2話 ノアの村
おはようございます。皆様、よいGWをお過ごしください。
2人でおしゃべりしながら歩くと、すぐに魔の森を抜けた。森を抜けた先に柵で囲われた集落が見えてきた。あれは確かノアの村だ。村というほど人が住んでいる様には見えないが……。
今いる位置は、ちょうど村の裏側にあたり、柵の一部に木の扉がついていて、ここから村に出入り出来る仕組みだ。遠い昔、【ノア】と呼ばれる冒険者がいて、その人と仲間が作った村だと教えられている。
当然だが見張りはいなくて、村から出る時、内側から扉を開けて、また戻ったら閉めればいいらしい。森側から知らない人が来る事はなく、魔物も森から外へ出ることは滅多にないらしい。だから、鍵もつけていないそうだ。田舎によくある鍵をかけないやつである。
村に入り、真っ直ぐに進むと、広場に出た。シエルとは、ここでお別れ。収穫したものをわけた。薬草は、俺が使っていいと言ってくれたので、ありがたく頭につけさせてもらおう。使い方は知らないけど。頭にのせておけばいいのかな?それとも食べるの?
「じゃあ、明日またここの広場に10時頃に集合ね。」
「うん、わかった。」
ちなみに前世と同じ1日24時間である事は記憶から確認済みだ。ここから少し離れた右方向に見える2軒並んだ小さい家の奥がシエルの自宅だ。俺の家は、ここから左に進むとある。わりと村の入口に近いところだ。見渡すと他にも家がちらほらあり、畑をしている人もいる。
村人は普段、作物を畑で作り、たまに狩りに精を出しているのだろう。税金などはどうしてるんだろう?と思いつつ家路につくことにした。まぁ、子供のロイにわかるはずもなく、農作業もあまり期待されてはいないだろう。とにかく腹が減ったから早く帰ろう。
「ただいま!」
家の扉を開けて声をかけると「お帰りなさい」と声を返してくれたのが、ロイの母親であるフレアである。元D級冒険者の弓士で、父親のマイクと同じ冒険者パーティーにいた。ロイが生まれる頃にパーティーは解散したそうだ。
その後は、農業や子育てが中心で、ノアの村で生活するようになった。元々、ロイの父親が、この村の出身らしい。
「ご飯ができたから、外にいるお父さん呼んできて。」
1度外に出てから家の裏側にまわった。そこには小柄だが、がたいのいい中年の男マイクがいた。元C級冒険者でこの村を治める男爵領では少し名が通っていたらしい。あくまで本人から聞いた話だが……。
剣士として活躍し、冒険者を引退後は妻のフレアと一緒にここで暮らす。たまに、魔の森で魔物を討伐して、肉を採ってきて村の人に分けたりしている。割と優しいおっさんだ。
「お母さんがご飯できたって!」
「わかった、すぐ行く。先に戻っていてくれ。」
家の中に戻り、母親に伝えたと言い、食卓に料理を並べる手伝いをした。3人がそろい、本日の夕食を食べ始めた。ボアの肉と畑でとれた野菜だった。お米はなかったが、美味しく、前世の焼肉を思い出した。ちなみに、この世界は、1日2食が一般的だ。炭水化物がほしいが、無いものは仕方ない。食べ物があるだけでありがたいと思うことにした。
「どうしたんだ。頭を怪我しているじゃないか!」
家族で団らんしていると、父親が俺の頭の傷に気づいた。木から落ちた話をした後、薬草を母親がすり潰して、頭に塗ってくれた。しばらく様子を見ることになった。
夕食後、明日またシエルと魔の森に行くことを伝え、自分の部屋に戻った。簡易トイレが外にあり、風呂はなく水タオルでふくだけだった。後で風呂を作れないか検討しよう。誰でも出来るが、生活魔法で水やお湯を出せる事が新鮮だった。
ロイの記憶にあったが、糞便は、どうやら深い穴を掘って近くに埋めているらしい。魔の森に捨てに行く人もいるようだ。疲れたので、クラの実を机の上において、ベットに横になった。
「今日は、色々あったなー。」
一日を振り返りつつ案外悪くないかもと思った。とても身体の調子もいいし。そういえば、もらったスキルを確認するのも忘れていた。他にも確認する事があった様な……まあいいや。とにかく寝る。
朝、目が覚めて時計を見ると、5時をさしていた。布団を整えて、机に座った。家具は、基本手作りで自分達で作ったものらしく、作れないものだけ、この村から近い町ルーンで買ってきている。時計やランプもそうで、俺が持っているナイフもそこで買ったものだ。研ぐ位は自分でやっている。
ちなみに魔石が動力源になっていて、買う事も出来るが、魔物を狩ることで得られるので、買うよりは自分達で手に入れている。現金収入は、村で採れた野菜や狩りでとったホーンラビットの角などの素材を売って得ているそうだ。ロイの記憶には、ルーンの記憶はないので行ったことがないのだろう。
横を向くと、そこには小さい鏡があった。そうだ、この世界に来て、鏡を見てなかった。のぞいてみると…なんと可愛らしい顔をした子供がいた。黒髪で、将来イケメンの素養あり。楽しみが増えたな。前世の凡顔とは、比較にならん。どうやら両親のいいところをとったようだ。
ステータスを見てなかった。見方が分からないが、「ステータス」と念じてみると、目の前に、いや正確には目の中に文字が現れた。
・ステータス
名前 ロイ
レベル1
職業 村人
装備 布の服 時の腕輪
スキル 生活魔法、アイテムボックス
少ししたら自動で消えた。
ロイの記憶があったので、焦らなかったが、いきなり目の前に現れたら焦るわ。今度は、ナイフを腰につけて、ステータスと念じると、
・ステータス
名前 ロイ
レベル1
職業 村人
装備 ナイフ 布の服 時の腕輪
スキル 生活魔法、アイテムボックス
「ナイフ」が装備の所に追加されていた。思った通りだった。おそらく転生前の記憶を思い出す前は、アイテムボックスのスキルがない状態だったのだろう。あと時の腕輪もだ。
よし次は、アイテムボックスを試してみよう。ちょうどいい物が目の前にある。クラの実を入れてみよう。「アイテムボックス」と念じると、渦を巻いた手と同じ位のサイズの空間が現れた。ゆっくりと入れてみると「すっと」入り、そして閉じた。どうやって確認するのか分からないので、もう一度ステータスと念じると、
・ステータス
名前 ロイ
レベル1
職業 村人
装備 ナイフ 布の服 時の腕輪
スキル 生活魔法、アイテムボックス(クラの実1)
おぉ~表示されている。すごい、すごい。取り出し方が分からないので、アイテムボックスと先ほどと同じように念じる。出てきた渦に、手を近づけてクラの実をイメージすると、ぽろっと手に落ちてきた。完璧だ。これで手荷物が最低限になる。あとで色々と試していくことにしよう。
あと、もう一つ。左腕に装備している時の腕輪である。これは使いどころがわからず難しいので、放置しよう。まず使わないので、お守りだ。クラの実をナイフで割って食べとこ。もぐもぐ、うまいな、これ。また採りにいこう。今は、5時半。そろそろ起きるとするか。
いい天気なので、眠くなってきたわ。




