俺と甲賀4
大隣姉妹は任務の途中で組織からの通達があった。
「はぁ? あの三人はもういいって?」
大隣 鄰が電話越しに聞いている内容を察して大隣 十羽が横で怒鳴っている。
「どういうこと鄰姉? あいつらあたしたちの能力のこと分かってないじゃん! もう少しでやれるってのに!」
「私だって、こう言うのってホント嫌い。舐めプって言うの? やれる時にやっとかないとさ……」
――きっと自分に返って来るよ……
ここで姉妹二人にある考えが浮かぶ……
「鄰姉、ここはさ……」
「十羽、言わなくても分かってる……」
命令に背いてでもあの三人をやってしまいたい、その気持ちが強くなっていた。だからこその最後のあの一撃。完璧に一人は殺せると思っていた彼女らにとってそれは大誤算だった。
「顔、見られちゃった……」
「しかもアレ、倒しきれてない……」
ま、抹殺命令も撤回されたことだしいっか、と楽観的になる二人。またこの三人とは会える気がする、なんて言う運命めいたものも少し感じながら悠々とこの場を後にする二人。
――《隣扉横戸》
「ほーんと、鄰姉の《隣扉横戸》、便利だよね」
まあねーと軽く相槌を打つ鄰。この二人が感じた通り、ここで出会ったことで展開する物語も存在する。しかし、それはまた別の話である。
「ぶっちゃけさ、ここ最近のオリジナルアニメってどう思うよ?」
「そうだな……○○周年記念作品ってのはコケるって言うジンクスがついてきてるかなーって感じだな」
危機を乗り切った三人はまた甲賀に向けて進んでいる。車内では相変わらずのトークが続いている。
「ブブキブラ〇キとか、つうか〇、エガオノダ〇カ、とかって記念作品だけど、これが足引っ張って会社倒産するんじゃないかって勢いがある」
「自分、つうか〇のBlu-ray持ってるッス! バイク好きッスから!」
あれ確か、二百枚くらいしか売れてなかった作品だぞ。虎走はその二百人の一人なのか……
「あとは、アレだよなあ……ロボット作品はもう受けない。レガリ〇とかパンドー〇とか、さっきのエガオノダイ〇も、ブブキブラン〇もロボットだし……」
俺もきっとみんなロボットに乗りたい! とか思わなくなってるんだろうなーとは感じる。
「こうやってるうちにさ……ロボットが降りてきたら、彪騎ならどうする?」
「そうッスねー。自分にしか乗れないってなら考えるかもしれないッスね。他にいるなら他の人が乗ればいいんじゃないッスか? 自分、バイク型なら大歓迎ッスけど」
この自分だけがロボットを操縦できて街を救うと言うのも、きっと多くの人間が一度は妄想したことがあることだろう。
「自分だけってのがやっぱりミソだよな。みんなできたらそれは特別じゃないし……」
「量産機で無双するってのもそれはそれでカッコイイんだけどな。やっぱり九頭竜専用機みたいな自分だけの機体って憧れだよなー。専用機持ちになりたい人生だったぜ……」
九頭竜さんは今度こそしっかり目的地に向かって! と言いたくなったのを我慢して俺はその発言に同意する。
「にしても……俺たちの探してる《隠遁翼竜》ってのは本当に甲賀にいるんだろうか」
「手がかりがないんだから仕方がないッス とにかく一週間以内に見つけないと兄貴が殺されるッスから、探すしかないッス」
まあそれもそうかと少し気を落とした風の九頭竜、しかしその表情も一瞬のことだった。
「さ、今度はきちんと着いたぞ!」
駐車場にきちんと駐車し準備万端の三人。伊賀の時同様、平日の真昼間だったので人は少ない。
「あ、そう言えば妹に連絡取らないと……」
甲賀にいる妹に向けて、携帯からメッセージを送る火威赤夜。
「兄貴、妹いたんスか? 義妹ッスか? 実妹ッスか?」
「どうして一番最初の質問がそれなんだよ……まあ、分かるけどさ」
――実妹だよ、正真正銘の。
「それ、どうやって証明するんスか。物語シ〇ーズの阿良々木月〇ちゃんだって実は化け物だったじゃないッスか」
まあ、確かに証明する方法はないが、俺がそう思ってそう育っていたらきっとそうだろう。
「嫌な揺さぶりをかけないでくれよ。そんな疑い掛けたことないってーの!」
でも、おかしい……いつもならすぐに返事を送ってくる妹から珍しく反応がないのだ。もしかしたら既に戦闘中だったりするのだろうか。
「俺の思い違いだと良いんだけど……」
「ま! 腹が減っては戦は出来ぬだ。腹ごしらえを済ませておこうぜ」
九頭竜はあらかじめ買っておいたおにぎりを二人に配って、自分も大きな口を開けて頬張っている。
「貴様! 《双截龍》だな!」
――《竜殺し》
――《龍退治》
「参る!」
「覚悟ッ!」
俺たちはおにぎりさえもまともに食わせてもらえなかった……
どんどん敵がやってくる




