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コイノオト  作者: 香里奈
7/7

凝固してしまった性格


外見のイメチェンが完了したから、今度は性格のイメチェンをすることにした。

今までは帰宅部だったけど、部活に入ってみることにした。

運動部は上下関係が厳しいから、少し抵抗があった。

別に日数が多くてもいいから、上下関係が厳しくない部活がよかった。

そこで思い付いたのが、吹奏楽部。

略して吹部。

文クラだから厳しくないし、週5だし、小学校の時に経験してたから、入部することにした。




「失礼しまーす」

恐る恐る、吹部の部室に入った。

そこにはやさしそうな音楽教師の顧問と、トロンボーンを持った背の高い女の人がいた。

「どうぞ」

女の人が前に向かい側のイスを指しながら言った。

イスにこしかけると、いろいろ聞かれた。

吹部に入ろうと思った理由や、希望楽器などいろいろ。

「失礼しましたー」

久しぶりに緊張したな、って思った。

希望楽器はとくになかったけど、小学校の時はトランペットを吹いてたから、金管楽器なら何でもいいです、と言った。




3日後、また部室に呼び出された。

どうやら担当楽器が決まったみたい。

「あなたの担当楽器はホルンになりました。」

へぇ、意外だなぁって思った。

そういえばホルンって世界一吹くのがむずかしい楽器でギネスにのってるんだよね。

「楽器は学校で貸出しますので、さっそくホルンの練習場所に行ってください。」

ホルンの練習場所は、学校の奥の奥にある会議室。

なんでこんな奥でやるんだろ、って思ってた。

「失礼します…」

そこで待っていたのは、5人の男女。ホルンを持っていた。

「あなたが新入部員の立花さん??」

「そうですけど…」

いきなり、少しつり目で美人な女の人に声をかけられたから、ビクビクしながら答えた。

そしたら、ガシッと手を握られた。

「きゃーっ!!この時期から新入部員が来るなんて!!しかもホルンに!!」

なんか、ひたすら興奮してる。

え、どうやってかえせばいいの??

私がフリーズしてると、隣にいた男の人が言った。

「ごめんごめん、ちょっとこいつテンション高くてさ。ほら、落ち着けよ千秋。」

「あら、ごめんなさい。つい私ったら♪」

ほっぺに手をあてた千秋センパイが言った。

なんか、かわいい人だなって思った。

「自己紹介するわ。

私は小川千秋。中3。ホルンのパートリーダーよ♪」

小川センパイは美人だけど少しつり目でこわい雰囲気だけど、本当は後輩思いですごく優しい。

パートリーダーってことは、ホルンの中3の中で一番うまいんだ。

納得してると、さっきの男の人が話はじめた。

「俺は安岡翼。同じく中3。」

安岡センパイは長身で痩せている、クールなツッコミ係。

人気がある。

「あたしは西川南。中2だよ♪」

南は隣のクラス。

名前は聞いたことがあった。

背は低めで色白でぽっちゃりした、雪だるまみたいな女の子。

ほんわかした雰囲気でかわいい。

今でも、一番のトモダチ。

「僕は中2の佐東智明。佐東の『とう』は東とかくのでヨロシク。」

名前の説明までしっかりしてくれたのは智明。

学年1、2位を争ってて、典型的な論理派男子。

見た目は平均的で地味だけど、困ったときは助けてくれる。

「私は水品美月です。中1です。」

美月ちゃんはピュアで純粋な女の子。

天然っぽくて守ってあげたくなるカンジ。

細身でちっちゃい。

小川センパイは「抱きしめるのにちょうどいい大きさよ〜」って言ってた笑)

「よしっ!自己紹介も済んだことだし、早速歓迎会やりまーす!!」

小川センパイが言った。

歓迎会は、新入生が決まったらパートごとに毎年やっているらしい。

歓迎会では、主に自己紹介の延長について話す。

お菓子を食べたりジュースを飲んだりしてすっごい楽しかったな。




部活にもだいぶ慣れた中2の1月ごろ。

小川センパイから電話がかかってきた。

「もしもし?」

「あっ香里奈ちゃん?突然電話しちゃってごめんねー」

「いえ!ぜんぜん大丈夫です!!」

「それでさ、聞きたいことがあるんだけど…」

「何ですかー??」

「香里奈ちゃんって、もしかして修司のカノジョちゃん?」

修司。

久しぶりに聞くなぁ、って思った。

「昔は…ですっ!!とっくに熱冷めましたけど〜」

「あっ!もう別れちゃったんだ。なーんか修司が隣のクラスの奥秋由貴とつきあってるっぽいから、浮気か?って思って!!」

「あっそうなんですか〜」

そんなこと、とっくのとうに知ってるよ。

“由貴”が本命のカノジョだってことくらい。

「な〜んだ。なら安心だよ。てっきり修司の奴浮気してんのかとー(笑)まあ、修司が浮気するわけないか!あっ、突然ごめんねー。じゃあね!」

「受験、頑張ってくださいね〜。」

「もちろん!じゃあ切るね♪」

「あの…」

「何?」

「あっ…やっぱ何でもありません。」

「そうなの?じゃあまたねー」




今なら、言えそうだった。

私が、修司のカノジョじゃなかったことを。

私が、修司の浮気相手だったことを。

私が、修司にだまされていたことを。

でもこのことを小川センパイに言ったら、後輩思いの小川センパイは本気で怒るかもしれない。

受験前なのに、暴動を起こしたら大変だし。

でも、こんなのが理由じゃなくて口実なことくらいわかってた。

ただ、自分の哀れさを、単純さを人に見せたくなかっただけ。

自分のずるさを、あらためて実感した。

いくら変わろうとしても、私は変われないのかな。

私のずるい性格は直らないのかな。

変わりたいよ。

人に自分のすべてをさらけ出せる、強い人に変わりたい。




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