので、ゆっくりと外に出ることにした。本棚を元に戻し、宿に向けて走り出した。
宿に戻り4人で話し合い、朝一ギルドに向かった。あまり寝る事が出来なかった。リリーさんを呼んで大事な話があると言い、個室をお願いした。
スラムの人に最近見慣れない人を見かけると聞いたので、後をつけたら伯爵令嬢誘拐事件に関係していそうな盗賊を見つけたと報告した。
「ここでお待ち下さい。」と言い、リリーさんが慌てて立ち上がり、ギルドマスターに報告に行った。俺らは部屋で待つ事になった。少しするとギルドマスターとリリーさんがやってきて同じ説明を再度求められた。
人質がいること、人数を把握している限り10名以上、場所を詳しく教えた。「対策を考えるので、ギルドで待機してほしい。この話は誰にも話してないよね?場合によっては、協力を仰ぐかもしれない。」と言われたので、頷いてから、ギルドの待合室で4人でゆっくりする事になった。途中、暇なので目をつむり、仮眠をとった。
「ロイ、軍と依頼を受けている冒険者を向かわせると思うか?」とサイスが聞いてきた。「近くにいればいいが、時間が間に合わなくなるかもしれない。そうなると他の冒険者に」と言いかけた時、ノックがして扉が開いた。リリーさんから会議室に来てほしいと言われた。
会議室に着くと既に2組のパーティーが左右に分かれて座っていた。ギルドマスターから伯爵領リガンのトップB級冒険者とC級上位冒険者を紹介された。この2つのパーティーに担当してもらい、俺達に後方支援をしてほしいらしい。
軍と依頼を受けている冒険者は、連絡してから戻るまでに最低でも3日かかるので、待たないそうだ。俺がマリー達、メンバーをみると頷くので、了承した。その後、作戦会議が始められた。
深夜の暗いうちに盗賊のアジトに3組のパーティーで突入する事になった。盗賊を殲滅し、伯爵令嬢を救出するとのこと。相手の力量がわからない不安もあるが、やるしかない。寝ていれば、やりやすいが、起きていれば、狭い中での殺し合いになってしまう。全員覚悟を決めた。
準備を整えてから冒険者ギルドに4人で移動した。「死ぬリスクがあるが、気合い入れろよ!俺とシエル、サイスとマリーの2人1組で動くぞ。離れるなよ。」とメンバーに言っておいた。残りのパーティーと合流後に俺の案内で盗賊のアジトに向かった。後からギルマスも来ると言っていた。
静かに扉を開けて、レバーを下にさげ、本棚を動かした。下へ続く階段を確認した後の事は、剣士のB級冒険者ギース達と弓士のC級上位冒険者のアリス達にお願いした。俺の案内は、ここまでだ。
俺達も後を追い、2パーティーのフォローに入る。こちらの方が人数も多いので、負けないと思う。忍び足と気配察知を使い、後ろからゆっくりとついていった。
薄暗い階段を下りていくと、部屋が1つあり、B級冒険者のギースに5人いることを伝えた。ゆっくりと扉を開けると、盗賊が寝ていたので、1人ずつ静かに首を刺して倒していた。かなりあっさりしていたが、現実はこんなものだ。さらに奥の道に進むことにした。「まさかこんなに広いとはな!」とギースが小声でつぶやいていた。
少し進むともう1部屋あり、人の気配が3人した。ゆっくりと扉に近づき、中を確認すると酒でも飲んでいたのか臭かった。同じように寝ていたので、剣で首を刺して倒された。
部屋から出て通路をみると下に続く階段があった。「全く、どうなっているの?地下が広すぎるわ。」とC級上位冒険者のアリスがつぶやいていた。「広いだけで、あっさりとけりがつけばいいが。」と思った。
階段を下りると部屋が3つほどあり、大部屋に10人、小部屋が2つあり1人ずつであった。一番左奥から禍禍しい気配がする事、中央に10人、右奥の小部屋に1人いることをメンバーに伝えた。人質の救出がメインなので、俺達の4人は静かに右奥の小部屋に向かい、残りは中央で待機した。
小部屋の前に着いて、扉を開けようとすると鍵がかかっていた。太い南京錠なので、鍵がないと開けられないが、「こういう時の為に!」と思い、アイテムボックスからミスリルナイフを取り出し破壊した。
扉を開けて中を確認した。血や糞尿の匂いが、かなりきつかったが、裸の女性が横になって倒れていた。おそらく伯爵令嬢と思われるので、シエルとマリーに確認してもらった。
かなり衰弱しているが、生きているらしい。「サイス、頼む。背負えるか?」と俺が声をかけて、シーツをかけてやり、5人で小部屋の外に出た。嫌な役回りでごめんね、サイス。
B級冒険者ギースがこちらに来て、「お前らは、すぐに外に出ろ!俺達は残りの盗賊を殲滅する。」と言われたので、5人でゆっくりと階段を上り始めた。
外に出るとギルドマスターと幾人か職員が待機していた。「令嬢を救出した。盗賊がまだ中にいるので、残りのメンバーで対応している。」と伝えた。
ギルドマスターが職員に指示して、1人は伯爵家へ連絡、もう1人が冒険者ギルドが管理する宿に案内する事になった。サイスとマリーに頼んで令嬢を運んでもらった。ギルドマスターと他何名かは、ここに残るので俺とシエルは、やはり盗賊が気になるので、中に2人で戻る事にした。
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