27話 南方要塞
湖の国の南方へと差し掛かった。
この地域は森や湿地帯が多い。あまり人が住むには適していない。故に、道も細く、城塞への補給も難しい。
それでも何とか馬を走らせ、南方の城塞へと向かった。
南方城塞は湖の国の防衛城塞としては最大級で、このあたりの砦を管轄している。巨大な石の要塞がジャングルの中に立っている。
「止まれ!」
コーネリア兵が門で止めた。
「姫様からの命で来ました、フェイ将軍です。エリク将軍にお目通りを」
僕は言った。
「フェイ将軍? 聞かない名前だな」
怪しむ兵士。
「あー、俺は副隊長のシギスだ。こいつが隊長やってるのは本当だから、とにかくエリクに会わせてくれよ」
そういうシギス。
「これが命令書です」
姫様に貰った命令書を渡す。
「ふむ。では少々お待ちを」
兵士は城内走って行った。
「シギスは騎兵やって長いの?」
僕は聞いた。
「ああ。と言っても、この国馬があんまりないんだけどな。金がかかるしね」
そう言うシギス。
「やっぱりあんまりお金がない国なんだね……」
僕はそう言った。
「お前……、いや、隊長はこの国の奴じゃないのか?」
そう聞くシギス。
「僕はアルパ生まれだよ。今は旅の途中かな。結構のんびりしちゃってるけどね」
僕はそう言った。
「旅の途中で将軍やってんじゃねえよ……」
つっこむシギス。おっしゃる通りです。
「失敬。貴公がフェイ将軍か」
城の中から、真面目そうな男が出てきた。甲冑を着ている。シギスほど大きくは無いが、この国を支える将軍の一人なのだろう。兵士二人を左右に置いている。
「お初にお目にかかります。エリク将軍。敵が侵入したと聞いたのですが」
僕は言った。
「そうだ。東南の城塞はファーランドとの和平以来、兵士を減らしていたからな。簡単に突破された。そもそもファーランド方面の防備はおざなりになっていてどうにもならん」
そういうエリク将軍。
「なるほど。敵はどこにいるでしょう?」
僕は聞いた。
「わからん。ただ目撃したものによると、非常に素早く、人間とは思えないということだ」
そういうエリク将軍。
「人間じゃない? モンスターって事か」
そう聞くシギス。
「どうかな。とにかく私はここを動けん。お前たちが何とかしてくれ」
そう言うエリク将軍。
「わかりました。では、少し休ませていただけますか。できれば水も欲しいのですが」
僕は言った。
「それぐらいなら構わんよ。ただ敵は待ってくれんぞ。迅速にな」
エリク将軍はそう言って、城内に戻って行った。




