んほぃ
そうだ。だって最初に設定したのアバターだし、次がステータス。そんで魔法。いつだ? てか俺は今何者なんだ? アシストスクリーンを表示し、ステータス画面を表示させると、俺の名前は既に決まっていたらしく、確かに記載されていた。
『んほぃ』と。
どういうことだ。
何があった?
思い返すも、俺は起きた時にはこの世界にいたんだ。
ん? あー、そうか。察するにこれは、寝てる間に適当に名前を操作して決定しちゃってたってことかね?
んー、はいはい。これは中々。
「やばいやばいやばいやばいやばいやばい」
俺は慌てに慌てて色んな設定をいじった。多角的に、衝動的に、経験則的に、あらゆる方向から名前の設定変更を探ったのだ。
『プレイヤー名は設定では変更できません』
終わったーーー! 無慈悲な一文に膝から崩れ落ちる。俺は「んほぃ」として生きていくしかないのだ。……などと安易に考えたりはしないぜ。確かにシステムはこう言った。
『設定では変更できません』
設定では変更できないとわざわざ言っているあたり、何か違う方法がある。例えば名前を変える魔法とか、専用のNPCや施設なんかがある可能性は高い。そうなってくるとあれだな、色々とやりたいことはあるし、そんなに寄り道する時間もないわけだが……とりあえず、熟考の末にだな、俺の最初の目的が決まったぜ。そう、この呪われた名前を変更するための旅が、今始まる。
次は肉弾戦闘をしてみよう。魔法で遠くから攻撃というのも良いが、敵から得られる情報が少ないしアイテムのドロップもなかったからな。
高原に出ると、ちらほらプレイヤーが戦闘をしている姿が見えた。さっきまでは特に見かけなかったが今はある程度街を探索した奴や、俺と同じように早々に外へ出た奴が少し増え始めたということだろう。
俺はゴブリンと殴り合うプレイヤーの横を駆け抜けて、街に沿って奥へと進む。初期地点は人によって違うかもしれないが、俺は最初ただ真っすぐ走り続けただけなので、左右の方角は全くの未開発。遠くから走って街に向かってくるプレイヤーが何処まで行っても定期的に現れる。
なるほど、初期地点はこのでかい街を中心として360度あらゆる方向から同じ距離感で配置されてるわけか。まあプレイ人口から考えると、同じような配置で用意された街が幾つか存在するかもな。
無論、オープンワールドなので街自体はどっからでも入れる。柵とか外壁もないので魔物とかも入り放題な環境だが、入ったところで多くのプレイヤーが集まる地点なのでリンチにあって終わりだろう。
「お、ようやく……」
人が全くいない上に、魔物がちらほら視認できるスポットを発見。既に20分ほど走った。
ゴブリンが数匹。単体もいれば、群れもいる。とりあえずは単体狙いだ。
俺はゴブリンに駆け寄る。当然、敵も俺に気づいて、臨戦態勢だ。だが所詮は雑魚。近づきざま飛び蹴りを顔面にかましてやった。




