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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第三章 海の国 ファーランド共和国編
51/146

51話 君は何を望む?


 巨大なゾンビを撃破すると、敵はすべて消滅したようだ。僕達は死体を片付け、埋葬した。

 

「ありがとう。君たちは……?」

 そう聞くエルフの剣士。

「お会いしとうございました。私はアドリアンと申します。龍人族です」

 そう名乗るアドリアンさん。

「そうでしたか。龍人族とは、何とも懐かしい響きだ……」

 そう言うエルフ。目はやはり見えてないらしい。お供に引かれ、椅子に座った。

 

「セラ様。私はダークエルフのドロテアです」

 ドロテアはそう言った。

「そうか、南の……。会えて嬉しいよ」

 そう言ってうっすらと笑顔になった。この人が剣聖、セラさんなのだろう。

 よく見ると女性のようだ。エルフはみんな美しいからイマイチ男女の見分けがつかない。

 金色の長髪と長身、スマートだ。珍しい飾りの服を着ている。

 

「セラ様、私は錬金術師のフェイと申します」

 僕は恭しくそう言った。

「ほう? 錬金術師とはな。珍しい響きだ……。そしてもっと懐かしくもある」

 セラさんはそう言った。

 

「懐かしい?」

 僕はそう聞いた。

「昔、世界を救ったエルフが居てな。彼女もまた、錬金術師だった。ずいぶん昔のことになるが……。あの頃はまだ、私も目が見えていたし、エルフもたくさんいたものだ……」

 セラさんはそう言った。本当に気が遠くなるほど昔の事なのだろう。

 

「素晴らしい剣術でした。よろしければ、私に指南してくださらんか」

 そういうアドリアンさん。

「ふふ、そう言われても、私では指南などできませんよ。自分なりの剣術を模索してください」

 そう言うセラさん。

「そうですか……」

 残念そうにするアドリアンさん。

 

「今このファーランドは危機にあります。今こそその剣で、私達に力を貸していただけませんか?」

 僕はそう言った。

「見ての通り、私は目が見えない。役になど立てんよ」

 そう言うセラさん。

 

「……そんなことはありません。あなたの知識も、力も、そして失礼ながら名前も、必ず役に立ちます。お願いです。どうか私達に力を貸していただけませんか?」

 僕は重ねてそう言った。

「……フェイ君だったかな」

 そういうセラさん。

「はい」

 僕はそう答えた。

 

「君は何を望む?」

 そう聞くセラさん。

 

 何を望むか、か……。大事な問いだ。そして難しい問いでもある。僕は、どうしたいんだろう?

 

「多くは望みません。ただ、僕は、平和が欲しい。みんなが安心して暮らせる世界が欲しいんです」

 僕はそう言った。

 

「……まるで子供の頃の私みたいな答ね。……、気に入ったわ。あなたに力を貸しましょう」

 セラさんはそう言った。

 


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