39話 ファーランドの危機
コーネルディップ改名の翌日の事。
朝、いつものように商品を並べていると、一人のリザードマン商人がやってきた。
かつてスパイスを売ってくれたカンタンさんだ。
「やあどうも。お久しぶりです、カンタンさん」
僕は言った。
「おお、旦那。よく覚えておいてくれたなあ」
そういうカンタンさん。
「よく来ていただけましたね。実は、コーネルディップっていう新製品が出来たんですよ。どうです?」
僕は聞いた。
「ああ、その話なら聞いとるで。なかなかええもんみたいやないか」
そういうカンタンさん。
「何なら試食も可能ですよ」
僕はすすめてみた。
「ありがたいけど、悪いがそれは後回しや。実は緊急で姫様に会いたいんやけど」
そういうカンタンさん。
「姫様にですか? まあ、僕が頼めばいけるかもしれませんが、何用です?」
僕は聞いた。
「ファーランドの城がグランテイル帝国の連中に包囲されてしまってな……。このままやと陥落してしまうかもしれん。今、各国に援軍を求めとるんや」
そういうカンタンさん。
「それはまさに緊急事態ですね。わかりました。城に行きましょうか」
僕はそう言った。
僕達は城に向かった。城はすぐそこだ。
「これはフェイ将軍。どうされました?」
門番が聞いた。
「ファーランドからの使者だ。姫様に会いたいらしい」
僕は言った。
「そうですか。少々お待ちください」
門番はそう言って、城内に駆けて行った。
しばらくして戻ってくる門番。
「お待たせしました。城内へどうぞ」
門番はそう言った。
城の中もなんだかんだよく来ている。道もわかってきた。僕は城内を歩いていく。
「旦那、将軍とか言われてたけど」
そういうカンタンさん。
「何か将軍になっちゃいまして」
そう言う僕。
「大したもんやな。大物やんか」
カンタンさんはそう言った。そうなのかなあ?
玉座の間には、姫様やミカエルさんが居た。ドミニクも居る。
「カンタンか。久しぶりやな」
ドミニクは言った。
「ドミニク、元気そうやな」
笑顔で挨拶するカンタンさん。嬉しそうだ。
「ようこそコーネリアへ。それで、御用は何ですか?」
姫様が聞いた。
「ファーランドは、グランテイル帝国の侵略で存亡の危機にある。姫様、どうか我が国をお救い頂けませんか」
そう言うカンタンさん。
「……しかし、ファーランドは今は和平国家とはいえ、元は敵国。それに我々も現状、四方八方に敵を抱えていて苦しいのです。そう簡単に援軍は出せません」
そう言う姫様。
「グランテイル帝国は邪悪な連中や。死霊兵どもは人殺ししか考えとらんし、連中にファーランドが滅ぼされてしまったら次はこの国やで」
そういうカンタンさん。
「……確かに、グランテイルは宿敵。ファーランドを救いたい気持ちはあります。ちなみに、援軍はどれほど必要なのですか?」
姫様は聞いた。
「そら多いに越したことはないけど、今は速度が必要や。ファーランド城が飢えてしまう前に包囲を破って、兵糧を届けて欲しいんや」
そういうカンタンさん。
「兵糧も必要なのですか。難しい任務ですね……」
悩む姫様。
「コーネルディップと米、後は肉類の保存食でもあれば、とりあえずの補給は足りるかと思いますが」
僕は言った。
「迅速な救援が必要だ。やるとすれば騎兵隊だろう」
ミカエルさんはそう言った。
「それやったらそこのフェイ君の出番やな」
そういうドミニク。
「あ、そうですね。フェイ様、お願いできますか?」
当然のようにお願いしてくる姫様。
「えええ!? また僕ですか!?」
叫ぶ僕。
「旦那か? いや、でもまだ子供やないか。大丈夫なんか?」
不安そうなカンタンさん。
「いやいや。こう見えてなかなかの活躍っぷりやったで。龍人族も部下にしてたしな」
そういうドミニク。
「本当なら私自ら救援に行きたいところですが、まあそういうわけにもいきませんし、この任務を果たせるのはフェイ様しかいないと思いますが」
そういう姫様。
「そうだな。それしかあるまい」
そういうミカエルさん。
「せやせや」
笑うドミニク。
「信頼されとるんやなあ。まあそういうことなら、フェイの旦那にお願いしよか」
そういうカンタンさん。
「……まあ実際、速度が要求されるなら騎兵隊が必要だとは思いますけどね……」
大分諦めてきた僕。
「それではフェイ様、お願いします。ちなみに援軍は私達だけですか?」
姫様は聞いた。
「もちろん、他の各国にも求めてるけど、どこもイマイチ感触が悪くてな……。アルパは何考えとるかわからんし、エルティアとの関係もぎくしゃくしとるから」
カンタンさんはそう言った。
「そうですか……」
姫様はそう言って、何かを考えていた。




