《黒海、イングランド海軍艦隊旗艦にて》
テイル達がモンゴル空軍中央部で大暴れし、パーチェがモンゴル陸軍騎馬部隊と対峙していたころ、黒海に展開しているイングランド海軍第一艦隊旗艦の艦橋でケイン・ファルネウスらがテイル達の戦いについて報告を受けていた。
「提督! テイル女王陛下一同がモンゴル空軍中央部で激戦を繰り広げている模様です!」
「そのようですねぇ」
「閣下! モンゴル陸軍騎馬部隊がキーウに向けて進撃中だと報告が上がりました!」
「そのようですねぇ」
「……対するウクライナ軍、NATO軍は、騎馬部隊の進路に対処する部隊を……いえ、部隊とは言えない、一名の兵を配置しているだけです。これでは……」
「ふむ、どうやらそのようですねぇ」
「……閣下、あまり興味がなさそうですね?」
「いやいや、友軍の動向に興味がないわけはないでしょう」
「……え? そうなのですか?」
「当然でしょう」
「……それでは、先ほどの反応は、どのように説明されるおつもりですか……?」
部下からの報告に対して軽い反応しか示していなかったケインに部下達は、興味がなさそう、と話していった。
しかしケインは興味がないわけはないと、そのように返答する。
この自身の反論に部下達が疑いの目を向けてきたため、ケインは詳しく自身の考えを話していった。
「興味がないのではなく、勝敗の決まりきった戦いに今以上の感情を込めることができないだけです」
「勝敗の、決まりきった戦い、ですか?」
「ええ」
「……どちらが勝つ、と?」
「NATO軍、というよりテイル女王陛下ご一同が勝つに決まっているでしょう」
「……そうなのですか?」
「そうです。モンゴル軍にロシア軍や中華軍が援軍を出しているならともかく、モンゴル軍単独で攻め込んでいる現状では、モンゴル軍が勝つ可能性はないと考えていいでしょう」
「それほどですか……」
「ええ。しかしそれだけ疑うということは、君はテイル女王陛下ご一同の魔界進攻の報告書を読んでいませんね?」
「……はい、見ておりません……」
「やはりですか。それではいつでもいいので、テイル女王陛下ご一同の魔界進攻作戦の報告書を読んでおくこと。そうすれば私がテイル女王陛下ご一同の戦いを楽観視している理由がわかりますから」
「わかりました……」
ケインの話を聞いた部下達が、全員もれなく項垂れていく。
そんな部下達を溜め息混じりで眺めるケインに、シアードとアランが声を掛けていった。
「……その様子だと、ここにいるほとんどのものがあの報告書を読んでいないようですねぇ……」
「う……」
「……閣下、そろそろロシア海軍が動き始めるころかと」
「こちらも動いた方がよろしいのでは?」
「そうですか。それでは全軍、作戦行動開始」
「了解です」
シアードとアランの声掛けに応じたケインが、全軍に作戦開始と命令する。
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