最終章 ユクレシア2
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「…………藍姉上を溺愛してるのが創造神とか……厳しいのですが……」
「「「…………」」」
二条城の客室での会話。セルジュ達についてる影達(諜報課)も天井裏で頷いていた。
「言わないでください。あれが標準装備です」
「あれが標準装備!?母上は何も言わないのですか!?」
「我々は呆れ返っているんです。ヴィオとユウは諏訪神が藍を溺愛する前からいる原初の神なんですが………あれにはドン引きしてたらしいです。何度言っても無駄なので諦めているんですよ」
慣れてしまったので今ではスルー。藍に関しては前回の家出騒動の後、諏訪神のうざったいくらいの構って攻撃に撃沈していた。
「旅立ってから七年か……長いな……」
「そうですね。セルジュ様も成長されましたね」
セルジュの成長について三人が頷きながら話す。ユースティスとシューナッツがいた時を思いだし遠い目をする三人。
「そろそろ、ユースティス様の身長を越すのでは?あの方は平均よりも身長高いですけど……あ……シューナッツ様はユースティス様と同じくらいか」
「ユースティス様が大きいのかシューナッツ様が小さいのか……微妙だな」
あの頃は色々あった。今もだがユースティスの猛毒にやられたシューナッツが常だったのを思い出した。
「シュー父はどんな人だった?」
「「「……………」」」
セルジュの質問に全員黙った。どう答えるべきか迷っているのだ。シューナッツの名誉のために黙るか真実を話すか。
「………話せないなら良いよ」
「申し訳ありません。私たちが勝手に話して良い内容なのか判断しかねます」
「何したの!?」
「「「………」」」
ラフィーネの言葉にセルジュが突っ込みを入れた。それに目を背けるラフィーネとマリクとミシェルがいた。
「セルジュ。過去を気にしても仕方ありません。貴方の父親はあの馬鹿です。それ以上でもそれ以下でもありません」
「…………うん、そうだよね。辛口コメントありがとう、レッタ」
シューナッツを馬鹿呼ばわりしたあげくにさりげなく人外扱いしている《ヴィオレッタ》にセルジュは苦笑。あの溺愛っぷりには特盛の毒で構わないのだ。これでセルジュは一つ学んだ。両親については聞いてはならない、と。
「もう少し、他の国を回ってから帰ろうか」
「「「畏まりました」」」
セルジュの決定に頷くマリクとミシェルとラフィーネ。日々、成長するセルジュを嬉しく思う。