第20話 主席
「私、回復魔法が一番得意なんです。
私より上の人は沢山いますが、そこらの魔法使いには負けません」
急に胸を張って話始めるアマリアに、少しうろたえながらも僕は言った。
「そ、そうなんだ。
じゃあ、怪我したら頼むよ」
「はい、任せてください」
キーラがアマリアに何か言おうとしたとき、男がうめき声を上げながら、体を起こした。
男は目を大きく開けると、最初に横に立っているアマリアを見た。
アマリアからはすぐに視線を外し、キーラを見た。
「キーーラ!!
君の愛がビンビンと伝わってきたよ……。
愛が強すぎて、さすがの僕も気を失っていたようだ。
キーラ、君が僕を起こしてくれたんだろう?」
はっきりとした口調で言ってくる男に対して、キーラは顔を歪ませながら、
「違います。
死にそうだったあなたを助けたのは、横にいる女性、アマリアですよ」
と冷たげに言った。
どうやら、キーラはこの男にはそっけなく接することに決めたらしい。
男はアマリアを見た。
「君は誰だ?」
突然質問をされたアマリアは大いにつっかえながらもこたえた。
「わ、わ、私ですか?
私、あ、アマリアです」
アマリアは初めて話す相手には弱いのだろう。
「君が、僕を起こしたのか?
前が見えているのかも怪しいこいつがか?」
「見えてますよ!」アマリアが今までで一番大きな声で叫んだ。「初対面の人に失礼ですね。私は目のことを言われるのが本当に嫌いなんです。もうやめてください。大変な状態だったから流れで助けましたが、あなたこそ誰なんですか?」
男は顔を引きつらせながら言った。
「そ、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。
僕はエルトンだ。
エルトン・ロブスター。
雷魔法を得意としている。
以後、よろしく。
あ、キーラ。君と同じ授業で心から嬉しいよ。
どうか僕のことは、エルトンと呼んでくれ」
「そうですか、ロブスターさん」キーラは、それだけ言い放った。
ロブスターか、久しぶりに食べたいな。
エビは僕の好物の一つだった。
7回目の転生で食べた覚えがあるが、それから一度も食べてないかもな。
7回目の転生は、平凡な家庭で生まれたが、母親の注意不足の火事で死んだんだっけか。
あの時はつらかったけど、今となってはいい思い出だなぁ。
僕は前世の思い出に浸り、エルトンはキーラに何度も話しかけるが突っぱねられることを繰り返していると、突然、廊下につながっているドアのほうから、「おい」と、男の声が聞こえた。
ドアのほうと言っても、ドアの外の廊下からしたのではなく、ドアの内側、部屋の中から声がしたのだ。
太く男らしい声は、明らかにエルトンのものではなかった。
もともと部屋の中にいたメンバーは弾かれたようにに声がしたほうを向いた。
そこにいたのは、どこかで見たローブ姿の背の高い鋭い目つきの男だった。
ドアは閉まっていたはず、なのに誰にも気づかれずにドアを開け、いつの間にか部屋の中にいた。
ドアを確認すると、閉まっている。誰にも気づかれずにドアまで閉めたのか。
今は、男の存在感は肌で感じ取れるほどある。このただならぬ気配を完全に消していた?だとしたら、相当な強者なのかもしれない。
沈黙のなか、男が口を開いた。
「俺は薬草採取の授業でここに来た。
ここであってるのか?」よくとおる低い声だった。
男の問いに最初は誰も答えようとしなかったが―――できなかったが――――、やがて重い空気に耐え切れなくなったキーラが言った。
「……みんな来てるしあってると思う。
でもやっぱり……、主席のあなたが来ているということは、この特別授業、簡単なものではなさそうだね」
あ!どっかで見たことあると思ったら、主席の人か!
確か名前は、ディルク・イシュヴェル・エイヴァン。
キーラが別格とまで言っていた人だ。
今ならキーラがあんなに褒めていた理由もわかる。
雰囲気が人とは違う。
絶対に強い。
「キーラ、お前がいるのか。
確かに今回の授業一筋縄でいかなそうだな」
「やめてよ」キーラは両手の平を上に向けて、笑顔で言った。「ディルクは私よりも全然強いでしょ。
そんな互いの力を認め合った仲間みたいな対応されてもみじめになるだけだから」
「確かに俺のほうが1000倍は強いが、キーラもまぁまぁだぞ。
他のやつらと比べるとな」
「私よりも強い人なんて普通にいるよ。
例えばフィンとか」
キーラはそう言って、僕を見た。
ディルクという男もキーラの視線を追うようにこっちを見た。
「知ってるよ。
入学試験の時に見たからな。
魔法の試験の時に、無詠唱で杖も使わずあそこまでやったのはよかった。
フィンっていうのか。
フィン、よろしくな」
「ディルクだったよね。
よろしく」
「フィン、お前には確かに魔法の才能はあるな。
チームメイトとして頑張ろうぜ」
「う、うん」
やっと20話まできた。
はやく主人公を強くしたいけど、書く時間がなさすぎる………
なるべく早く次話を投稿しますので、ブックマークと評価をよろしくお願いします。




