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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第三章 海の国 ファーランド共和国編
53/146

53話 シギスの故郷


 城壁の修復は思ったよりも長引いた。完全に一日がかりだ。大幅に破壊されていたから仕方ない。

 

 修復を終えると、完全に夜になっていた。一応の警戒は立てつつ、兵士たちに休息を与えることにした。もちろん、僕も休まねばならない。

 

「素敵な場所ですわね」

 そう言って、紙に絵を描くカンデさん。

 

「その絵、どうするんです?」

 僕は聞いた。

「もちろんサロンの皆様に見ていただきますわ。ふふ、楽しみ!」

 そう言うカンデさん。

 

 見回りをしていると、シギスが僕を見つけたようで、近づいて来た。

 

「隊長。良いワインが手に入ったので、飲みませんか」

 そう言うシギス。

「僕はあまりお酒は……、まあ、少しなら良いけど」

 僕はそう言った。

「じゃあ、そこの小屋で」

 そう言うシギス。

 

 その小屋は誰も住んでいないようだ。

 

 ワインを入れ、水で薄めるシギス。基本的にファーランドではそういう飲み方をする。

 

「シギスはどこ生まれなの?」

 僕は聞いた。

「私はファーランド南部の、ジャムルという街ですね」

 そういうシギス。

「これから行くところというわけか。しかし何故コーネリアに?」

 僕は聞いた。

 

「俺の家は貧しくてね。遊牧してたら軍に誘われたのさ。隊長こそ、何故コーネリアに?」

 そう聞くシギス。

「まあ僕も似たようなものだけどね。エリクサーの材料を集めるという目的はあったけど」

 僕はそう言った。

 

「エリクサーねえ。そんなもんできるんですかい?」

 そう聞くシギス。

「どうかな……。まあ今は、ファーランドを助けないといけないけどね」

 僕はそう言った。

 

「ここはなかなかいい国だぜ。ま、ちょっと軍隊が頼りない気はするけどな……。この戦いが終わったら引っ越そうかな」

 そう言うシギス。

「ファーランドで暮らしたいの?」

 僕は聞いた。

「元々こっちが故郷ですからね。隊長はずっとコーネリアで?」

 そう聞くシギス。

「いや、そうもいかないね。材料を集めないといけないし……。ファーランドは豊かだから、商売をするには良いかもね」

 僕は言った。

「へえ。だったらさ、この戦いが終わったら、こっちで商売したらどうですか。そんで俺を雇ってくれたら完璧だ」

 そんなことを言うシギス。

「はは、良いかもね。でも姫様が怒るんじゃないかな」

 僕は言った。

「そうかもしれませんね……。それじゃあ、そろそろ陣に戻ります。隊長も、酒はほどほどにね」

 そう言ってシギスは出て行った。まあ僕は、そんなにお酒は飲んでないけど。

 


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