一瞬、ときめいて
「とても素敵ね」
「ええ、とても」
クロームとノースの間、半歩遅れて歩くシャーロットを見て、村の女性陣が見惚れている。ノースが、白く長い髪が映えるように選んだ水色のワンピースの裾を揺らし歩くシャーロットは、大勢の見知らぬ人達に見られて、緊張から、なるべく見られないように少し顔をうつ向いたまま歩いている。シャーロットを守るため、魔術師に囲まれている三人を見ようと、人混みが増え、話す声も声も大きくなっていく
「ねえ、あの子ってどこかで見たことない?」
見に来ていた女性が隣にいた知り合いに声をかける。声をかけられた女性が耳を傾け、うんと一度頷き頬に手を添える
「そうね。確かに最近、似たような子が白い小鳥を肩に乗せて、パンを買いに私の店に来たかも」
「そうなの?」
「ええ、でもその時は黒髪だったし、髪も短かったわ」
「じゃあ、違う方かしら?」
「そうかもしれないわね。他人の空似ね」
と、話している二人の間から、二人の少女が手を繋いで通り過ぎ、ノースの前に立ち止まった
「ノース様、あの、名前は……」
恐る恐るシャーロットを見ながらノースに話しかける少女達。シャーロットと目線が合い顔を少し背けると、ノースが少し屈んで二人に微笑む
「シャーロットよ。これからよろしくね」
「はい!」
ニコニコと笑ってノースに返事をすると、ノースの背後で少し隠れるように見ていたシャーロットを少女達が目を輝かせて見つめていた
「……うるさいなぁ。なんの騒ぎ?」
ザワザワと騒がしい声と大勢の人が歩く音が、木にもたれ寝ていたシャロの耳まで届く。目が覚めたシャロが寝ぼけながらも、うーんと背伸びをして、ふぅ。と深呼吸をした
「リリーはまだ来れないかな……」
両手を見つめ呟く。空を見上げ、少しボーッとしていると、背後から聞こえていた歓声が更に大きくなった。木に手をつき、ゆっくりと立ち上がり、人混みの後ろから様子を見ていると、人混みの隙間から、ノースの後ろを歩くシャーロットと一瞬目があった
「本当にここでは良いお姫様だね」
そう呟くと、人混みを避けるように歩き出しだす。シャーロットも目線があった事に気づいてシャロを追いかけようとするが、目の前にいる人達を見て、すぐに追いかけるのを止め、前にいるノースとクロームが街の人達と話しているのを確認すると、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「リリー、追いかけて」
シャーロットが聞かれないように小声でリリーを呼ぶ。一瞬、シャーロットの白く長い髪がヒラリと舞い上がった気がして、ほんの少し振り返る。リリーの姿はなく、辺りを見渡していると、ノースがシャーロットの様子に気づいて、声をかける
「シャーロット、どうしたの?大丈夫?」
「はい大丈夫です。でも少しだけ疲れました」
「そうね。シャーロットははじめて歩くものね。クローム、もう帰りましょう」
ノースがそう言うと、シャーロットの肩に手を添えるのを見て質問に答えるように、一度頷き微笑む
「そうだね、今日は早めに帰ろうか」
クロームが近くにいた魔術師達を呼ぶ。ディオロイ城に帰る為、ノースも一緒に話はじめる。残ったシャーロットはリリーを探してキョロキョロとまた辺りを見渡すが結局、リリーは見つけられず、二人と魔術師達と共に帰っていく。その様子をシャーロットが休んでいた木の枝にリリーが見つめていた。シャーロットの姿が遠く見えなくなると、羽を広げて、枝についていた木の葉を揺らした
「さてと、せっかく呼んでもらったし、急いでシャロを追いかけなきゃ。いつも勝手にどこかに行っちゃうからね」




