4話 アイテムボックス
本日、最後の投稿です。よろしくお願いします。
「ただいま〜」と両親にあいさつしてから、狩りで使ったナイフを生活魔法の水で洗い、汚れをおとしてから砥石があったので簡単に研ぎ布でふいた。腰にナイフをしまい、夕食の準備を昨日と同様に手伝うことにした。
今日の夕食も畑で採れた野菜とボアの肉だった。お母さん、また肉ですか?米は、ないのですか?と思ったが、食べれるだけ感謝と思う様にした。どこかのアニメにあった体は子供、頭は大人ですから。違ったかな?味は文句なし美味しかったが。
今日の狩りの話をして、ホーンラビットをシエルと協力して倒したことも伝えた。二人とも褒めてくれて嬉しかった。父親からホーンラビットの動線に立つなとアドバイスをもらった。速いが直線的だから動きが読みやすくて助かった。複数いた場合、危険度が上がるので注意しよう。昔、ホーンラビットだからと油断した冒険者の足に角が刺さって貫通した話をしてくれた。「あれは、ないよね!」と両親が笑いながら話していた。冗談ですむレベルではないよね?
夕食の終わり頃に、アイテムボックスの話をしたら、2人とも固まってしまった。あごが外れたかと思う位口が空いていた。お二人ともその顔は、人様には見せられませんよ。よだれもたれてますよ。
落ち着いた2人から話を聞くと、アイテムボックスは、かなりレアなスキルで、A級冒険者やB級冒険者のパーティーにいるかどうか、大商人が抱えていたりするレベルらしい。容量にもよるが、後ろ立てもなく見られたりすれば、誘拐のリスクもあるらしい。いずれにせよ就職が約束された様なスキルだが、取り扱い注意とのこと。
誰にも言うなと両親に言われたがシエルには、もう教えた事は伝えた。3人以外には、しばらくの間見せない事を約束した。便利だが危険なら前世でいうところ高級車を持っていると思えばいいと納得した。自慢して乗り回すと狙われるかもしれんし。
一応、両親の前でアイテムボックスを使って見せた。自分のナイフを出し入れした。とても不思議がっていたが、どれだけの量が入るのか?入らないものは?など不明点もあるので、魔の森に行った際に試すように言われた。金の匂いがするので、何だかやる気が出てきた。
次の日の朝、昨日と同じ位に起きて身だしなみを整えて、朝食のパンを食べて、昼飯用のパンを2つアイテムボックスにしまい、父親の畑仕事を少し手伝ってから広場に向かった。広場に着くと、今日は、シエルの方が先に来て待っていた。
「早いな、待たせた?」と聞くと、丁度来た所らしい。2人で歩きながら魔の森に向かった。話を聞くに、昨日は、ホーンラビットの肉でご馳走だったそうだ。角も綺麗に取れたので売り物になりそうだとのこと。両親も喜んでいたそうだ。今度、俺を夕食に連れて来いと言われたそうだ。
「お義父さん、お義母さんと呼ばせてもらいます。娘さんと仲良くさせてもらってます。」なんて冗談で言おうと思ったりした。じゃあ、近いうちに両親の許可が出たら、夕飯をご馳走になりに行くよとシエルに伝えた。歩きながらアイテムボックスの件だけ昨日両親と話したことを伝えた。
魔の森に入り、木の実を探しつつ、倒れている木を見つけたら、アイテムボックスにしまえるか試してみた。生きているミノムシの様なものにアイテムボックスを試してみて、分かったことがある。生き物は入らない。それ以外は入る。
時間経過の確認は、今度腐りやすい物をしばらく入れておき、数日後、確認して見ようと思った。後日確認したところ、時間経過してないことがわかった。これは、超便利だわ。でも、死んだらアイテムボックスの中身がすべて失われるだろうな。たぶんだけど。
今日は、調子が良く2人とも普段より深く森の中に入っていた。木の実を拾い、その事に気づいたのは、少しあと。50メートル位離れた所にボアがいた。たまに父親のマイクが1人で狩ってきている。
「油断するな。前方50メートルの所にボアがいる。どうする、やるか?」とシエルに聞くと「もちろん、でも駄目なら途中で逃げよう。」とのこと。「分かった。弓を1本撃ち、その後シエルは、後方に退避して弓の準備をすること。俺がナイフで攻撃するから。その後は、時間をかけて、2人で倒すぞ。」と俺が簡単な計画を決めた。
シエルが30メートルの距離まで静かに近づいて弓を放つ。見事1発で背中に命中。しかし、低ダメージのご様子。こちらに気づいて突進してきた。シエルは、後方に退避した。俺は、すぐ側の草むらに隠れている。ボアが突進している横から、ナイフをぶっさした。
ボアがバランスを崩し転んだが、標的を俺に変えて、突進してきた。流石にタフだと思いつつ、一旦逃げるため、アイテムボックスに入っていた大きな木をたくさん投げつけた。どうだ、すごいだろう!流石のボアも予想外の攻撃に避けられず、下敷きになった。
ホーンラビットより少し速度は遅いが、パワーは数倍ありそうなので、体当たりをくらえば吹き飛ばされて、骨の1、2本は余裕で折れるだろう。当たり所が悪ければ、即死もあるかもしれん。そう思うと手が少し震えてきた。
すぐにシエルと合流して、約30メートル離れた位置から隠れて様子を見ることにした。1分程度待つとがたがた音がして、木が弾き飛ばされた。シエルに指示して、もう一度矢を放つ。矢が吸い込まれる様にして、頭部にクリティカルヒットした。
「やった。」とシエルが言ったが、まだ動いている。シエルには弓を準備させ、俺が走って接近する。近づいてナイフで再度刺し、シエルと反対側に退避。しぶといと思いつつ、シエルにもう一度矢を放つように手で合図する。
3本目は、外れ。俺の方に飛んで来た。「うわぁっ」と情けない声を出してしまい横に飛んだ。まじで恥ずかしい。危うくシエルに仕留められるところだった。今の当たればクリティカルだったぞ、たぶん。
どうするか、倒しきれん。撤退を考えていたところ、ボアが横にどすんと音を立てて倒れた。「やった!」と声を上げて二人で喜んだ。後でシエルに謝っておいた。矢の射線上に入っていたからね。昔、戦で矢をくらって死ぬ人の割合が非常に多かった事を思い出し、猛省した。
いつものように魔石を取り出し、その場で解体した。不要な物は穴を掘って、森に捨てて残りはアイテムボックスへしまった。今日は、大収穫という事で、割と早めに家に帰る事にした。
本日の収穫
・クラの実 2個(クルミに似ている)
・薬草 2本(傷薬)
・ボア 1体
ちなみに、ボアの肉は、村のみんなにも配られて、感謝された。もちろん、本日の夕飯は、ボアの肉を焼いて食べました。自分でとった肉は最高だった!両親から狩りであまり無理しないように言われたが……。
なるべくカレンダーの休みの日に投稿するぞ!