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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第三章 海の国 ファーランド共和国編
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47話 ドワーフの親子


 一日休息し、僕達コーネリア王国軍は、北へと向かった。

 

 海の沿岸を進軍していく。街道が整備されているので、移動は速く、スムーズだ。

 

 進んでいくと、城壁が見えてきた。

 

「あれは?」

 僕は聞いた。

「あれはイリスの街や。ファーランドでも最も豊かな街やで」

 そういうカンタンさん。

 

 聞けば、ファーランドで最も重要な街らしい。強力な海軍があって、今回も敵の攻撃を跳ね返したとか。ただ、独立心が強く今回の危機にもあまり動いてはくれなかったらしい。

 

「ひとまず、あそこで休んで行こか」

 そういうカンタンさん。

「大丈夫ですかい? 攻撃されるんじゃ」

 シギスが言った。

「心配ないわ。あそこにはワシの顔が利くからな」

 カンタンさんはそう言った。

 

 カンタンさんは悠々と門へと歩いていった。門番と話し合っている。そして手招きした。

 僕は馬を降り、門に歩いていった。

 

「大丈夫やで。ただ問題は起こさぬようにとのことや」

 そう言うカンタンさん。

「そうですか。みんな! この街で休んで行こう!」

 僕は叫んだ。

 

 僕達はぞろぞろと街の中に入った。住民たちからはかなり怪訝な顔をされたが、まあ仕方ないだろう。

 兵たちは解散し、思い思いの場所に散って行った。

 

「フェイ、あんたはちょっと責任者に挨拶してもらうで」

 そういうカンタンさん。

「わかりました」

 僕はそう言った。

 

 大きな屋敷が、街の中央に立っている。僕とカンタンさん、ドロテア、アドリアンさんの4人は、そこへと入った。

 

 そうするとドワーフが一人来て、いきなりカンタンさんに掴みかかった。

「おいカンタン! どういうことだ! 敵兵をこの街に入れるなど!」

 怒るドワーフ。

「待て待て待てや。敵ちゃうで。味方やんか」

 そういうカンタンさん。

「そうですよ。離してください」

 僕は割って入り、何とか離させた。

「ふん! わかるものか。問題が起こったらどうするつもりだ!」

 叫ぶドワーフ。

「相変わらずケツの穴の小さいやっちゃな。大体、このままファーランド城が落ちてたらこの街も危なかったやろ。感謝すべきやで」

 そういうカンタンさん。

 

 ドワーフは憤然やるかたないという感じで、ソファーに座った。頭を掻き、やれやれと言う感じだ。

 

「……まあ、全責任をお前が取ると言うなら別に構わんがね……。少なくとも、明日には出て行ってくれよ」

 そう言うドワーフ。

「まあ、長居はしませんよ」

 僕はそう言った。

「そうあってほしいもんだがね。それでお前ら、これからの予定は?」

 そう聞くドワーフ。

 

 そういえば、予定はどうなってるのか。僕にはよくわからない。僕がわからないとダメな気もするけど。

 

「北部にあるハイランドの救援や。お前らは力を貸してくれんのか?」

 そう言うカンタンさん。

「冗談じゃない。この街に滞在させるだけで十分だろ。……まあ、ハイランドの救援には行かないといけないだろうがな。あそこはゾンビ共が多くて近づけんぞ」

 そう言うドワーフ。

 

「お父様、一体何事ですの?」

 そう言って、螺旋階段を降りてきた少女。彼女もドワーフなんだろうけど、ドワーフの女性は人間とあまり見分けは付かない。背は小さいけど。しかも白い綺麗な服装を着ている。

 

「カンデか。今は商談中だ」

 そう言うドワーフ。

「商談? 軍人ではないのですか?」

 カンデと呼ばれた少女はそう聞いた。

「軍人だぞ。そうだな? ええと……、お前の名前は?」

 そう聞くドワーフ。

 

「フェイと申します。錬金術師です」

 僕はそう名乗った。

「まあ、錬金術師! 素晴らしいですわ。私錬金術師の方と会いたいと思っていましたの。よろしければ、私のサロンにいらしてくださいな」

 そういうカンデさん。

 

「フェイ殿。ここに滞在することは一応許可してやるから、娘の相手をしてやってくれ」

 呆れたように言うドワーフ。

「そういうことなら、構いませんが」

 僕はそう言った。

「嬉しいですわ。ささ、こちらにどうぞ、フェイ様」

 そう言ってカンデさんは手招きした。

 


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