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最終章 ユクレシア4

*****



《エリシュオン》ではある人物が目を醒ました。それを歓び迎える神々。その者の名前は  である。


「お帰り、  」

「     ?」

「あぁ、俺だ」

「     」

「おはよう。また  に会えて嬉しいよ」

「     」

「俺はお前の隣にいるから、安心して眠ってくれ」

「     」

「あぁ、おやすみ」


  はまた深い眠りについた。神は  が目覚めるまで隣にいることにした。それは遥か大昔からの決まりのように。






「では、お前を《ヴィオリウムステラ》の職権濫用に伴い、代行者として永遠の生を生きることを命ずる」

「はい」

「<ユクレシア>へ降り立ち、状況を把握せよ」

「はっ!!」


別室では諏訪神が誰かと謁見していた。諏訪神から命じられた誰かはすぐに<ユクレシア>へと降臨した。









ユースティスが居なくなった<ユクレシア>は静かだった。まぁ、騒ぐ奴等が静かなだけだが。ラヴィーネが執務をしていると窓から不法侵入するやつが一人。ラヴィーネには見えないので何も言われないが、それはジーとラヴィーネを見ていた。それに気が付いたのはルイーズだった。


「…………シューナッツ様、何をなさっているのです?」

「?」

「やっと気がついた!!いやー面白かった」




「シューナッツ様、遊ばないでください。貴方がここにいる理由を教えて下さい」

「俺さ、シャーリーの件でユースティスの職権濫用して諏訪神に咎めを受けたんだ。でもさ、諏訪神が寛大な対応をしてくれた。ユースティスが死んだことでこの国を守護する奴が消えた。だから、ユースティスの代わりに俺が代行者として責務を果たすことになったんだ」


諏訪神と対面していたのはシューナッツだった。元から悪戯っ子だったシューナッツはふざけていたがルイーズの毒にやられた。


「……それは……」

「永遠の生を受けることになったが、俺は後悔してない。ユースティスやセルジュが守りたいものが守れるなら構わない。転生してくるシャーリーにも会えるかもしれないから」


人間は永遠の生を生きることは不可能に近い。それを理解しているシューナッツ。今までなにもしてやれなかった分、何かをしてあげたかったのだ。


「……………そうですか。貴方が守護神と言うのには心許ないですが、仕方ありません」

「ルイーズ酷いよ!?」


基本的に神の毒は猛毒なのだ。ルイーズは呆れていたが、心配もしていた。


「愚王を演じる愚か者にこれ以上何を言えば良いのですか」

「年食っても容赦ないな……」

「する必要性を感じませんから」

「……………」


シューナッツにとって大切なもの達が守る国を守りたいのだ。シューナッツはこの話を受けて良かったと思っている。


「初めましてだな!俺はシューナッツ!!ユースティスの兄でセルジュの父親だ」

「………初めまして、ラヴィーネです」

「幼いセルジュの面倒を見てくれてありがとう。俺の代わりをしてくれてありがとう。セルジュにとって俺は良き父親じゃないが、ラヴィーネがセルジュの父親になってくれたお陰でセルジュは偏った愛情を受けずに済んだ。本当に感謝している」

「いえ、私なんかがセルジュの父親になれたのかわかりませんが、お役に立てたなら光栄です」


ラヴィーネにお礼を言うシューナッツ。それを受けるラヴィーネ。


「《ユウラスティア》より遥かに良い父親だった」

「断言しますか、それを基準にして」

「当たり前だ!!あれが父親より遥かにましだ!!」

「…………」


苦笑していたがシューナッツにとって《ユウラスティア》が父親になるよりマシらしい。断言するシューナッツに突っ込むルイーズがいた。







シューナッツはルイーズや《ユウラスティア》から扱かれながら仕事を覚えていった。今では豊穣の舞も踊れる。この時、ユースティスしか踊れない理由をシューナッツが理解した。豊穣の舞は古の神の言葉を理解していないと舞えないからで、人間にはその言葉は鈴の音にしか聞こえないのだ。それに苦笑するシューナッツがいた。







セルジュに同行している《ヴィオレッタ》にユースティスの訃報とシューナッツの代行が伝えられた。しかし、それを他の奴等に話していない。セルジュには思う存分、世界を見てもらいたいと言うユースティスの遺志だから。《エリシュオン》をいったり来たりしていた《ヴィオレッタ》にラフィーネが質問した。


「《ヴィオレッタ》様、《ヴィーリスタ》ってなんですか?」

「《ヴィーリスタ》は知識の神で盲目の神でもあります。《ヴィーリスタ》の転生者は自覚が無いですからね。特徴として転生者は良く世界を巡る旅にでますね」


ラフィーネの問いに普通に答える《ヴィオレッタ》。他の四人は驚いた。


「じゃあ、ラフィーネは神なの!?」

「はい」

「神会議とか出てないよ!?」


セルジュの言葉に頷く《ヴィオレッタ》。セルジュ達は驚きっぱなしである。


「《ヴィーリスタ》は《サリシェリア》と同じで出ても出なくてもどちらでも構わないんですよ」

「……そんなんで良いのか?」

「昔からそんなんです」

「「「…………」」」


《ヴィオレッタ》の言葉に全員沈黙。そりゃそうだ。神が適当だと何かありそうで怖い。逆に言えば神は昔から適当なものだと認識していればそんなもんだ。《ヴィオレッタ》は神の一人として緩すぎる奴等の中に居たため、驚く彼らがわからない。

セルジュ達は神と人間のギャップに困惑するのだった。




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