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不遇の錬金術師  作者: 秀一
第二章 湖の国 コーネリア王国編
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25話 ペッパーステーキ


 それから、三カ月ほどの時が流れた。

 

 僕の店は相変わらず繁盛していた。店員さんたちも商売を覚え、もう何も指図しなくても十分やっていけそうだ。

 料理もレベルアップしていた。香辛料をちょっと入れた料理とかも、出せば売れたし、評判にもなった。特に胡椒やシナモンは、それだけで貴族の客でも呼べるほどだ。

 

「いらっしゃいませー」

 うちの店員がそう言った。見ると、顔を隠した怪しげな客が来た。

 

「ご注文は何になさいますか?」

 怪しいと思いながらも、普通に接客する店員さん。

「香辛料を使った料理を頂戴」

 そういう客。

「申し訳ございません。あれは今はやってなくて……」

 そう言う店員さん。

 

「そんなのは認めないわ! やりなさい!」

 無茶を言う客。

「ええ……」

 さすがにびびる店員さん。

 

「ちょっとお客さん。困りますよ。何の権利があってそんなことを?」

 僕は言った。

「えー、いいじゃん。はやく! はやく!」

 チンチン、とフォークとナイフを叩いて鳴らす客。

 

 さすがにキレそうになる僕だが、この客には何となく見覚えがある。僕は顔を隠すフードを引っぺがした。

 

「あ」

「あ」


 青い髪の少女。姫様だ。

 

「何をやってるんですか? 堂々とくればいいのに」

 僕はそう言った。

「えー、だってミカエルとかがダメって言うからさ……」

 落ち込む姫様。

 

「まあ姫様なら多少のわがままは許されますよね。んじゃ適当に料理作るんで……」

 僕は言った。

「適当じゃダメよ! 真面目にね!」

 無茶を言う姫様。

 

 店員たちもさすがに驚いていたが、まあ姫様が無茶苦茶をやるのにはこの国の国民は慣れてるらしく、すぐに平常操業に戻った。他の客もあんまり気にしてないようだ。

 

「はい、牛肉のペッパーステーキです」

 僕は胡椒を振ったステーキを出した。

「おお! おいしそう!」

 喜ぶ姫様。匂いを嗅ぎ、ナイフで切ってフォークで刺し、食べた。

 

 満面の笑みを浮かべる姫様。おいしそうだ。

「素晴らしいわね。でも胡椒なんてどこで手に入れたの?」

 そう聞く姫様。

「何かリザードマンの商人が売ってくれましたよ。もうそんなには無いですけど」

 僕はそう言った。

「へえ、そうなんだ。ドミニクの友達かなあ」

 姫様はそう言った。こうして食べていると、普通の女の子と変わらないな。

 

 その時、馬の蹄鉄の音がして、ヒヒーン! という声が聞こえ、ドミニクが降りてきた。走り、中に入ってくる。

 

「ドミニク!? こ、これには深いわけが……」

 言い訳をする姫様。

「姫様、少し……」

 ドミニクは姫様に耳打ちをした。

 

「わかりました。フェイ、悪いけど、すぐさま武装して城に来てくれるかしら」

 そういう姫様。

「何かあったんですか?」

 僕は聞いた。

「ええ……。詳しくは城で話すわ」

 そう言って姫様は、ドミニクの乗ってきた馬に乗り、駆けて行った。

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