第11話 種目決め
あの悪夢のような昼休みから数日後、体育祭の種目決めの為に授業の時間を使って話し合いが行われる事になった。
「それじゃあ、各種目毎のメンバーを決めるぞ」
クラスの委員長が教壇の前で大きな声でクラスのみんなに発言した。俺はあまり関係無いなと思って頬杖をつきながら眺めている。ちなみに授業の時間を使って決めている。ふと気になって幸林を見ると勉強出来ないのが不満なのか単語帳を眺めている。俺が言えた義理では無いけどお前もクラスの取り組みに協力してやれ。
「まあ、まずはやりたい人から手を上げていってもらおうか。それでいなかったら話し合おう」
という事で百メートル走など運動部の人達がドンドン手を上げて決まっていくが、帰宅部の俺には関係が無さすぎて、眠いなと思って半分目をつむりながら聞いている。
「は〜い、私、女子の種目全部出るよ!!」
「ぜ、全部は無理だよ。一人が出れるのは二種目までって決まってるから……」
隣から大声がするから目が冷めた。ああ、丸山が色んな種目に出たいって言って委員長を困らせている感じか。頑張れ委員長。まあそんな事も俺には関係が無いので再び頬杖をつく。そしてまたしばらく話し合いが進んだ後だった。
「次は男女混合二人三脚なんだけど……、やりたい人いる?」
俺は何だ、そのリア充専用の種目はと心の中で悪態をつく。そんな公開処刑みたいなのバカップルしかやらんだろ。
「はい」
「ゆ、幸林さん?やりたいの?」
え、幸林がそんな種目に出たいのか。ていうか何か嫌な予感がしてきたんだが。
「はい。私と鷹司君と一緒に出ます」
ふ〜ん、鷹司っていう奴と出るのか。俺と同じ苗字なんて珍しいな……。
「え、俺?」
俺は驚きすぎて飛び起きて勢いよく立ち上がってしまう。いやいやチョット待ってくれよ。当然、クラス中はザワザワと騒ぎ出してしまう。
「最近、幸林さん鷹司君とよく話してると思ってたけど、あの噂本当なんだね」
「あの二人、一緒に外で飯食べてるの見たぜ。俺達の【幸林様】が……」
クラスの連中が好き放題言いまくっている。いやいやそうじゃないんって。
「え〜、その種目、私も出た〜い」
そして丸山まで便乗してきた。おい、止めてくれ。この混沌の状況を更にややこしくするな。
「そういえば、丸山さんも鷹司君と仲良いよね。もしかして三角関係かな」
俺の前の席の女子達、さっきから俺にガッツリ話きこえちゃってるからな。
「いや、丸山さん他に二種目決まってるから無理だよ」
「ぶ〜」
委員長は困り顔で丸山の発言を却下する。ていうかこのままだと俺達二人に決まっちゃうんだけど。
「他に立候補者居なければ二人にやってもらいます。みんな大丈夫?」
クラスの連中は「よろしく〜」「リア充滅びろ」「頑張れ〜」など好き放題言いまくっている。俺は全身汗が吹き出していくのが分かる。
「じゃあ、二人よろしく」
「ちょ、ちょっと待ってくれ……」
俺は抵抗する。いや、このままだと全校生徒に恥ずかしい姿を晒すことになってしまうんだ。
「え、鷹司君、何か?」
「いや、俺は運動苦手だし二人三脚止めた方が良いと思うんだが」
「いや、他に立候補者もいないし、別に結果が悪くても何も言ったりしないよ」
他のクラスメイト達も「そうそう」「カップルで頑張ってもらえれば」「リア充滅却」など再び好き放題呟いている。コイツラ、他人事だと思ってえ……。
「だから鷹司君、よろしくね」
「……」
俺は抜け殻のように力なく倒れるように椅子に座る。俺は頭を抱えながら机にうつ伏せになった。誰だよ、体育祭俺には関係無いから眠いとか思ってたやつ!!
そしてその後、他の種目も決まって授業の時間が終わって休み時間になった。俺は立ち上がることが出来ずずっと机にうつ伏せ状態である。
「鷹司君、よろしくね」
幸林は俺の目の前に立って呼びかけてきた。俺は顔を上げることが出来ないので黙ってうつ伏せのままだ。
「……、幸林やってくれたな」
「私はクラスの力になれるように提案しただけだよ?」
こいつ、いけしゃあしゃあと良くも言えたもんだ。さっき、興味なさそうに単語帳見てただろ!!
「……、他の女達に私のものだって表明しておかないとね……」
幸林はまたボソボソと何かを呟いている。こいつ偶に独り言する癖があるよな。俺は顔を上げて幸林を睨む。
「ていうかお前、こういう目立つの好きじゃないだろ。何でこんな事を」
「鷹司君と一緒に出たかったから……、駄目?」
幸林は首を傾げて俺に尋ねてくる。こいつ、自分の美貌をこんな事に使いやがって……。くそったれ。
「はあ、もう分かったよ……」
「じゃあ、今日から練習頑張ろうね」
俺は「え?」と驚いて幸林を見つめる。どういう事?
「ぶっつけ本番で二人三脚出来るわけないじゃん。これから放課後とか練習するから」
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