40話 救援
その後姫様とも相談し、ファーランドへの援軍部隊を結成した。
メインとなるのは、騎兵隊100。これに補助として歩兵部隊を100人。輜重部隊を100人用意した。計300人だ。
コーネリア王国の総力を考えれば少なめの援軍だが、そうは言ってもベルクランド王国やドラコニア王国と敵対している以上、これ以上の援軍を出すのは無理だし危険だ。致し方ないだろう。
兵士たちにはそれぞれ、瓶詰のコーネルディップをプレゼントした。怪訝な顔をする古参兵も居たが、まあ役に立つだろう。兵糧としては上等だ。
兵士たちを集め、僕は演説した。
「これより我々はファーランド共和国を救援することになります。敵国を滅ぼすためではなく、友好国を守るための戦いです。皆さんも迷惑をかけないよう、コーネリア王国の一員として恥ずかしくない振る舞いをしてくださいね」
僕はそう言った。
兵士たちの反応は悪くないが、良くもない感じか。まあもっと勇猛果敢な演説の方が良いのかもしれないけど、僕はこんな性格だから仕方ない。
「隊長、出発しようぜ」
シギスが言った。
「そうだね。いざ、出発!」
僕は出発の命令を出した。
僕達は東へと向かう。ファーランドへの距離はそんなに長くはない。湖の北端を回り込み、東の山脈へと入り、城塞を越えればファーランドだ。
僕達は以前の和平ルートを通り、最短距離でファーランドへと入った。
ファーランドの監視施設がある。だが事情は伝わっており、問題なく通してくれるようだ。
「ご苦労様です」
そういうファーランドの兵士。コーネリア兵よりも重武装だ。全身甲冑である。
「お疲れ様。コーネリア王国から救援に来ました」
僕は言った。
「話は聞いています。本城は危険な状態とか。一刻も早く救援を!」
そう言う兵士。
「わかりました。ここから街道を進めば行けますか?」
僕は聞いた。
「そうですね。地図をお渡ししましょう」
兵士は地図を渡してくれた。かなり詳細な地図のようだ。
ファーランド国内に入った。ファーランドは、南北に長く、多くが海に面している。その中央部分にあるのがファーランド城であり、首都だ。海に突き出した強固な城で、そう簡単に陥落するはずはないが……。
ファーランド国内には立派な街道が張り巡らされていた。コーネリアのものとは段違いだ。国の豊かさを思わせる。
兵士たちも驚いていた。
「すげえ道だな。石畳だぜ」
「水はけはどうなってるんだ?」
「歩きやすいな。こりゃあいい」
そう言って悠々と歩く兵士たち。
「これなら、すぐにファーランド城に辿り着けそうですね」
シギスは言った。
「そうだな。まあそれに越したことはないさ」
僕はそう答えた。
僕達は先を急いだ。グランテイル帝国の主力である死霊兵は夜になると力が増す。日が落ちる前に到達したい。
僕達は急いで進み、真昼のうちにファーランド城近郊へと辿り着いた。眼下にファーランド城を望む絶景の地だ。
見ると、確かに城は何重にも包囲されていた。海上も船で封鎖されているようだ。城の周りには骸骨やゴースト、ゾンビが大量に居る。
「うへえ……、こりゃ大変だな」
そういうシギス。
「確かに……。とはいえ、城が心配だ。何としても救援しなければ」
僕は言った。
「頼むで旦那」
そういうカンタンさん。