38話 コーネルディップ
そういうわけで、僕は『悪魔の血』を売り出した。
最初はかなり評判が悪かった。見た目と臭いの凶悪さがヤバい。
でも試食をすればみんな美味しいと言ったし、ご飯との相性も抜群だった。実際、本当に美味しい。確実に病みつきになる味だ。
そんなわけで、売りだして3日も立ったころには、もの凄い流行になっていた。
姫様も遊びに来た。
「面白いものを売ってるみたいね!」
そう言う姫様。もう別に顔を隠しても居ない。
「悪魔の血、食べますか?」
僕は聞いた。
「ええ! 是非!」
そう言う姫様。
そんなわけでご飯と悪魔の血のセットを食べる姫様。
「素晴らしいわね! でも悪魔の血ってのは縁起悪いし、『コーネルディップ』と改名するのはどうかしら?」
そう聞く姫様。
「それも良いかもしれませんね」
僕は言った。
そういうわけで、コーネルディップと言う名前になった。この改名も功を奏し、お洒落なカフェで野菜やパンを付けて食べる人も出てきたようだ。何か高尚な食品に思えてくるから不思議なものだ。
作り方は公開した。というか、聞きに来る人が多かったので教えまくった。簡単なのでみんな普通に作り始めたが、生産に時間がかかるのですぐには真似できないだろう。
コーネルディップはコーネリア王国の主要な食糧になった。文化的産品にもなり、外貨を稼ぐこともできるようになった。コーネリアも、弱小国を脱することができつつあるようだ。