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主人公の勇気





 「やめてぇぇぇ!!!」

 

 



  すぐ隣からファムの叫び声が聞こえる




  どうして俺はこんな時に何もできないんだ?




  手を伸ばせば命を救える場面で

 一歩を踏み出すことに躊躇してるんだ?





   助けたい

 

         助けにいきたい

 

 

 


  でも俺の体は恐怖で動いてくれない・・・



  俺は悔しさで歯を食いしばる


  膝の上で血がにじむほど拳を堅く握りしめる


 



   ?   ?   ?

    





    膝  の    上で ?






 

  なぜか俺はその言葉に強烈な違和感を感じた

 


  


  そうだ・・・おかしい・・・


 

  どうして怪物のようになってしまった

 メアが身動き一つとれないのに



  どうして俺と京子は

 床に這いつくばってないんだ?



 

  距離の問題・・・?


            違う




 

  俺のすぐ近くにいるファムは

 床に這いつくばって脂汗までかいている

 



  怪物のようになってしまった

 メアでさえ身動き一つとれないのに



  それなのにどうして俺と京子は





   膝をつく程度なんだ?





  そう思うと不思議と体が軽くなった

 さっきまでの恐怖も薄れていく





  この程度なら動けるんじゃないのか?




 

   メアを助けにいける




   振り上げられた鎌を止められる



 

   恐怖がなくなったわけでも、


   圧力が消えたわけでもない、

 

  

   ・・・けどメアを助けたい

 




   またファム達と一緒に笑いたい




 

   そう思うと俺はメアを助けるために

  歯を食いしばって走り出した




  あの腕輪が光り出してから圧力が発生した


  あれさえ壊せばきっとこの状況を打開できる




  そう信じて俺は

 ソフィーの腕輪に向かって必死に手を伸ばした









 「はぁ、はぁ・・・」





  肩で息をしながらも

 出雲優の手はソフィーの腕輪を力強く掴んでいる



 「どうして動けるの!?」



  ソフィーの声は驚愕で震えていた



  だが・・・



 「おらぁぁぁ!!!」 

  



  俺はソフィーが驚いている隙に

 ヒビが入った腕輪に思い切り頭突きした

  




   ドガッ・・・

           パリン



 


 「えっ!!」



  俺の頭突きで紫色の光を放っていた腕輪が

 あっさりと砕ける



  メアが腕輪にヒビを入れてくれたおかげだ




 「これでどうだ?」

 



  額から血が垂れるが

 ソフィーのあっけにとられた顔をみると

 そんなことはどうでもよくなってくる


  腕輪が砕けると同時に

 体を押さえつけていた圧力が消える




 「よかった・・・」


 

  圧力の消滅を確認したと同時に

 俺は全ての力を使い果たし

 床に倒れ込んで気を失った









 「どうして!?」


  ソフィーの頭の中はパンク寸前だった


  どうしてこの男が

 自分のところまでこられたのか


  これからどうやって

 ファム・スルトを始末するか

  

  他にも色々問題はあるが

 一番の問題は目の前にいた

 


 「新人君・・・ありがとう」



  メアが圧力から解放されていた


  メアは優を一瞬だけ感謝するように見ると

 すぐにソフィーに向き直る

 


 「覚悟はできた?」



  さっきソフィーに向けられた殺気を向け返す

 その顔には優に向けたような優しさは全くない



  攻撃手段を失ったソフィーは

 メアの気迫に押されて一歩下がる



 「こんな奴にしてやられるなんてね・・・

  いいわ、今回は見逃してあげる

  でも次こそはあなたたち魔族を殺すわ」


 「この距離で

  私から逃げられるとでも?」


 「・・・四天王のところに攻め込むのに

  逃げる準備をしなかったとでも思う?」




  そう言ってソフィーは

 鎧の隙間から黒い小石を取り出し

 足下に叩きつけた



  すると小石から大量の黒い霧が吹き出す



 「しまった!」



  慌ててメアがソフィーに手を伸ばすが

 メアの手は空をきる


  霧が晴れた頃にはソフィーの姿はなかった




 「くそっ、逃げられた・・・」




  悔しさで歯を食いしばるメアに

 ファムが汗を拭きながら歩み寄ってきた


 「ありがとう、メア・・・

  あなたのおかげで

  誰も死なずにすんだわ・・・

  本当に、ありがとう」



  そう言ってファムは

 メアに向かって頭を下げる



 「そんな!頭を上げてくださいファム様!!

  私は護衛として当たり前の事をしたまでです

  私の事なんかより 

  ファム様やシェリーは大丈夫ですか?」



  あたふたしているメアを見て

 凶悪な外見とのギャップで

 ファムは思わず笑ってしまう



 「えぇ、シェリーは大丈夫よ

  気絶しているだけでもうすぐ起きるはずよ

  今は京子に様子を見てもらってるわ」



 「そうですか、よかったです」



  ファムの笑顔とシェリーの無事を聞いて

 メアはホッと一安心する


 「ファムちゃ~ん

  シェリーさんが起きたよ!」


  そう言いながら

 京子がファム達のもとに走ってきた



 「そう!目が覚めたのね!」



  確かに向こうの床ではシェリーが

 頭を抑えながら体を起こしていた



 「よかった!」



  ファムが嬉しそうに言うが

 京子は辺りをキョロキョロしている


 「どうしたの?京子ちゃん」


 不思議に思ったメアが京子に聞くと


 京子は辺りを見ながら二人に聞く




    「優くんは?」

 

 

    「「えっ?」」




  二人はとっさに優が倒れていた場所を見る


  そこにはソフィーの残した霧があるだけで

 出雲優の姿はどこにもなかった




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