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騎士の実力



  土煙の中から出てきたメアは

 さっきまでの優しい笑顔の似合う

 可愛い少女ではなかった



  手足を黒い鱗が覆い

 スカートの中から太いトカゲのような尻尾がはえ

 頭の角は大きく発達して赤く発光している


  目も爬虫類のように瞳孔が縦に割れており

 唇の間からは鋭い牙がちらついていた


 

 







   

      「ぐっちゃぐちゃにしてやる」









  逃げようと考える余裕もない



  一瞬でも目を離せすことなんてできない

  


  頭の中が真っ白になった


 

  この世界に連れてこられてから

 魔法だ魔族だと現実離れした言葉を聞いてきたが

 そのことが本当なんだと





  今、実感した  





 目の前の化け物から放たれる殺気で

 隣にいる京子もただ震えることしかできない



 「へぇ、それが《真の姿》ってとこかしら

  流石に油断したら一瞬で殺されちゃいそうね」



  ソフィーはメアの挙動を

 見逃さないようにしながら

 自分の周囲にシェリーの時のように

 いくつも瓦礫を浮かびあがらせる




 「メアがあいつの注意を引いてる隙に

  この屋敷から逃げるわよ」



  気づくといつの間にか

 ファムが気絶したシェリーを肩で支えて

 俺達の傍に立っていた



 「今なら、簡単に森に逃げ込めるわ

  森の中に緊急用の《転移門》があるから

  それを使って他の大陸に逃げましょう」



  そう言うとファムは俺に向かって

 手を差し伸べて立ち上がらせる


  俺は隣でへたり込んでいる京子の手を掴み

 引っ張り上げる



 「大丈夫か?京子」

 


 「優くん・・・私・・・」



  不安げに京子が俺を見つめて

 もたれかかってくる



 「シェリーさんとメアちゃんが

  ・・・どうしよう・・・」



  突然この世界に連れてこられて

 今まで不安でしかたなかったんだろう


  いつもより俺に甘えて

 不安を紛らわせていたようだが

 目の前で命をかけた戦いを見せられて

 ただの女子高生の心は

 もう限界をむかえてしまったようだ




 「よくも、シェリーをっっっ!!!」




  そんな俺達に構わずに

 メアは怒りにまかせてソフィーに突進していく



 「真っ正面から突進なんて

  私をなめてるのかしら」



  ソフィーは突進してきたメアに

 浮かび上げた瓦礫を撃ち出していく 

 しかし今のメアにその程度の攻撃など

 全く効いていない



  メアの鱗はソフィーが撃ち出した瓦礫を

 次々とはじき飛ばしていく





  しかしソフィーの狙いは

 メアへの攻撃ではなかった





  ボゴン  ボゴン  



  そんな音を立てて

 屋敷の床に巨大な瓦礫がめり込み大きな穴があく

 すると真っすぐソフィーに突進していた

 メアの動きが屋敷の床の穴に足をとられて鈍る



 「っっっ!!!」 



 「はい、おしまい」



  いつの間にかメアに接近していたソフィーが

 メアを鎌で軽く叩く


  その瞬間メアの体を紫色の光が包み

 メアの体は今度は浮かばすに

 床に大穴を開けてめり込んでいく



 「ぐうっっっ・・・」



  苦しげな声をあげながらメアが膝をつく



 「嘘・・・でしょ・・・」



  あまりにもあっさりと無力化されたメアを見て

 俺の隣でファムが唖然とする



  するとソフィーがこちらに振り返って笑った



 「邪魔が入っちゃったけど

  そろそろ私に殺される覚悟はできたかしら?」



  その笑顔を見て俺達の背筋が凍り付く

 



 「まだ・・・」




  しかしソフィーの後ろでメアが動く



  メアの伸ばした手がソフィーの腕輪を掴み

 メアの握力で掴まれた腕輪に軽くヒビが入る



 「これ以上・・・私の前で

  勝手な真似はさせないよ・・・」



 「まだ動けるなんて・・・

  本当に魔族って凄いのね」



  ソフィーはメアの行動に

 驚くというよりは呆れている



 「いい加減、鬱陶しいわね

  もたもたしてると四天王に逃げられちゃうわ

  ・・・そうだわ、

  みんなまとめて潰れてなさい」



  そう言うとメアに掴まれている

 ソフィーの腕輪がまばゆく輝きだす



  次の瞬間、俺達の体に異常な重みがのしかかる


  まるで上から

 巨大な手で押さえつけられているようだ

 



 「ぐあぁぁぁ!!」




  立ち上がっていた俺は思わず膝をついてしまう


  京子も立っていられないようだ


  ファムにいたってはうつ伏せに倒れて

 脂汗をかいている


  メアの体がさらに床に沈み

 顔が苦痛で歪んで掴んでいた腕輪を離してしまう






 「やめて・・・」






  ファムの目線の先では

 ソフィーがメアを見下ろしていた


 「さぁ、これで終わりね・・・」


  ソフィーは俺達の見ている前で

 メアに向かって鎌を振り上げる


  メアの体は完全に床にめり込んでいて

 全く身動きが取れずにメアは

 ただ振り上げられた鎌を

 見つめることしかできない






 「くっ・・・」

 





  メアは最後の抵抗なのか

 ソフィーの鎌を睨みつける



 「本当はちゃんと力の制御を覚えたあなたと

  本気で戦ってみたかったけれど

  ・・・残念だわ」




  そんな一言とともに容赦なく

 鎌がメアにめがけて振り下ろされる







 


    「やめてぇぇぇ!!!!!!」









  ファムの悲痛な叫びが聞こえる

 ファムはその場でメアに手を伸ばす



  しかし当然メアには届かない

 振り下ろされる鎌を見ていることしかできない


 












         「やめろ」







  







   声がソフィーの真横から聞こえた 




 「えっ!?」




  聞こえるはずのない声に

 ソフィーは驚いて振り返る



 「どうして!?」



  もう少しでトドメをさされるはずだったメアも

 目を見開いて唖然としている



 「嘘・・・」


 

  ファムは目の前の出来事が信じられないのか

 何度もまばたきを繰り返す







    「優くん!!」







  京子は俺の名前を震える声で呼ぶ


  そこには肩で息をしながらも

 しっかりと床を踏みしめて立つ

 異世界から来た少年が

 ソフィーの振り上げられた鎌を

 真横から掴んでいた



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